返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

たべもの歳時記96

时间: 2019-12-30    进入日语论坛
核心提示:くろだい むかしから「二ッ八は風の秋」といい伝えられ、時季による気圧の変り目で、風がよく出る季節です。この季節がクロダイ
(单词翻译:双击或拖选)
くろだい

 むかしから「二ッ八は風の秋」といい伝えられ、時季による気圧の変り目で、風がよく出る季節です。この季節がクロダイのしゅんになります。風とクロダイ。一見、なんのかかわり合いもないような取り合わせですが、これにはちゃんとしたわけがあります。旧の二月は、クロダイにとっては、産卵二カ月前で、からだに充分栄養を蓄え、八月には、栄養を回復する時季で、よく餌を漁り、五体がはち切れんばかりに肥《ふと》って来ます。それに風が伴うので、磯はもちろん、小砂利の浜も、捨石のある防波堤でも、風波で、よく濁り、その上、餌となるものが多くなり、魚の群れが多くやって来るので、釣師たちには、まことに都合のよい季節となる——というわけです。
ちぬ釣の月光竿をつたひくる 吾亦紅
クロダイは大きさによって呼び名が変り、東京付近では、満一歳未満をチンチン、一歳〜三歳をカイズまたはケーズ、満四歳以上の大きくなりきったものをクロダイといいます。九州ではチン、大阪では大阪湾の古名|茅渟《ちぬ》の海に多く産したので、チヌの名で呼んでいます。
東京では、さほどありがたがられませんが、関西や九州では大いに賞味されます。煮てうまい魚とはいえません。しかし洗いにしたり、塩焼き、刺身にすると、相当な味を持った魚で、やはり、夏場がしゅん。子どもの頃、カイズ釣りに行き、釣ってきたてのものをそのまま、大きなまな板の上で、包丁で細かくたたき、なおすり鉢でよくすって、塩味を付け、椎の青葉に包み、真っ赤な七輪の火で焼き、熱いのを頬張りながら食べたときのおいしさを、今改めて思い出します。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%