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日本むかしばなし集03

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:桃太郎《ももたろう》一むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんとが、住んでおりました。ところが、夏のある日の
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桃太郎《ももたろう》
 

むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんとが、住んでおりました。
ところが、夏のある日のことでした。おじいさんは山へシバかりに出かけました。
「行ってらっしゃい。」
おばあさんは、おじいさんを送りだすと、
「どれ、どれ、わたしは、川へせんたくに行きましょう。」と、たらいをかかえて川へせんたくに出かけました。
「ざぶざぶ、ざぶざぶ。」
おばあさんは、せいだしてせんたくをしました。すこしすると、川上から、うきしずみして、流れてくるものがありました。
「はて、なんだろう。」
おばあさんは、せんたくをやめて、頭をかしげて考えました。まるいものです。スイカぐらいの大きさです。白くて、青くて、うす赤です。桃にしては大きいし、ウリにしてはまんまるだし。と、もうそれは見えるところにやってきました。それは大きな大きな桃だったのです。
「まあ、めずらしい桃。なんて大きな、おいしそうな桃。いいえ、きれいで、そして美しい桃。」
おばあさんが、そんなことを考えているうちに、桃はやがて手のとどくところへ流れてきました。
「さあ、きたあ。」
おばあさんはうれしくて、すぐ手をのばして、それをつかまえました。ところが、どうでしょう。それは、重たくて、なかなか上にあがりません。両手でだいて、
「どっこいしょっ。」
と、おばあさんは力を入れました。水から上へすこしあがったと思うと、手がすべって、どぶーんと、下に落ちました。桃は水の底にしずんでしまいました。
「これはこまった。おしいことをした。」
おばあさんがそういっていますと、また目の前に、桃がぴょこりとういてきました。
「あれ、ありがたや。こんどこそ、じょうずに取りましょうぞ。さあ、桃軽くなれ。軽くなれ。おばあさんの手からすべるでないよ。」
おばあさんは桃を手もとにかきよせ、こんどこそと、しっかり両手をかけました。そして、
「どっこい、こらしょっ。こらしょっのどっこい、よいしょっ。」
そういう長いかけ声をして、やっとぶじに胸《むね》の前にかかえこみました。それから、そばのたらいの上におろしました。そして、つくづくながめました。まったく、めずらしい桃です。見たこともない桃です。聞いたこともない桃です。
「おじいさんといっしょに食べましょう。きっと、もう今まで食べたこともないほどおいしい味にちがいない。」
おばあさんは思いました。

その晩《ばん》のことです。
「帰りましたよ。」
と、おじいさんが、シバをいっぱい背《せ》おって帰ってきました。
「おつかれでしょう。」
いうかいわないに、おばあさんはもう桃のことをいいだしました。
「おじいさん、いいことがあるのですよ。早く上へおあがりなさい。」
おじいさんはにこにこして、シバをかたづけ、手を洗ってあがってきました。そして、茶の間にはいってみれば、そこのまないたの上に、なんとまあ大きな桃がのっかっておることでしょう。
「や、りっぱな桃だ。日本一の桃だ。」
おじいさんがびっくりしていいました。そして、片手にもう、ほうちょうを持っているおばあさんをとめました。
「待て、待て。すぐ食べるのおしいじゃないか。」
それから、どれくらい長く、ふたりは桃をながめたでありましょうか。つまり、桃をながめてはごはんを食べ、ごはんを食べては桃をながめました。ごはんがすんで、それをかたづけると、おばあさんがいいました。
「おじいさん、桃はまだですか、まだ食べるのおしいですか。」
「ふうん。」
おじいさんは、考えました。
「では、とにかく、すこし味をきいてみることにしよう。ほんのちょっぴり。」
そこで、おばあさんは、ほうちょうを取りました。それから、
「まず、こうして。」
と、桃の頭に、そのほうちょうの刃《は》をあてていいました。
「二つに切ってと。」
ところが、ふしぎなことが起りました。だって、ほうちょうの刃を、ただ、そこにちょっとあてたきりですのに、桃が二つにわれました。いや、われたばかりではありません。そこから、
「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ。」
という声がおこりました。おじいさんとおばあさんふたりとも、もうたいへんなおどろきかたです。だって、そこに、桃の中にひとりの人間の赤ちゃんが、ぴんぴん足をはねているのですもの。
「おう、おう。」
おばあさんがいえば、
「いや、これは、ふしぎ。」
おじいさんがいいました。つづいて、
「なんて、かわいい赤んぼか。」
おばあさんがいいました。
「これは、まったく神さまのさずかりものだぞ。」
おじいさんもいいました。
それから、ふたりはお湯をわかして、赤んぼにうぶ湯をつかわせました。うぶ着というきものなんかもつくって着せました。また、赤いごはんをたいて、お祝いなんぞもいたしました。ふたりはうれしくてうれしくて、それはもうだいじに、その赤んぼをそだてました。名まえも、桃から生まれたので、桃太郎とつけました。

