コトワザに「李下《りか》の冠《かんむり》、瓜田《かでん》の履《くつ》」というのがあります。前漢の劉向《りゆうきよう》のあらわした『列女伝《れつじよでん》』という本の中の、虞姫《ぐき》(斉の威王の後宮にいた)のことばですが、この話に出てくる「瓜田《かでん》に履《くつ》を納《い》れず、李下《りか》に冠《かんむり》を整《ただ》さず」という語は、瓜《うり》の実っている畑で履をはきかえると、いかにも瓜を盗ったように思われるし、李《すもも》が実っている下をとおるとき、手をあげて冠をなおそうとすれば、いかにも李を盗ったように思われるから、そういうような、人から疑われるようなことは避ける——という意味です。
この話は西暦紀元前三七〇年頃のことですので、中国でのすもも栽培の歴史は、かなり古いといえます。原産地は中国。『神仙伝《しんせんでん》』によると、老子の母は李樹の下で、老子を生み落したが、生まれながらによく話し、よく李樹を指したので李の姓をつけた——と伝えられます。
わが国には、よほど古い時代に、大陸から伝わったらしく『日本書紀』には、すでに桃李の実、桃李の花が記され、『万葉集』にも、「わが園《その》の李《すもも》の花か庭に落《ち》る はだれのいまだ残りたるかも」という美しい歌が一首出ています。和名のすももは「酸っぱいもも」の意だといわれます。
在来種は、青すもも、赤すもも、ぼたんきょうなどの別名で呼ばれていた|すもも《ヽヽヽ》で、鳥害を防ぐために早取りしたらしく、熟度の浅いため、相当酸っぱかったようで、「すもも」の名も、なかなか実感がこもっています。
近頃は、プラムと舶来の名で呼ばれ、在来種と輸入種とを交配した雑種には、ビューティ、ソルダム、プラムコットなどがあります。ビューティは酸味が少なく、ソルダムや早生種のサンタローザは、甘さと酸っぱさが、ほどよく調和している品種。いずれも冷やして食べるとおいしい。
この話は西暦紀元前三七〇年頃のことですので、中国でのすもも栽培の歴史は、かなり古いといえます。原産地は中国。『神仙伝《しんせんでん》』によると、老子の母は李樹の下で、老子を生み落したが、生まれながらによく話し、よく李樹を指したので李の姓をつけた——と伝えられます。
わが国には、よほど古い時代に、大陸から伝わったらしく『日本書紀』には、すでに桃李の実、桃李の花が記され、『万葉集』にも、「わが園《その》の李《すもも》の花か庭に落《ち》る はだれのいまだ残りたるかも」という美しい歌が一首出ています。和名のすももは「酸っぱいもも」の意だといわれます。
在来種は、青すもも、赤すもも、ぼたんきょうなどの別名で呼ばれていた|すもも《ヽヽヽ》で、鳥害を防ぐために早取りしたらしく、熟度の浅いため、相当酸っぱかったようで、「すもも」の名も、なかなか実感がこもっています。
近頃は、プラムと舶来の名で呼ばれ、在来種と輸入種とを交配した雑種には、ビューティ、ソルダム、プラムコットなどがあります。ビューティは酸味が少なく、ソルダムや早生種のサンタローザは、甘さと酸っぱさが、ほどよく調和している品種。いずれも冷やして食べるとおいしい。