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日本むかしばなし集25

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:サル正宗《まさむね》 むかし、むかし、九州のある大名の家来であるふたりの飛脚《ひきやく》が、江戸《えど》へ御用の大切な手
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サル正宗《まさむね》

 むかし、むかし、九州のある大名の家来であるふたりの飛脚《ひきやく》が、江戸《えど》へ御用の大切な手紙を持って、東海道《とうかいどう》を旅行しておりました。
飛脚というのは今の郵便屋《ゆうびんや》さんのような役目ですが、汽車も汽船もないむかしのことですから、人間がどこまででも手紙を持って、それをとどけに旅行して行く役目なのであります。で、そのときも、その飛脚は九州から江戸へ、すなわち今の東京へ、手紙をとどけに旅行していたのであります。しかも人間が今のように早い汽車や、汽船のかわりをして手紙をとどけるのでありますから、その飛脚というのは、とても早く歩き、まるで走るようにみえたということであります。
で、そのときも、その飛脚は興津《おきつ》の宿《しゆく》を朝早く、まだ暗いあいだにたって、薩〓《さつた》峠《とうげ》という大きな峠にさしかかっていました。大きな坂道を海岸のほうからのぼりかけていたのです。そのとき、なにごころなく浜《はま》のほうを見ましたところ、めずらしく大きなタコがそこに出ていました。見たこともないような大きなタコです。しかもそれが、その足で、何かをからんで、海の中へ引っぱりこもうとしております。
「あれ、なんだろう。」
と、ふたりがよく見ますと、それは一ぴきのサルでありました。サルは両手で岩角《いわかど》にしっかりとりつき、歯をむきだして、まきついているタコの足に、かみつきかみつきしておりました。
しかし、なにぶん、タコの足は八本です。一本や二本、サルにかまれてもびくともしません。サルはしだいに岩から引きはなされるのです。しかも、うちよせる波がその近くでどっとくだけて、水柱《みずばしら》のようにしぶきをあげて、サルのからだに落ちかかっております。どうもあぶないありさまです。しばらくふたりはながめていましたが、
「おい、助けてやろう。」
ひとりがいいますと、ふたりは道ばたの小石を拾いました。そしてサルのむこうにぼうず頭をおしたてている、そのタコ頭めがけて、力いっぱい投げつけました。サルにあたりはせんかと心配しましたが、ねらいあやまたずで、二つともタコぼうずの頭にポンポン音をたててあたりました。しかし、なにしろ大ぼうずのタコぼうずです。そんな小石ぐらいでびくともするものではありません。ますます力をこめ、サルを引き入れにかかりました。それは、サルが、キキキキキとはげしい悲鳴《ひめい》をあげたのでわかりました。
いや、そのときもうサルは片手を岩角から引きはなされ、しきりにそれをつかもうと、あせるようすをしておりました。ふたりは五つも六つも石を拾い、もう、めちゃくちゃにそれを投げましたが、でも、今はそんなまだるっこいことをしているときではありません。ひとりが荷物を道においてかけだすと、ひとりも同じように荷物をそこにおいて、かけました。ふたりは波うちぎわにそって行って、腰《こし》にさしていた刀をサッとぬきはなったのです。もうそのとき、サルは両手を岩角からときはなされ、ヒョロヒョロとよろめきながら波の中へ引きこまれかけていたのです。
タコの足はずいぶん長く、二三本としか思えないのに、サルの肩《かた》にも、胴《どう》にも、それから両足にもまきついておりました。それをふたりの飛脚は刀をふりあげて、サッと切りおろしたのです。肩と胴にまきついていた、太い綱《つな》のような足を一本ずつ切ったのです。すると、タコは、これはかなわぬと思ったのでしょうか。それとも、切られた足がいたくてたまらなかったのでしょうか、もう一本からんでいた足をまるで糸がとけるようにすばやくときました。そして、それとともに、タコの頭もほかの足も、音をたてて水の中にかくれて行ってしまいました。見るまもないほど早く逃げて、もうあとは、寄せてはかえす波の音ばかりというありさまとなりました。
けれども、これでサルがどんなに、喜んだことでありましょう。一生けんめいふんばっていたものですから、タコの足がとけると、思わず前へころびましたが、ふたりの恩人のそばへ近よってきました。ふたりの飛脚は刀をさやにおさめて、荷物のほうへ歩きながら、サルにむかっていいました。
「よかったね、助かって。あぶないところだったよ。」
ところが、これはどうしたことでしょう。サルは道ばたにきて、飛脚の荷物を見つけると、それをかついで、山の上のほうへ逃《に》げて行ってしまいました。これはほんとうにちょっとのあいだで、ふたりがびっくりしているまに、サルはどこへ行ったか見えなくなってしまいました。追《お》いかけるひまもないのです。
しかし、その荷物の中には、とても大切な御用の手紙がはいっているのですから、ふたりはとにかく山の中へわけ入ってみたのです。でも、やっぱり影《かげ》も形も見えません。それでふたりは、もうこれはたいへんなことになったと、心配で、こまりきって、ぼんやり峠の中ほどに腰をおろして休んでおりました。
すると、それからややしばらくしてからであります。はるかむこうの山に、さっきのサルのすがたが見えてきました。あれ、あれ、あれだといっておりますと、片手には手紙のはいっている飛脚の荷物、御状箱《ごじようばこ》というのを高くさしあげ、片手には長いコモづつみのようなものをかかえております。そして、だんだんふたりのほうへやってきました。ふたりのところへくると、その二品《ふたしな》をふたりの前におき、何かいうことありげにふたりの顔をながめました。大切な御状箱が返ってきたのですから、ふたりは大息《おおいき》をついて、
「ああ、まずまずこれで安心安心。」
そういいましたが、もう一品のほうはなんであろうかと、
「なんだ、なんだ。」
そういって、ひとりの飛脚がそれを取りあげ、ふたりでそれを見ようとしますと、サルはもう用がすんだというように、山の中へ帰って行ってしまいました。そこで、コモづつみを開いてみましたら、中には木の棒《ぼう》ざやにはいった一本の刀がありました。それでふたりは、やっとわかりました。サルはこのお礼がしたくて、ふたりに待ってもらうため、御状箱を取って行ったのです。
さて、そのサルがくれた刀を江戸についてから、刀にくわしい人に見てもらいましたら、なんとまぎれもない五郎正宗の名作でありました。といでみれば、一点のきずもなく、じつにみごとな古刀《ことう》でありました。
それで、殿《との》さまに献上《けんじよう》することになりましたが、長さといい、形といい、ちょうど殿さまのおのぞみどおりであったというので、ふたりの飛脚にはたくさんのごほうびがさがりました。そして、その刀はサル正宗と名づけられて、長くお家の宝物《たからもの》となりました。
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