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日本むかしばなし集30

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:かちかち山一むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんとありました。ある日のこと、おじいさんは山へシバかりに行
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かちかち山


むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんとありました。ある日のこと、おじいさんは山へシバかりに行きました。おばあさんは、家で麦をついていました。すると、そこへとなりのおよめさんに化《ば》けて、ムジナがやってきました。ムジナはいいました。
「おばあさん、おばあさん、なにしてるの。」
おばあさんがいいました。
「麦がなくなったから、麦つきしてるの。」
これを聞くと、ムジナの化けたとなりのおよめさんがいいました。
「そんなら、わたしがついてあげましょう。」
おばあさんは、ムジナとは知らないもので、大喜びして、
「そうですか、そうですか。それでは、おねがいします。」
そういって、そのとなりのおよめさんに、麦つきをたのみました。
トンカラ、トンカラ、トンカラ、トンカラ。
ムジナは麦をつきました。だいぶんつけたところで、ムジナがおばあさんにいいました。
「おばあさん、おばあさん、麦がつけたか、見てください。」
おばあさんがウスの中をのぞいて、
「ずいぶん上《じよう》かげんにつけているようじゃ。」
そういいますと、ムジナのおよめさんは、
「おばあさん、もっとよく見てください。もっと、もっと、ウスの中へかがみこんで、見てください。」
そういうのでした。おばあさんは、
「はい、はい、こうですかい。こうですかい。」
そういって、だんだんウスの中へ頭をつきこみました。すると、そのときを待っていたムジナは、上からドスンと、きねをおとしました。気のどくなことにおばあさんは、それで死んでしまいました。ムジナはおばあさんが死ぬと、こんどは自分がおばあさんに化けて、おじいさんの帰りを待っていました。まもなくおじいさんは、
「おばあさん、かえったよ。」
そういって帰ってきました。
「はあ、おかえんなさい。ごはんをつくって待っていました。さあ、おあがんなさい。」
ムジナのおばあさんは、おじいさんにごはんをすすめました。おじいさんは、なんとなく、おばあさんがいつものおばあさんでないようで、ふしぎそうに首をかしげました。これを見たムジナは、あわてて、裏口《うらぐち》から逃《に》げだしました。そして、うらの山へかけのぼり、そこから大声でどなりました。
「おばあさんは、死んだ。おじいさんは、だまされた。おれは、ムジナだ、ハッハッハ。」
こんなことをくりかえしたのです。おじいさんは、だまされたことを知って、
「おん、おん、おん、これが泣《な》かずにいられようか。ムジナめにだまされた。おばあさんがかわいそうだ。」
そういって泣きました。

 すると、そこへ山のウサギがとんで来て、これを聞きました。ウサギは、おじいさんが気のどくでなりませんでした。それで、いいました。
「おじいさん、おじいさん、わたしがかたきはとってあげますから、もう泣くのをおやめなさい。」
それからウサギは、山へとんで行きました。かや原を見つけると、そこで歌をうたいうたい、かやを刈《か》っておりました。
森の中でウサギの声を聞いたムジナは、すぐとんで来ました。そして、
「ウサギさん、ウサギさん、なにをしてるの。」
と聞きました。
「おれは、これからだんだん寒くなるから、このかやで家をつくって入ろうと思っている。」
ウサギにこういわれると、ムジナは一も二もなく、その家つくりなかまに入れてもらいたくなりました。
「ウサギさん、ウサギさん、その家つくりをおれが手つだうから、なかまに入れてくれないか。」
ウサギはそういうのを待っていたのです。だから、
「よし、よし。だったら、まず、かや刈りを手つだえ。」
そういって、かやを刈らせました。かやが刈れると、いよいよ小屋をたてることになりました。柱を立て、横木をうちつけ、それになわで、かやをぬいつけるわけです。
「ムジナさん、きみは中ではりとりをしてくれ。」
ウサギがいいました。外からなわのついた針をさしこむと、中でそれをとって、外へかえす仕事でした。
「ほいきた、それきた。」
と、仕事ははかどりました。だいぶんできあがったところで、中のムジナが気がつくと、出口がありません。
「ウサギさん、こりゃ出口がないぞ。」
「いまにつけるんじゃい。」
ウサギはいいました。しかし、そのとき、その家の屋根で、
カッチ、カッチ。
と、火打石《ひうちいし》の音がしました。ムジナはおどろいて、
「ウサギさん、ウサギさん、いまの音は、あれはなんだい。カッチ、カッチ。」
「うん、このころ雪が降るんで、カチカチ鳥が鳴いてるんだ。」
「そうか。」
といっているうちに、ウサギは逃げてしまいました。
しかし、まもなく火がまわりからもえてきて、ムジナは、あっちへ逃げては、
「あっちっちい。」
こっちへ逃げては、
「あっちっちい。」
大やけどをして、やっと、その小屋から逃げだしました。

