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食物ことわざ事典226

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:フグは食いたし命は惜しし 芭蕉の句に河豚《フグ》汁や鯛もあるのに無分別あら何ともなやきのふはすぎて河豚と汁というのがあり
(单词翻译:双击或拖选)
フグは食いたし命は惜しし

 芭蕉の句に
河豚《フグ》汁や鯛もあるのに無分別
あら何ともなやきのふはすぎて河豚と汁
というのがあり、フグに猛毒のあることは、ずいぶん古くから知られていたようです。このことわざも古くから世俗になじみ、うまいフグ料理を食べたい気持ちは山々だが、毒のことを思うと、手を出しかねる——そんな気持ちを寺島良安なる御仁《ごじん》は「咽元《のどもと》三寸、暫しの口味に泥《なづ》んで、身命を賭《かけもの》にするのは、恰も有夫有婦が姦通する時の心持ちと、その趣きは一つである」と喩《たと》えていますが、確かにこの評言は、ズバリ複雑な気持ちを言い当てています。
それにしても、フグを食べることは命がけの冒険であったようで、江戸のむかしはともかく、現代でもいまだに毎年二〇〇人以上が中毒し、死者も百数十人を越えているそうで、そのほとんどが素人料理の犠牲者だというからあわれです。フグのアダ名をテッポウ(鉄砲)というのは「あたったら命がない」というシャレからきていますが、さすがに実感がこもっています。
フグの毒成分はテトロドトキシンの名で呼ばれ、フグの学名テトロドンと毒のトキシンをくっつけたものです。無色・無味・無臭で青酸カリの一三倍という猛毒。〇・五ミリグラムの極微量で、体重五〇キロの人間がころりとまいるというから恐しいものです。
フグの中でもいちばんうまいトラフグ一匹の毒で一三人、とぼけた顔のマフグ一匹の毒で、三〇人は軽く眠らされると言います。しかもこの毒は、数時間煮ても分解しないし、酸味のきつい調味料に対しても強く、決め手となる解毒剤は、残念ながら、今もって発見されていません。さらに始末の悪いことは、同じ種類のフグでも毒の強さは一匹ごとに異なり、季節によっても変化します。「菜種フグは食べるな」という戒めも、菜の花の咲くころは、ちょうどフグの産卵期にあたり、とくに卵巣に毒が多くなり、また、からだの中の毒も強くなるものがあるので注意が必要です。このため、多くの県ではフグ料理人の免許制をとっていて、ちゃんとした店では心得ている人が必ず包丁をとることになっているので安心ですが、問題は素人料理やモグリにあります。とりわけ毒性の強いのは、マコ(卵巣)とキモ(肝臓)で、食中毒の発生例を調べてみても、肝臓・卵巣などの内臓や、皮肌のはいりやすい煮付け・汁・ちりなべなどの場合が多く、ときには塩漬けや粕漬け、干物でも発生しているので油断はなりません。
こんなフグも料理のしかたが当を得ていれば恐るるに足らず、刺身、ちり、雑炊、煮|凍《こご》り、ヒレ酒と楽しみが多く、わけてもおいしいのはフグ刺で、脂ののりきった冬が最高のしゅん。本場下関産の上等をいちど口にすれば、蘇東坡ならずとも「一死に値す」とほめたたえたくなる天与の美味。骨つきの身といっしょに、春菊、とうふを添え、ボン酢で味わうちりなべのうまさも断然たるものです。
白妙の河豚のつくり身ありがたし ありがたしとてたうべけるかも
 吉井勇     
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