金柑は今も親しい咳《せき》の薬 いとけなきより食ふものとせず
植村寿樹という方の歌ですが、きんかんはむかしからカゼや咳の薬になるといわれ、「カゼがはやるときんかんが売れる」ということわざまであります。きんかんにかぎらず、みかん類は皮の部分にとりわけ多くのビタミンをふくんでいますが、中でも、きんかんの皮には、百グラム中実にビタミンCが二百ミリグラム、Aが千五百国際単位というほど、高単位ふくまれています。咳止め、カゼ薬として、むかしは多くの場合、煎《せん》じて飲んでいたようですが、、それよりも砂糖煮にして食べたほうが、よく利き、とくにお子さま用として、おすすめできます。出盛りは十二月から二月の真冬です。種類として、にんぽきんかん(寧波金柑)、丸実きんかん、長寿きんかんなどがあります。
にんぽきんかんは、今から百四十四年前の文政九年(一八二六年)の一月一日、駿河国榛原郡吉田村住吉に漂着した清国寧波の船にのっていた鉢植えから生じたもので、静岡に根をおろし、各地に広まった品種です。別名「明和金柑《めいわきんかん》」「天明金柑《てんめいきんかん》」ともいい、形は楕円形をしていて、俗に長実きんかんの名で親しまれ、わが国で栽培されているきんかん類の中では、いちばん大きく、生のまま齧《かじ》ってもおいしく、また蜜煮、砂糖漬けにも適しています。丸実きんかんは、揚子江沿岸から安徽《あんき》省にかけて野生種があるといわれる品種で、わが国では主に福島県で栽培され、直径二センチの球形をしたきんかん。愛玩用に鉢物にしたり、生食、蜜煮に適したものです。蜜煮にするときの作り方は、きんかんをさっと湯通しし、砂糖、水、ブランディで手早く蜜を作り、冷ましてから、きんかんをいっしょに、弱火でじっくり煮上げます。
植村寿樹という方の歌ですが、きんかんはむかしからカゼや咳の薬になるといわれ、「カゼがはやるときんかんが売れる」ということわざまであります。きんかんにかぎらず、みかん類は皮の部分にとりわけ多くのビタミンをふくんでいますが、中でも、きんかんの皮には、百グラム中実にビタミンCが二百ミリグラム、Aが千五百国際単位というほど、高単位ふくまれています。咳止め、カゼ薬として、むかしは多くの場合、煎《せん》じて飲んでいたようですが、、それよりも砂糖煮にして食べたほうが、よく利き、とくにお子さま用として、おすすめできます。出盛りは十二月から二月の真冬です。種類として、にんぽきんかん(寧波金柑)、丸実きんかん、長寿きんかんなどがあります。
にんぽきんかんは、今から百四十四年前の文政九年(一八二六年)の一月一日、駿河国榛原郡吉田村住吉に漂着した清国寧波の船にのっていた鉢植えから生じたもので、静岡に根をおろし、各地に広まった品種です。別名「明和金柑《めいわきんかん》」「天明金柑《てんめいきんかん》」ともいい、形は楕円形をしていて、俗に長実きんかんの名で親しまれ、わが国で栽培されているきんかん類の中では、いちばん大きく、生のまま齧《かじ》ってもおいしく、また蜜煮、砂糖漬けにも適しています。丸実きんかんは、揚子江沿岸から安徽《あんき》省にかけて野生種があるといわれる品種で、わが国では主に福島県で栽培され、直径二センチの球形をしたきんかん。愛玩用に鉢物にしたり、生食、蜜煮に適したものです。蜜煮にするときの作り方は、きんかんをさっと湯通しし、砂糖、水、ブランディで手早く蜜を作り、冷ましてから、きんかんをいっしょに、弱火でじっくり煮上げます。