それから何日かあとのことです。
ウサギは、またピョンピョンはねて、藤山《ふじやま》へ出かけて行きました。そこで歌をうたいうたい、藤づるを刈りとっておりました。
ムジナは、またとんで来ました。そして、いいました。
「ウサギさん、ウサギさん、なにしてるの。」
「このごろ、雪が降ると、おれは便所にも行かれないから、尾《お》からげをするのさ。」
と、ウサギがいいますと、ムジナは、
「それはそうと、このあいだ、おれをだましたのは、あんたじゃないか。」
そういうのでした。ウサギはおこったふりをして、
「なにをいうか。かや原のウサギは、かや原のウサギだ。藤山のウサギは、藤山のウサギじゃないか。」
そういいました。そこで、
「そうか、それならおれにもやってくれ。」
ということになり、ムジナは藤づるで、尻《しり》からげをしてもらいました。それでムジナは、歩くこともできず、走ることもできず、フンをすることもできなくなりました。そこへころんで、ウンウンうなるばかりでした。それでも、何日かのち、やっと、藤づるからぬけだしました。

すると、むこうの杉山《すぎやま》で、またウサギが大きな声で歌をうたって、杉を切っていました。
これを聞くと、ムジナは、すぐかけて行きました。
「ウサギどん、ウサギどん、なにをするの。」
「これから春になると、海がしずかになるから、杉の木で舟《ふね》をつくって、沖《おき》へさかなをつりに行こうと思ってさ。」
「ウサギどん、ウサギどん、その舟つくりのなかまにしておくれよ。それはそうと、いつか藤山では、おれをずいぶんひどい目にあわせたな。」
そんなうらみごとをいいました。ウサギは、
「藤山のウサギは、藤山のウサギ。杉山のウサギは、杉山のウサギだ。」
そういって、知らぬ顔をしております。
「そうか、それなら、おれもなかまにしておくれ。」
そこで、またムジナは、ウサギとなかまで舟をつくりました。ウサギは杉の木の舟、ムジナは土の舟です。海へうかべて、どんどん沖へ出たところで、ウサギがいいました。
「さあ、ムジナ君、歌をうたって、かいでふなべりをたたこう。そうしないと、さかなは取れないよ。」
そこでウサギは歌をうたいました。
すぎふねは すいすい
土ぶねは こっくりしょ
せいいっぺ たたけ
ムジナがつちで土舟をたたくと、土舟はしだいにひびがはいりました。ムジナは心配で、
「ウサギさん、舟にひびができた。水が入りそうだ。」
そういいました。すると、ウサギは、
「もっと、もっと、大きなひびがはいって、水がどんどん入るまでたたくんだ。そこから、さかなも入ってくるんだ。」
ムジナは、それもそうかと思って、ますます力をいれて、ふなべりをたたきました。すると、そのふなべりに大あながあき、そこから水がどっと入って、舟は見るまにしずんでしまいました。
「たすけてくれ。」
ムジナがさけぶと、ウサギは、
ろに とっつけ ぐい
かいに とっつけ ぐい
といって、どんどん陸へあがってしまいました。ムジナは沖でしずんでしまいました。
それで、ウサギはおじいさんのところにとんでかえって、
「おじいさん、おじいさん、わるいムジナは海にしずんでしまったから、もう泣くのはおやめなさい。」
おじいさんにそういいました。それで、おじいさんは泣くのをやめて、山へシバかりに行くようになりました。そして、しあわせにくらしました。めでたし、めでたし。
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