桃太郎は、ずんずんずんずん大きくなりました。かわいらしいのは生まれたときからですが、とてもかしこく、とても力持にもなりました。どんな子どもだってかないません。いいえ、おとなだってかなわなくなりました。そしてまもなく、日本一の子どもになりました。もう鬼《おに》だってかなわなくなったのです。
だから、ある日のことです。桃太郎が、おじいさんおばあさんにいいました。
「おじいさん、おばあさん、ぼくが鬼ガ島へ鬼退治《おにたいじ》に行きます。おべんとうにきびだんごをつくってください。」
「それは、それは——」
と、おじいさんおばあさんも大びっくりいたしました。それでも、人をいじめたり、こまらせたりしている悪い者を退治するというのですから、それをとめるわけにはいきません。
「それでは用心して、まちがいないように行っていらっしゃい。」
おじいさんおばあさんにいわれて、桃太郎は出発しました。右の腰《こし》にはきびだんご、左の腰には太刀《た ち》、背中《せなか》には旗を立てておりました。旗には大きな字で、「日本一の桃太郎」と、書いてありました。
うちを出て、すこし行くと、村へ出ました。すると、一ぴきの大きな犬が、かけよってきました。
「桃太郎さん、桃太郎さん。」
その犬がいいました。むかしのことですから、犬だってものをいったのです。
「なんだ。用事か。」
桃太郎がききました。
「いったい、どこへ行かれるのですか。」
「鬼ガ島へ鬼退治に行く。」
犬は、桃太郎の勇ましいすがたや元気なことばに感心してしまいました。そして、しばらくことばも出さずにおりましたが、
「桃太郎さん、わたしもいっしょに、つれて行ってください。」
と、たのみました。
「よし。それでは、このきびだんごをやる。それを食べて、ついてこい。」
そういって、桃太郎は腰にさげたきびだんごを一つ取って犬にやりました。犬はそれを食べて、
「おいしいだんごですね。はじめてこんなおいしいものを食べました。ありがとうございました。」
そういって、しっぽをぴんぴんふってついてきました。それから、しばらく行くと、こんどは山へはいりました。山へはいると、
「あっ、桃太郎さん——」
そうよんで、出てきた者がありました。一ぴきのサルでした。
「なんだ。用事か。」
桃太郎がいいますと、
「いったいどこへ行かれますか。」
サルがききました。
「鬼ガ島へ鬼退治に行く。」
桃太郎がいいますと、サルはすっかり感心して、顔をまっかにしていいました。
「わたしもいっしょにつれてってください。」
と、頭をさげてたのみました。
「よし、それでは、このきびだんごをやる。これを食べてからついてこい。」
そこで、サルにもきびだんごをやりました。サルも、
「おいしい、おいしい。」
と、きびだんごを食べ、たいへん元気になって、桃太郎についてきました。それから、またしばらく行くと、こんどは野原へ出ました。野原へ出ると、もう、
「ももたろ——さ——ん。」
と、よんで、空を飛んでくるものがありました。見れば、それは一羽《いちわ》のキジでした。キジは、桃太郎の前に、空からおりて、
「桃太郎さん、いったい、どこへ行かれるところですか。」
と、ききました。
「鬼ガ島へ鬼退治に行く。」
桃太郎がいいました。キジは、すっかり感心して、ばたばた羽《は》ばたきをすると、いいました。
「桃太郎さん、わたしもいっしょにつれてってください。おねがいいたします。」
「よし。」
桃太郎がいいました。
「このきびだんごを食べて、元気をつけて、ついてこい。」
そして、腰のだんごを取ってやりました。キジはそれを食べると、にわかに元気がついたらしく、また空に飛びあがり、桃太郎の上を二度も三度も舞って、それから下におりました。
こうして、桃太郎は、犬、サル、キジと三人の者をつれて、いよいよ、鬼ガ島をさして、いそいで出かけました。

桃太郎と、犬、サル、キジの三人は、鬼ガ島が遠くに見える海の岸にやってきました。そこで、桃太郎がいいました。
「だれか舟をさがしてこい。」
「はあ——い。」
サルとキジがそういいました。そして、サルは海ばたの道を走って行きました。キジは空を飛んで行きました。まもなく、帆《ほ》かけ舟《ぶね》がやってきました。帆柱の上には、キジがとまっていました。かじはサルがとっていました。サルはじょうずにかじをとって、桃太郎のすぐ前に舟をつけました。
「はい、桃太郎さん、どうぞ、お乗りください。」
そういって、おじぎをしました。そこで、桃太郎と犬とは、舟に乗りこみました。サルはまたじょうずに、かじをとって、舟を出発させました。いよいよ鬼ガ島へ行くのです。海には大きな波が、たっていました。風も強くふいていました。しかし、サルがじょうずにかじをとりましたので、舟は、帆いっぱいに風をうけて、まるで矢のように早く走りました。キジは、あいかわらず、帆柱の上にとまっていて、右だ、左だと、サルにさしずしました。鬼ガ島への方角をそれると、キジはやかましくいうのでした。犬は舟のへさきに桃太郎の旗を立てて、一心《いつしん》に鬼ガ島をにらんでいました。桃太郎は舟のまんなかにいて、日の丸の扇《おうぎ》を開き、ゆっくり自分をあおいでいました。
そのうち、だんだん鬼ガ島に近づいてきました。

