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たべもの歳時記67

时间: 2019-12-30    进入日语论坛
核心提示:さくらんぼ 六月になると、そっと顔を出し、六月のうちに、人知れず終りを告げる夏の風物詩にさくらんぼがあります。さくらんぼ
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さくらんぼ

 六月になると、そっと顔を出し、六月のうちに、人知れず終りを告げる夏の風物詩にさくらんぼがあります。さくらんぼは保存がきかず、輸送がむずかしく促成栽培ができないので、このようにお目にかかれる期間は、ごくかぎられています。名前から、わが国の原生種のように考えがちですが、原産地はアジア西部からヨーロッパ地方と中国。ヨーロッパ産は、チェリーといい、いわゆるさくらんぼ。中国産が実桜《みざくら》、つまり桜桃《おうとう》。厳密にいえば、さくらんぼと桜桃は別の品種です。日本には明治四年に欧米から苗を輸入して育てたものと、明治六年に勧業寮が清国から水蜜桃の苗とともに輸入し、東北地方に移植したものの二種があります。さくらんぼは、だいたい涼しい土地を好む果樹で、日本の主産地は、山形県を筆頭に、福島、青森、秋田、山梨、新潟、北海道の寒冷地です。六月の中旬に出るのは、黄玉と呼ばれる黄色いさくらんぼ。つぎに紫黒色をした味のいい大紫。最後が六月下旬に出てくるナポレオン種。粒が大きくて甘く、生食するのにいちばんふさわしい品種です。
粒の大きめの、揃ったもので、色のいいのが良品です。なし、かき、ぶどうと同じく、もぎたてを、その場で食べるおいしさは、たとえようもありません。家庭では洗って、なるべく早く、そのまま食べることをおすすめします。このごろは罐詰も枝つきが多くなっていますが、それというのも、冷やしそうめん、卵どうふ、それに蜜豆などに使う際、そのままの姿が好まれるようになったからです。さくらんぼの熟する頃死んだ無頼派の作家、太宰治の忌を、最晩年の作品「桜桃」に併せちなんで「桜桃忌」(六月十九日)といいます。
茎右往左往菓子器のさくらんぼ 虚子
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