近頃は、野菜にかぎらず、魚も捕獲技術や冷凍技術が進んだために、しゅんが定かでなくなりつつあります。沿岸もののしゅんそのものは、さほど変っていませんが、冷凍魚として運び込まれてくる遠洋もののために、しゅんは、それこそ、世界中から、年中花ざかりになろうとしています。
サケもその例外ではなく、むかしは産卵のため、生まれ故郷の川に戻るシーズン、つまり、秋から冬にかけてがしゅんだったのに、近頃では、風薫る五月に、サケ・マス船団が北洋めざして出漁し、家庭では入道雲を眺めながら、ひと塩もののサケを賞味できるような時代になりました。
一般にサケの味は、川に入る直前、沖獲りしたものがおいしく、石狩川のような大きな川では、河口付近で、川を遡りはじめに獲れたものがおいしいと、土地っ子はいいます。
サケはマスと同じく、美しい肉色をし、なめらかなやわらかさをもち、脂が乗っていながら、クセ味がないので、いろいろな料理に使われてきました。しかし、産地が北洋にかぎられているので、最近までは、関西方面では、主に塩蔵品——塩ザケ、罐詰しか口にできませんでした。現在では、保存や輸送の技術が進み、どこでも生ザケを味わうことができます。
今でこそ、サケは高級魚の一つに数えられていますが、かつては庶民のそうざい用のサカナでした。北海道や東北の河川流域の各地には、三平汁や石狩鍋、もみじ漬け、酒浸し……といったサケの郷土料理が発達しました。塩ザケ、とくに|あらまき《ヽヽヽヽ》は、直火焼きがいちばん。そのほか、家庭ではフライ、バター焼き、かす汁などもおいしく、洋風料理には欠かせぬ魚です。
鮭飯のほの赤味さすぬくみかな 林火
サケもその例外ではなく、むかしは産卵のため、生まれ故郷の川に戻るシーズン、つまり、秋から冬にかけてがしゅんだったのに、近頃では、風薫る五月に、サケ・マス船団が北洋めざして出漁し、家庭では入道雲を眺めながら、ひと塩もののサケを賞味できるような時代になりました。
一般にサケの味は、川に入る直前、沖獲りしたものがおいしく、石狩川のような大きな川では、河口付近で、川を遡りはじめに獲れたものがおいしいと、土地っ子はいいます。
サケはマスと同じく、美しい肉色をし、なめらかなやわらかさをもち、脂が乗っていながら、クセ味がないので、いろいろな料理に使われてきました。しかし、産地が北洋にかぎられているので、最近までは、関西方面では、主に塩蔵品——塩ザケ、罐詰しか口にできませんでした。現在では、保存や輸送の技術が進み、どこでも生ザケを味わうことができます。
今でこそ、サケは高級魚の一つに数えられていますが、かつては庶民のそうざい用のサカナでした。北海道や東北の河川流域の各地には、三平汁や石狩鍋、もみじ漬け、酒浸し……といったサケの郷土料理が発達しました。塩ザケ、とくに|あらまき《ヽヽヽヽ》は、直火焼きがいちばん。そのほか、家庭ではフライ、バター焼き、かす汁などもおいしく、洋風料理には欠かせぬ魚です。
鮭飯のほの赤味さすぬくみかな 林火