唐黍を焼く香に峯雲散りそめぬ 如翠
美術院同人で『河童《かつぱ》百図』を描いて有名な日本画家小川|芋銭《うせん》。このひとに「風」という傑作があり、とうもろこし畑が描かれています。残暑きびしいとうもろこし畑に、風が吹き、|さやさや《ヽヽヽヽ》という葉ずれの音は、もう夏の終りを告げています。
一つ一つの実が、それぞれ、ところを得て、びっしりと並び、赤茶けたちぢれ毛がそこからのぞいています。この毛に似たものは、雌花の子房からのびている花柱といわれるもので、先のほうは、花粉がつきやすいように細かい毛が生えています。風に運ばれて、柱頭についた花粉は発芽して、花柱の中を五十センチも花粉管をのばし、子房まで達します。粒の性質によって、硬粒種、甘粒種、爆粒種などと呼ばれますが、とうもろこしの品種は、おどろくなかれ、数千の種類があります。このうち、食用に供されるものとしては、硬粒種がもっとも多い。
原産地はアメリカ大陸の熱帯地方だという説が有力です。アメリカ発見当時、すでにインディアンたちによって、広く栽培されていたといわれます。コロンブスによってヨーロッパに持ち帰られ、三、四十年で欧州全土に分布し、その後、中国を経て、日本には天正七年(一五七九年)に、ポルトガル人によって招来されました。しかし、作物として本格的に栽培されるようになったのは、明治以降、北海道が開拓されるようになってからです。今日でも北海道は、日本最大の産地で、主に粒の大きな硬粒種(ロングフェロー)が、広い地域にわたって栽培されています。最近は、冷凍や罐詰ものが数多く出回り、年中手に入れることができますが、やはり、季節のものの味には及びません。焼いたり、蒸したりするとき、火かげんに気を配り硬くしないのがコツ。
美術院同人で『河童《かつぱ》百図』を描いて有名な日本画家小川|芋銭《うせん》。このひとに「風」という傑作があり、とうもろこし畑が描かれています。残暑きびしいとうもろこし畑に、風が吹き、|さやさや《ヽヽヽヽ》という葉ずれの音は、もう夏の終りを告げています。
一つ一つの実が、それぞれ、ところを得て、びっしりと並び、赤茶けたちぢれ毛がそこからのぞいています。この毛に似たものは、雌花の子房からのびている花柱といわれるもので、先のほうは、花粉がつきやすいように細かい毛が生えています。風に運ばれて、柱頭についた花粉は発芽して、花柱の中を五十センチも花粉管をのばし、子房まで達します。粒の性質によって、硬粒種、甘粒種、爆粒種などと呼ばれますが、とうもろこしの品種は、おどろくなかれ、数千の種類があります。このうち、食用に供されるものとしては、硬粒種がもっとも多い。
原産地はアメリカ大陸の熱帯地方だという説が有力です。アメリカ発見当時、すでにインディアンたちによって、広く栽培されていたといわれます。コロンブスによってヨーロッパに持ち帰られ、三、四十年で欧州全土に分布し、その後、中国を経て、日本には天正七年(一五七九年)に、ポルトガル人によって招来されました。しかし、作物として本格的に栽培されるようになったのは、明治以降、北海道が開拓されるようになってからです。今日でも北海道は、日本最大の産地で、主に粒の大きな硬粒種(ロングフェロー)が、広い地域にわたって栽培されています。最近は、冷凍や罐詰ものが数多く出回り、年中手に入れることができますが、やはり、季節のものの味には及びません。焼いたり、蒸したりするとき、火かげんに気を配り硬くしないのがコツ。