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たべもの歳時記71

时间: 2019-12-30    进入日语论坛
核心提示:あじ「アジはもう大衆魚ではありませんや」と、魚屋さんは腕を拱《こまぬ》いて嘆く。年ごとに、朝鮮海峡や東シナ海の漁場から、
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あじ

「アジはもう大衆魚ではありませんや」と、魚屋さんは腕を拱《こまぬ》いて嘆く。年ごとに、朝鮮海峡や東シナ海の漁場から、アジの魚影が減っていき、朝鮮半島の雲行きがあやしくなると、出漁もしばしば危ぶまれ、アジの相場に敏感に跳《は》ね返ってきます。そのむかし、アジはサンマ、イワシ、サバなどとともに、大衆魚の一つに数えられ、日本近海産のものだけでも、二十種あまりおり、そのうちの代表格が、マアジとムロアジでした。近頃は、むかしのような水揚げは期待できませんが、それでも、アジは肉にクセや臭みがなく、どんな料理にも向くので、そうざい用の魚として、欠かすことはできません。
マアジの味は、一年中変らない——と、いわれますが、厳密にいうと、六月から八月頃の暑い季節が、おいしい時季です。近海で獲れるため、鮮度がよく、たたき、すしダネ、フライ、から揚げ、煮つけ、酢のもの……と、なにに使ってもおいしく、そうざい用には、重宝この上ない魚で、まことに「アジ(味)」の名に背きません。
アジには、腹の両側に、尾から頭の辺へかけて、ゼンゴ(竹莢)という刺《とげ》のような特別のウロコがあります。アジを料理するときは、まず第一に、このゼンゴを除かねばなりません。大きさにより、豆アジ、小アジ、中アジ、大アジと分けられ、好みにもよりますが、アジのもっともおいしいのは、小アジ(漁師はジンダ、またはジンダコといいます)の頃です。武井二井周作の『魚鑑《うおかがみ》』(天保二年刊)にも「夏《なつ》月ゆふがし(夕漁)のものを酒媒《さけのさかな》の珍《ちん》とす。大サ一、二寸|肥円《こいまる》く腹中《はらに》あみ[#「あみ」に傍線]満つ。これをなかふくら[#「なかふくら」に傍線]といふ。生熟《なまにる》皆|香美《かうみ》なり。上下《かみしも》ともに賞美《しようび》す」と、記されています。江戸っ子の喜んだ小アジ売りの声は、ちょうど、その頃です。
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