「にんじんは中を補い、五臓を安んじ、食を健ならしめ益ありて損なし」などと、古くから精力のつく野菜として知られています。寒い季節には、栄養的な食べ方からいって、にんじんをおすすめしたいものです。おろしだいこんに、にんじんを一、二割おろして加え、いわゆる「もみじおろし」にして、酢じょうゆで味つけしてのシラスボシなどは、おいしいものです。カゼを引いて食欲のないとき、こうしたものを出すと、案外、食欲がすすむものです。この頃、細長いにんじんは、すっかり影を潜め、殆ど短いにんじんになっています。それというのも、長いのより、やわらかく、味もいいからでしょう。
落水やにんじん洗ふ手の赤き 錦朗
にんじんは欧州原産のセリ科の越年性草本で、二千年くらいの栽培歴があるといわれています。十五世紀にフランスで改良されてから世界各国に伝わり、わが国には、約三百年前、中国を経て渡来し、改良を加えて今日に至っています。
にんじんの名は、朝鮮の薬用植物として有名なウコギ科の「人参《にんじん》」に、その根の形が似ているからだといわれ、葉がせりに似ているところから「せりにんじん」または「やまとにんじん」と呼ばれていたのですが、いつしか「にんじん」の名を、占有するようになりました。長目で赤紅色の東洋系と、長さが十五センチ内外と短か目で樺色の西洋系に大別でき、有名なものとしては、東京の滝野川にんじん、群馬県の国府《こくぶ》にんじん、大阪の金時にんじんなどがあります。
和風には、煮〆、なます、白あえ、生食が一般的ですが、きんぴら、かき揚げにしてもよく、サラグやぬか漬けにもおすすめできます。また、料理の色どりの美しさからもぜひ……。
落水やにんじん洗ふ手の赤き 錦朗
にんじんは欧州原産のセリ科の越年性草本で、二千年くらいの栽培歴があるといわれています。十五世紀にフランスで改良されてから世界各国に伝わり、わが国には、約三百年前、中国を経て渡来し、改良を加えて今日に至っています。
にんじんの名は、朝鮮の薬用植物として有名なウコギ科の「人参《にんじん》」に、その根の形が似ているからだといわれ、葉がせりに似ているところから「せりにんじん」または「やまとにんじん」と呼ばれていたのですが、いつしか「にんじん」の名を、占有するようになりました。長目で赤紅色の東洋系と、長さが十五センチ内外と短か目で樺色の西洋系に大別でき、有名なものとしては、東京の滝野川にんじん、群馬県の国府《こくぶ》にんじん、大阪の金時にんじんなどがあります。
和風には、煮〆、なます、白あえ、生食が一般的ですが、きんぴら、かき揚げにしてもよく、サラグやぬか漬けにもおすすめできます。また、料理の色どりの美しさからもぜひ……。