ちりめんじゃこは関西の呼び名で、関東では、しらす干しの名で呼びます。ちりめんじゃこもしらす干しも同じ物ですが、専門家に言わせると、微妙なちがいがあるようです。
「両方とも、カタクチイワシ(セグロイワシ)の稚魚をゆでて干したものだが、しらす干しは生乾きで、しっとり。一方、ちりめんじゃこは、しらす干しの上等品で、乾燥がよく、値段も高い」というわけです。稚魚は成長すると、煮干し(関西ではいりこ)・丸干し・目刺し・五万米《ごまめ》になります。ところで、ことわざの意味ですが、たかがカタクチイワシの稚魚を干しただけのものなのに、高級魚なみに大きな顔をして、食膳にのる。卑しい者が、身分ちがいな高い地位の人たちにまじっていることの|たとえ《ヽヽヽ》に用い、もっぱら冷やかすときに使われます。同じ意味のことわざに「|鰯 俵《いわしだわら》も俵《たわら》の中《うち》」があります。寓意は、人は身分相応が大切──ということになりましょうか。
稚魚のうち、体色素が未だできていないため、からだが白いころの魚は、すべてしらすで、これを干したものがしらす干しになります。したがって、内容はいろいろな魚をふくんでいるわけですが、ふつうにしらす干しとして売られているのは、カタクチイワシ。カタクチイワシ以外のしらすとしては、アジ・カマス・アナゴ・ウナギ・キビナゴが知られています。
しらす干しは、その名の通り、白いことが身上です。黒ずんでいたり、赤ちゃけたものは下等品になります。そこで、業者は白い製品に作り上げるよう苦労し、それには原料の吟味が第一で、鮮度がよく、含有脂肪が少なく、色つきの餌を飽食しているようなことがなく、体色素やウロコができていない魚体を使うことに気をつかいます。作る際には水洗いをよくします。
しらす干しの作り方は、煮干しとほぼ同じですが、魚体が弱いので、崩れないように注意します。少量のしらすを籠《かご》に入れ、流水を充たしたタンクの中をくぐらせて洗います。一方、小さい丸釜に薄い食塩水を沸騰させておいて、この湯の中に、水切りしたしらすをあけます。そうして、大きなしゃもじでよく掻《か》き回します。煮えて魚が浮き上がってきたら、籠ですくい取ります。この時間は、魚の量によって一定しませんが、早い場合は一分足らず、遅くても二、三分です。籠のしらすは目の細かい簾《すだれ》か蓆《むしろ》にそっとあけて日乾しします。干し終わるまでは、手を触れません。乾燥は一日で終り、歩留りは一五〜二〇%。
関東では、塩分がやや多く、肉質のやわらかな製品が好まれますが、関西では、塩分がやや少なく、その代り、よく干した製品が好まれます。そこで業者は、煮熟液の塩分を変えていて、関西向きを作る際は、水九〇リットルに対して塩を六キログラム、関東向きには、一〇キログラムと多く使います。しらすは親魚とはちがったおいしさをもち、吸い物によく、また、大根おろしとよく合います。
急な客ちりめんざこへ海苔を入れ はるお
「両方とも、カタクチイワシ(セグロイワシ)の稚魚をゆでて干したものだが、しらす干しは生乾きで、しっとり。一方、ちりめんじゃこは、しらす干しの上等品で、乾燥がよく、値段も高い」というわけです。稚魚は成長すると、煮干し(関西ではいりこ)・丸干し・目刺し・五万米《ごまめ》になります。ところで、ことわざの意味ですが、たかがカタクチイワシの稚魚を干しただけのものなのに、高級魚なみに大きな顔をして、食膳にのる。卑しい者が、身分ちがいな高い地位の人たちにまじっていることの|たとえ《ヽヽヽ》に用い、もっぱら冷やかすときに使われます。同じ意味のことわざに「|鰯 俵《いわしだわら》も俵《たわら》の中《うち》」があります。寓意は、人は身分相応が大切──ということになりましょうか。
稚魚のうち、体色素が未だできていないため、からだが白いころの魚は、すべてしらすで、これを干したものがしらす干しになります。したがって、内容はいろいろな魚をふくんでいるわけですが、ふつうにしらす干しとして売られているのは、カタクチイワシ。カタクチイワシ以外のしらすとしては、アジ・カマス・アナゴ・ウナギ・キビナゴが知られています。
しらす干しは、その名の通り、白いことが身上です。黒ずんでいたり、赤ちゃけたものは下等品になります。そこで、業者は白い製品に作り上げるよう苦労し、それには原料の吟味が第一で、鮮度がよく、含有脂肪が少なく、色つきの餌を飽食しているようなことがなく、体色素やウロコができていない魚体を使うことに気をつかいます。作る際には水洗いをよくします。
しらす干しの作り方は、煮干しとほぼ同じですが、魚体が弱いので、崩れないように注意します。少量のしらすを籠《かご》に入れ、流水を充たしたタンクの中をくぐらせて洗います。一方、小さい丸釜に薄い食塩水を沸騰させておいて、この湯の中に、水切りしたしらすをあけます。そうして、大きなしゃもじでよく掻《か》き回します。煮えて魚が浮き上がってきたら、籠ですくい取ります。この時間は、魚の量によって一定しませんが、早い場合は一分足らず、遅くても二、三分です。籠のしらすは目の細かい簾《すだれ》か蓆《むしろ》にそっとあけて日乾しします。干し終わるまでは、手を触れません。乾燥は一日で終り、歩留りは一五〜二〇%。
関東では、塩分がやや多く、肉質のやわらかな製品が好まれますが、関西では、塩分がやや少なく、その代り、よく干した製品が好まれます。そこで業者は、煮熟液の塩分を変えていて、関西向きを作る際は、水九〇リットルに対して塩を六キログラム、関東向きには、一〇キログラムと多く使います。しらすは親魚とはちがったおいしさをもち、吸い物によく、また、大根おろしとよく合います。
急な客ちりめんざこへ海苔を入れ はるお