ザルガイ科には、ザルガイ、ナガザルガイ、エゾイシカゲガイ、それに鳥貝があります。鳥貝はこの中でも殻がもっとも薄く、殻幅は厚く、ハート形にふくれています。表面に四十六条内外の放射肋があり、殻の内面は、淡紅紫色をしていて、殻長は十センチくらいあります。水深数メートルの泥土質の浅海を|すみか《ヽヽヽ》とし、とくに伊勢湾・大阪湾が産地として有名。八月から翌年の四月頃にかけて、桁網《けたあみ》で採取します。
鳥貝の名の起りについて、たいていの本には「鳥肉に似た味がするので、この名がある」と、記されていますが『倭漢三才図会《わかんさんさいずえ》』には「肉ノ状、鳥の啄《クチバシ》ノ如シ、故ニ俗ニ鳥貝ト名ヅク」と、名の由来を記しています。どうやら鳥貝の肉を見ると、このほうが、命名の由来としては、ぴったりしています。肉には特有の風味があり、やわらかく、むかしから珍重され、前記の三才図会にも「其ノ肉|炙《アブ》リ食テ甘ク美《ウマ》シ、煮テモ亦佳シ」と記されています。すしダネとして広く用いられるほか、酢のもの、刺身の盛り合わせ、酢みそあえなどにして賞味されます。また、水煮の罐詰や、乾燥して干し鳥貝としても加工されます。
産卵期は五月から十月。おいしい季節は、冬から春先にかけてです。おもしろいことに、三才図会には「猫、鳥蛤《トリガヒ》ノ膓ヲ食ヘバ、則チ耳脱ケ落ツ也、又云フ鳥蛤ノ腹ニ小キ蟹《カニ》有リ、大キサ豆ノ如シ、是レ此ノ瑣※[#「虫+吉」、unicode86e3]《サウキツ》之類カ、食フ所之蟹カ」と、記されています。猫が鳥貝のはらわたを食うと、耳が脱け落ちるかどうか、まだ実験したことはありませんが、いずれにしても前代未聞の珍説ですね。鳥貝は加熱すると、肉が固くなるので、食べるときは、酢で味を補って生食したほうが、しこしこした歯ざわりが楽しめます。
鳥貝の名の起りについて、たいていの本には「鳥肉に似た味がするので、この名がある」と、記されていますが『倭漢三才図会《わかんさんさいずえ》』には「肉ノ状、鳥の啄《クチバシ》ノ如シ、故ニ俗ニ鳥貝ト名ヅク」と、名の由来を記しています。どうやら鳥貝の肉を見ると、このほうが、命名の由来としては、ぴったりしています。肉には特有の風味があり、やわらかく、むかしから珍重され、前記の三才図会にも「其ノ肉|炙《アブ》リ食テ甘ク美《ウマ》シ、煮テモ亦佳シ」と記されています。すしダネとして広く用いられるほか、酢のもの、刺身の盛り合わせ、酢みそあえなどにして賞味されます。また、水煮の罐詰や、乾燥して干し鳥貝としても加工されます。
産卵期は五月から十月。おいしい季節は、冬から春先にかけてです。おもしろいことに、三才図会には「猫、鳥蛤《トリガヒ》ノ膓ヲ食ヘバ、則チ耳脱ケ落ツ也、又云フ鳥蛤ノ腹ニ小キ蟹《カニ》有リ、大キサ豆ノ如シ、是レ此ノ瑣※[#「虫+吉」、unicode86e3]《サウキツ》之類カ、食フ所之蟹カ」と、記されています。猫が鳥貝のはらわたを食うと、耳が脱け落ちるかどうか、まだ実験したことはありませんが、いずれにしても前代未聞の珍説ですね。鳥貝は加熱すると、肉が固くなるので、食べるときは、酢で味を補って生食したほうが、しこしこした歯ざわりが楽しめます。