魚市の目に止め来る金目鯛 夏子
キンメダイは、深海魚特有の大きな眼をしています。名まえから受ける感じは、タイの仲間のように受け取れます。からだの赤い色や、からだの恰好は確かにタイによく似ていますが、全然種類のちがう魚です(キンメダイ科に属する)。これも、タイ好きの日本人の嗜好にあやかった名まえで、キンメダイにいわせれば「いい迷惑」かも知れません。いずれにしろ、しろうとにはタイと見まちがえやすい魚のひとつです。眼の虹彩がネコの眼のように、金色に輝いているところから「金目ダイ」の名が付けられました。相模湾や、駿河湾、房州沖などの二百メートルぐらいの深海に棲息し、ムツ釣りの外道として揚がるので、わずかに釣り魚の仲間に入っています。
体長は四十センチぐらいで、正月頃から二月までの寒中に獲れる魚。白身で、やわらかく、脂もよく乗り、タイに劣らないくらいおいしい味を持ち、冬のちりなべには、もっともふさわしい魚です。鮮度もよく、産地では刺身にもします。そのほか、甘辛く、やや濃い目の味で煮つけると、喜ばれましょう。煮つける際は、きざみしょうがを少しふり入れて。肉質がやわらかく、身崩れを起しやすい上、脂が溶け出すので、焼きものにはあまり向きません。蒸しものにすると、適度に身も締まり、持ち味をフルに生かすことが出来ます。
蒸し上げてレモンの香立ちぬ金目鯛 春子
伊豆の漁村では、だいこん、ごぼう、ねぎ、さといもなどを取り合わせて、タイの頭や中骨もいっしょに、みそ汁仕立てにします。俗に「キンメのみそ汁」と呼ばれるもので、煮えばなの熱々を、ふうふう吹きながら、いただくとからだの芯まで、ほかほかと温まって来るからふしぎです。
キンメダイは、深海魚特有の大きな眼をしています。名まえから受ける感じは、タイの仲間のように受け取れます。からだの赤い色や、からだの恰好は確かにタイによく似ていますが、全然種類のちがう魚です(キンメダイ科に属する)。これも、タイ好きの日本人の嗜好にあやかった名まえで、キンメダイにいわせれば「いい迷惑」かも知れません。いずれにしろ、しろうとにはタイと見まちがえやすい魚のひとつです。眼の虹彩がネコの眼のように、金色に輝いているところから「金目ダイ」の名が付けられました。相模湾や、駿河湾、房州沖などの二百メートルぐらいの深海に棲息し、ムツ釣りの外道として揚がるので、わずかに釣り魚の仲間に入っています。
体長は四十センチぐらいで、正月頃から二月までの寒中に獲れる魚。白身で、やわらかく、脂もよく乗り、タイに劣らないくらいおいしい味を持ち、冬のちりなべには、もっともふさわしい魚です。鮮度もよく、産地では刺身にもします。そのほか、甘辛く、やや濃い目の味で煮つけると、喜ばれましょう。煮つける際は、きざみしょうがを少しふり入れて。肉質がやわらかく、身崩れを起しやすい上、脂が溶け出すので、焼きものにはあまり向きません。蒸しものにすると、適度に身も締まり、持ち味をフルに生かすことが出来ます。
蒸し上げてレモンの香立ちぬ金目鯛 春子
伊豆の漁村では、だいこん、ごぼう、ねぎ、さといもなどを取り合わせて、タイの頭や中骨もいっしょに、みそ汁仕立てにします。俗に「キンメのみそ汁」と呼ばれるもので、煮えばなの熱々を、ふうふう吹きながら、いただくとからだの芯まで、ほかほかと温まって来るからふしぎです。