スズキはボラ、ブリなどと同じく出世魚と呼ばれ、成長とともに呼び名が変ります。東京近辺では幼魚二十センチ前後のものをセイゴ、セエゴといい、三十センチくらいのをフッコ、それより大きくなったものをスズキと呼びます。
大きさにより棲む場所がちがい、セイゴとか、フッコの時代には、川に上ってきますが、スズキとなると、もう川には入らず、河口付近に近寄るぐらいです。十一月頃、河口でかえった稚魚は、寒い間は、海底に棲んでいますが、春四月頃になると、川に上ってきます。
春、夏のセイゴ、フッコ、秋から冬の落ちスズキまで、この魚は、太公望たちを楽しませ、殆ど日本各地で獲れますが、関東では常磐、関西では瀬戸内海、宍道《しんじ》湖が主な産地です。セイゴのうちは、さほどおいしくないのに、スズキになると、俄然おいしくなり、とりわけ、初夏には味わいが深まり、晩夏ともなると、脂が乗っていちばんおいしい。
島根県近海で獲れるスズキは、古来有名で、『倭漢三才図会《わかんさんさいずえ》』にも、「雲州ノ松江ニ最モ多シ、夏月特ニ之ヲ賞ス」と、記されています。淡泊な中にも独特のうま味を蔵し、夏の味覚のシンボル。
釣師仲間で「鰓《えら》を洗《あら》う」という|ことば《ヽヽヽ》があって、スズキの特質と考えられています。すなわち、水面付近まで取り込んだ際、急に溌刺として勢いづいてあばれ、釣針から逃れようと、往々にして釣糸を切って、あたら「長蛇《ちようだ》を逸《いつ》す」の歎《たん》を発《おこ》させることがしばしばあるからです。
刺身、洗いがよく、また、塩焼きも夏の料理にふさわしい逸品。上層魚の割りに肉質はがんじょうで、刺身の際は「へぎ作り」にして、食べやすくします。
銀盤に露ちるあらひ鱸かな 笠堂
大きさにより棲む場所がちがい、セイゴとか、フッコの時代には、川に上ってきますが、スズキとなると、もう川には入らず、河口付近に近寄るぐらいです。十一月頃、河口でかえった稚魚は、寒い間は、海底に棲んでいますが、春四月頃になると、川に上ってきます。
春、夏のセイゴ、フッコ、秋から冬の落ちスズキまで、この魚は、太公望たちを楽しませ、殆ど日本各地で獲れますが、関東では常磐、関西では瀬戸内海、宍道《しんじ》湖が主な産地です。セイゴのうちは、さほどおいしくないのに、スズキになると、俄然おいしくなり、とりわけ、初夏には味わいが深まり、晩夏ともなると、脂が乗っていちばんおいしい。
島根県近海で獲れるスズキは、古来有名で、『倭漢三才図会《わかんさんさいずえ》』にも、「雲州ノ松江ニ最モ多シ、夏月特ニ之ヲ賞ス」と、記されています。淡泊な中にも独特のうま味を蔵し、夏の味覚のシンボル。
釣師仲間で「鰓《えら》を洗《あら》う」という|ことば《ヽヽヽ》があって、スズキの特質と考えられています。すなわち、水面付近まで取り込んだ際、急に溌刺として勢いづいてあばれ、釣針から逃れようと、往々にして釣糸を切って、あたら「長蛇《ちようだ》を逸《いつ》す」の歎《たん》を発《おこ》させることがしばしばあるからです。
刺身、洗いがよく、また、塩焼きも夏の料理にふさわしい逸品。上層魚の割りに肉質はがんじょうで、刺身の際は「へぎ作り」にして、食べやすくします。
銀盤に露ちるあらひ鱸かな 笠堂