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食物ことわざ事典06

时间: 2020-01-11    进入日语论坛
核心提示:熱いが御馳走 ある人が利休に、炉と風炉と、夏と冬との茶湯の心持ちについての極意を承りたいと尋ねたところ、「夏はいかにも涼
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熱いが御馳走

 ある人が利休に、炉と風炉と、夏と冬との茶湯の心持ちについての極意を承りたいと尋ねたところ、「夏はいかにも涼しいように、冬はいかにも暖かなるように……」と、利休が答えた──という『南方録』巻一、覚書に見える話は、茶を嗜《たしな》まれる方なら、どなたもご存知ですが、いざこの心に添って、お茶事を行おうとなると、なかなかむずかしい。とりわけ、利休の強調したかった「いかにも」という副詞は、この場合、「さも」という意味に採るか、「きわめて、非常に」の意味に解するかによって、心の働き、心持ちのありようがちがってきます。「さも」の意なら、所作において、演出の工夫がいるでしょうし、「きわめて、非常に」の意なら、十分な心遣いが入用となってきます。「冬はいかにも暖かなるように」との心の働きを、料理の世界に例を採るなら、「熱いが御馳走」などは、そうした心遣いの原点となります。
多くの御馳走は、温かいときのほうがうまいので、御馳走をすすめるときに、このような言い方をします。せっかく、温かいうちに差し出したのに、話に夢中になったり、妙に遠慮して箸《はし》をつけなかったりして冷ましてしまっては、作ってくれた人の好意も、うまい味わいも台なしになってしまいます。このような|ていたらく《ヽヽヽヽヽ》を何度も体験した大谷光瑞師は、
「不肖《ふしよう》饗宴《きようえん》に列し、往々塩焼を供せらる。不肖は直ちに之を食すと雖《いえど》も、他の人にして、更に箸を下さゞるあり。或は之を好まざるによるやを疑ふ。時を経るや半時、一時の後更に箸を下せり。何故に直ちに之を食はざるや、之を欲せざれば、食はざるも可なり。欲して食はず、美味を捨て不良を食す。是の如き人は、食の味を知らざる人にして、終身薄福を免れず。憫《あわれ》むべき輩なり。不肖客を饗し塩焼を供せば、必ず客に勧むるに直ちに之を食せん事を以てす。決して無言に供するに非らず」(『食』)
と、口をきわめて訓《さと》しています。温かいうちに食べなければ、食べ物の真味が味わえない料理の数々ある中で、とりわけ、魚をネタにしたお吸いものなどは、どうしても熱いうちのもので、冷めてしまっては、まったく処置なしです。油料理なども熱いうちに食べるのが上乗。揚げたての熱いのを食べるのは、御馳走してくれた主と料理人への敬意の表われです。
天ぷらなどをうまく食べるには、やはり、天つゆや食塩ではなく、「揚げたての熱々をすぐ食べること」だとはよく聞く話です。事実、うまく食べるには、揚げたてにかなうものはありません。先年亡くなった東京神田「天政」の主人橋井政二さんは、
「天ぷらばかりは、さっと揚げればパッと食べ、食べ終わったときに次が揚げられて……といった呼吸のやりとりでなきゃあ、やりがいがありませんや」
と、漏《も》らしていました。橋井さんが言っていたように、こうした味の真剣勝負に都合のいいように天ぷら専門店では、揚げ鍋の前で、すぐ揚げたての熱々を食べられるように客席が設計されています。「熱いが御馳走」──茶ごころの発露は、主客の所作によって表現されます。
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