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たべもの歳時記173

时间: 2020-01-11    进入日语论坛
核心提示:かながしら 魚問屋の仕切り帳にはよく「い」の字が書いてあります。カナガシラの符丁で、平がなの頭文字をあてたしゃれです。ホ
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かながしら
 魚問屋の仕切り帳にはよく「い」の字が書いてあります。カナガシラの符丁で、平がなの頭文字をあてたしゃれです。ホウボウ科に属するだけあって、確かにホウボウに似ていますが、背中に斑紋が見られないこと、ウロコはホウボウよりも大きく、胸ビレの両面が赤いことなどで、見分けられます。本州中部以南の沿岸、やや深海の底に棲み、底曳網で獲ります。ホウボウにしろ、カナガシラにしろ、食べられる部分は、ぶこつな太い骨にはばまれて、四割ぐらいしかなく、この点を計算に入れると、割高な魚。
カナガシラの頭といえば、天保飢饉の際、大坂の大塩平八郎は、知己の町奉行矢部駿河守を訪ね、民衆の救済策を献策中、もてなしに出たカナガシラを頭から骨ごと噛み砕き、給仕の小姓をおどろかしたという逸話が残っています。この話から、大塩が貧民救済のため、日夜心を砕き、熱情を籠《こ》めて、奉行を説得しているありさまが彷彿《ほうふつ》として来ます。いかに、話に夢中になったとはいえ、あの頑丈なカナガシラの頭を噛み砕くとは……、大塩は冷徹な陽明学者の一面、不正を憎むことでは、人一倍激しい熱情の持ち主だったことが窺《うかが》えます。
これから冬にかけてうまくなり、冬場は上等のてんぷらダネとされ、塩焼きにしても淡泊で、まずまずの味。その味はホウボウに優《まさ》る——というひとがあるかと思えば、いや劣る——と、ひとによって、さまざまに評価が分れます。
横井也有《よこいやゆう》の『百魚譜《ひやくぎよふ》』には、「かながしらといふ名のめでたくぞ、産屋《うぶや》の祝儀につかはれはべる……」と記され、子どもの生まれたときなど、この魚を膳に供える例もあります。名ばかりでなく、姿、形が堅固なところから、健康な子に育つようにとの縁起にちなむものです。
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