鬼ガ島は岩ばかりの島でした。黒い岩。茶色の岩。灰色《はいいろ》の岩。そういう岩が岩の上にかさなって、もりあがりもりあがりして、高い山になっていました。その岩をくりぬいて、中にほら穴をつくって、鬼は住んでいました。その鬼のほら穴へ行くのには、三つのトンネルがありました。そのトンネルには、それぞれ鉄の門があって、鉄のとびらがしまっていました。そのとびらの前には、赤鬼、白鬼、黒鬼どもが、トラの皮のふんどしをしめて、太い金棒《かなぼう》をついて、番をしていました。
ところで、桃太郎の舟は、サルがじょうずにかじをとって、その第一番めの鉄の門の前につきました。すると、まず、犬が島にとびあがって、大声でよびました。
「おおい、鬼ども——。日本一の桃太郎さん、今日《こんにち》、ただ今、この島へ、鬼を退治においでになったぞう。悪い鬼ども、さあ、どうじゃ、一ぴきのこらず降参《こうさん》しろ。しないとあれば、生かしておかぬぞう。」
それから、犬、サル、キジが、まず鉄門のとびらの前に進みました。犬がまた大声でよびました。
「開門《かいもん》、開門。」
これは、門を開けということです。しかし、これを聞いた鬼どもは、
「それ、人間がせめてきた。」
と、とびらをかたくしめて、中で金棒をごとりごとりとつき鳴らし、あけるどころではありません。犬、サル、キジが、そこで、桃太郎にいいました。
「桃太郎さん、どういたしましょう。」
「せめこめ、せめこめ。まず、キジとサルで、せめ入り、このとびらを内から開け。」
桃太郎がいいました。
「は——い。」
まず、キジがばたばたたちあがって、門をこしました。そして、中にいて大いばりにいばっている鬼たちの顔をめがけて、空からおそいかかりました。目玉をねらってとびかかりました。
「いや、これはたまらん。これはたいへん。」
鬼どもは、つぎからつぎと、みんな両手で目をおさえて、下にしゃがんでしまいました。一ピキも鉄の棒をふりあげてくる者がありません。そこで、サルは、らくらくと門をのぼって行き、中のとびらを開いてよびました。
「さあ、桃太郎さん、おはいりください。」
桃太郎と犬は、中へとびこみ、用意の綱《つな》をだして、鬼どもをみんなしばってしまいました。
それから、つぎの第二の門にむかいました。そこでも犬が、
「開門、開門。」
とよんで、鬼に降参をすすめました。降参しないことがわかると、桃太郎はキジとサルに、門をこえさせ、さっきのようにして、また鬼どもをくくってしまいました。
それから、いよいよ、第三の門、鬼の本陣にむかいました。ここも、第一の門、第二の門と同じように、サルがわけなくとびらを開きました。しかし、その中には、鬼の大将《たいしよう》がいて、キジ、サル、犬ではなかなか退治できませんでした。この鬼の大将は大きな大きな赤鬼で、金棒を水車のようにふりまわしていました。それにあたれば、こっぱみじん、人間でも砂のようにこなごなになるというのですから、たいへんです。
キジ、サル、犬たち、その大将をとりまいて、わんわん、きいきい、ほえたてているばかりです。そこで、桃太郎が近くにあった鬼の金棒を手に取り、
「それでは、日本一の、この桃太郎が、あいてをしてやろう。」
と、
「えいっ。」
と、一声かけ声をかけ、その棒をびゅうっと風をきってふりまわしました。その早さ、その強さ、ピカピカ火が出るように見えました。
それから、桃太郎は、その棒をだんだん鬼の大将のほうに近づけました。と思うまもなく、ぱぱんぱんと、音がしました。鬼の大将の金棒が、桃太郎の棒にあたって、こっぱみじんにとんでったのです。砂や土のようにこなごなになったのです。これを知ると、鬼の大将がびっくりして、桃太郎の前に両手をついて、すわりました。下に頭をつけていいました。
「桃太郎さん、おゆるしください。もう悪いことはいたしません。人間からとってきた宝物はみんなお返しいたします。この島もたちのき、遠いところへまいります。遠いところで、いい鬼になってくらします。」
そこで、桃太郎は、キジ、サル、犬に相談しました。
「どうじゃ。」
三人がいいました。
「おゆるしなさいませ。」
桃太郎は鬼をゆるしてやりました。そして、舟いっぱいにとりかえした宝物をつんで、帆をふくらまして帰ってきました。サルがじょうずにかじをとり、キジが帆柱の上にとまって、見はりをしました。犬はへさきに桃太郎の旗を立て、桃太郎は舟のまんなかで日の丸の扇を開いて、ゆっくり胸をあおいでいました。
おじいさん、おばあさんが、桃太郎をむかえて、どんなに喜んだことでありましょう、めでたし、めでたし。
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