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日本むかしばなし集28

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:キツネとカワウソむかし、むかし、野原にキツネとカワウソとが、住んでおりました。そのキツネとカワウソが、ある日のこと、川の
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キツネとカワウソ

むかし、むかし、野原にキツネとカワウソとが、住んでおりました。そのキツネとカワウソが、ある日のこと、川のヤナギの木の下で、であいました。
「こんにちは、カワウソさん、なにかいいことは、あるまいかね。」
キツネがいいました。
「さあ、べつにいいことって、ありませんが、おかげで、わたしはさかなには不自由していません。」
カワウソがいいました。
それで、キツネとカワウソとが、おたがいにごちそうごっこをすることになりました。その晩《ばん》です。キツネが川のふちの草の中にある、カワウソの家をたずねてきました。
「こんばんは、えんりょなくやってきました。」
キツネがいいました。
「さあさあ、上にあがって、おなかいっぱい食べてください。」
カワウソがいいました。キツネがあがって、おぜんの上を見ますと、もうたいへんなごちそうです。キツネはすっかり感心して、
「これはめずらしいものばかりで、どれから食べていいか、わからない。」
そんなことをいいながら、つぎからつぎへ、のどをならしながら食べました。大きなコイ六ぴき。ウナギ八ぴき、ハヤ、フナ、あわせて三十七ひき、そんなに食べました。そして大喜びで帰って行きました。そして帰りしなに、
「カワウソくん、あしたは、ぼくんちへ来てくれたまえ。食べきれないほど、用意して待っている。」
そんなことをいいました。で、あくる日の晩、カワウソがキツネの家へやってきました。
キツネの家は林の中にありました。
「こんばんは、ごちそうになります。」
カワウソがいいました。しかし、どうしたことでしょう。キツネは上をじっとにらんだまま、ウンともスンともいいません。
「キツネさん、どうかしましたか。」
カワウソはふしぎに思って、そういってみましたが、キツネはやはりなんともいいません。ただ上を見つめたままです。しかたなく、カワウソは帰ってきました。
あくる朝、キツネがとんできて、いいました。
「カワウソ君、ゆうべはすまなかった。じつは天見役《てんみやく》(天を見る役め)というものを、いいつかってね。なんともしかたがなかった。今晩はぜひきてくれたまえ。」
で、その晩です。カワウソがまたキツネのうちをたずねて行きました。
「こんばんは。」
ところが、どうしたことでしょう。キツネは、こんどは下を向いていて、ウンともスンともいいません。しかたなく、カワウソは帰ってきました。
と、あくる朝、またキツネがとんできました。そして、
「ゆうべは、地見の役をいいつかってね。ほんとにすまなかった。今晩こそ、ごちそうするから。」
そんなことをいいました。だけども、カワウソは、これはキツネがさかながとれないので、こんなことをいうのだろうと思いました。それで、
「キツネさん、さかながとれないなら、わたしがとれる方法を教えてあげましょう。」
キツネは喜んで、
「まったくそのとおりなんだ。では、そのさかなをとる方法を、教えてくれたまえ。」
そういいました。それで、カワウソがキツネの大きなしっぽを見ていいました。
「あなたのそのしっぽを、寒い晩に、川の水の中に入れておくんですよ、さかなはいくらでもとっつきます。」
キツネはこれを聞くと、大喜びして、日の暮《く》れるのを待って、川へ出かけて行きました。そして、水の上にはっている氷をわって、その中にしっぽをつけました。で、しばらくしてあげてみると、ざらざら音がして、氷のかけらがたくさんついてきました。だけどもさかなは、一ぴきもついていません。
それからなんどもやってみましたが、やはりついてくるのは氷ばかりです。
なかなかさかながとれません。これは尾《お》を川へつけておくのが、たりないのだと、キツネは思って、こんどは根気よく長いあいだつけておりました。すると、だんだんしっぽが重くなって、ちょっとやそっと引いたのでは、あがってこなくなりました。
「うまい、うまい。だいぶさかながとっついたようだ。」
そう喜んでいると、東の空が明かるくなって、どうやら朝になってきました。そして、子どもたちが道を通るようになりました。すると、そのひとりが、キツネを見つけてよびました。
「あれ、あんなところにキツネがいる。」
キツネはびっくりして、しっぽをぬこうとしましたが、こおりついているのですから、なかなかぬけてきません。一生けんめい引っぱっていると、とうとう、しっぽが切れて、キツネはしっぽなしでコンコン鳴きながら、逃《に》げて行きました。
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