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日本むかしばなし集40

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:ヒョウタンから出た金七孫七《きんしちまごしち》むかし、むかし、ある家に、ひとりのおじいさんがありました。おじいさんですか
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ヒョウタンから出た金七孫七《きんしちまごしち》

むかし、むかし、ある家に、ひとりのおじいさんがありました。おじいさんですから、それは年をとっていました。それだのに、小さいときから、運のいいということがありません。働いても、働いても、貧乏ばかりしていました。それで、あるとき、近くの観音《かんのん》さまに、七日《なぬか》七夜《ななよ》のおこもりをしました。
「わたしに、どうか、いい福運《ふくうん》をおさずけください。」
七日七晩《ななばん》のあいだ、おねがいしつづけたのです。しかしその満願《まんがん》の日という七日めの朝になっても、これというなんのしるしもみえませんでした。おじいさんは、がっかりしてしまって、
「アーア、やっぱり、おれには一生《いつしよう》いい運は向いてこないのか。」
そう思いながら、観音さまのお堂《どう》の前の坂道をぶらりぶらりとおりてきました。すると、うしろから何かついてくるような気がして、ちょっとうしろをふりむきますと、なんとふしぎなことに、一つのヒョウタンが、コロコロ、コロコロ、ころがって、ついてきていました。
「あれ、へんなものがころがってやがるぞ。」
おじいさんはふしぎに思って、
「だれか、上からころがしでもしたのだろうか。」
と、立ちどまって、首をかたむけました。すると、そのヒョウタンもおじいさんのまねをして、立ちどまって首をかたむけました。
「いや、これはまったくふしぎだ。へんだ。妙《みよう》だ。おかしなヒョウタンだ。」
おじいさんは、こんどは、こんなひとりごとまでいいながら、しかし、また歩きだしました。すると、ヒョウタンがまたおじいさんのうしろから、コロコロ、ころがりだしてきました。そこで、おじいさんは、そのヒョウタンがそばにきたとき、
「ではひとつ、おれがだっこしてみてやろう。それ——」
そういいながら、そのヒョウタンをだきあげました。すると、その中からピョコンとふたりの子どもがとびだしました。おじいさんは、びっくりしました。どうしたことかと、目をパチパチやっていました。すると、その子どもらは、おじいさんのおどろきようがおかしいのか、くすくす笑いながら、ひとりがまず、こういいました。
「おじいさん、おれたちは、じつは観音さまからいいつかって、おまえさんの家へきた者だ。名は金七に孫七という。これからおじいさん、なんでも、おれたちにいいつけてください。なんでも、おじいさんにしてあげます。」
と、他《ほか》のひとりがまたいいました。
「おじいさん、さしあたり、何がほしいか。ほしいものをいってごらん。すぐ目の前に出してあげます。」
やっと、なっとくがいったおじいさんは、にわかに相好《そうごう》をくずし、うれしがって、にこにこしていいました。
「うん、そうか、そうなのか、おまえさんがたが金七さんに孫七さんか、そして、おれにほしいものをなんでもくださろうというのか。ありがたいことだ。観音さまがおいいつけになったってねえ。」
しばらくは深く感じ入って、おじいさんはことばもなく立っていましたが、金七、孫七がいいつけを待っているようすなので、
「では、ひとつおねがいいたします。どうも、まことにあいすみませんが、おれは、その、お酒が大好物《だいこうぶつ》で、しかしそれもほんのちょっとでいい。それから、だんごがまた大すきで——」
そんなことをいいました。すると、金七さんがまず自分たちが出てきたヒョウタンをおじいさんから受けとって、その口をすこしかたむけました。最初に出てきたものは、一つのお盆《ぼん》でした。
「そら、まずお盆と。」
金七さんがそういって、孫七さんにわたしました。
「よしきた、お盆と。」
孫七さんがそういって、それを受けとり、両手で、平《たい》らに持っていて、つぎに出てくるものをこれに受けるようにしました。そこで金七さんは、
「おつぎは、お酒のはいったとっくり、それから、さかずき。」
そういって、とっくりとさかずきを出して、お盆の上にならべました。
「ええと、そのつぎは大きなさらに、山もりおだんご。」
そういうと、もう大ざらにあんこのついているおいしそうなおだんごを出しました。それは、お盆の上で、さかんに湯気《ゆげ》をたてていました。
「はい、おじいさん、おあがりください。」
孫七が、お盆をおじいさんの前にさしだしました。おじいさんは大喜びで、
「ああ、そうですか、まちがいない観音さんのおいいつけなんですねえ、ありがたや、ありがたや。ではひとつ、ごちそうになりましょう。」
そういうと、道ばたに腰《こし》をおろし、前にお盆をすえて、お酒を飲んだり、おだんごを食べたりしました。あまりおいしいので、チュッチュッと舌打ちをしたり、グーグーとのどをならしたりしました。しかし、そのお酒もおだんごも、ふしぎなお酒、ふしぎなおだんごで、おじいさんがそうして飲んでも食べても、ちょっともへりません。お酒はとっくりからいくらでも出てくるし、おだんごはおさらの上にいつまでも山もりになっていました。おじいさんは、もうこのうえは食べられないほどつめこんで、すっかりいい気持になってしまいました。それで、おじいさんは、金七孫七の手を引いて、ヒョウタンを肩《かた》にかついで、ぶらりぶらりと家をさして帰《かえ》って行きました。
ところでおじいさんは、このうえにないような福運をさずかったのですから、どうもうれしくてなりません。で、道であう人ごとに金七孫七をひきあわせ、また肩にかけているヒョウタンを見せました。それから、そのヒョウタンからたくさんのごちそうをだして、つぎからつぎへと食べさせました。お酒もどんどん出して飲ませました。しまいには、何十人という人が、道ばたでおじいさんをとりまき、ワイワイいって、ごちそうを食べたり、お酒を飲んだりいたしました。これで、一度にそのヒョウタンと金七孫七のことが評判《ひようばん》になり、そのへんの村々や町々へ聞こえわたりました。すると、その村や町でお祝いや法事《ほうじ》などがあると、みんな、おじいさんをたのみにきました。おじいさんは、そのたび金七孫七の手を引き、ヒョウタンを肩にかけて出かけました。そして、何十人ぶんでも先方《せんぽう》のいうとおりのごちそうを見るまに出して、祝いや法事のしたくをしてやりました。たのんだ人たちは大喜びをして、おじいさんに、それはたくさんのお金をくれました。おじいさんは、ちょっとのまに、たいそうなお金持になりました。
ところで、あるときのこと、おじいさんはまたいつものように往来《おうらい》に陣《じん》どって、通りかかる人人に、
「それ、おだんご、それ、おすし。」
と、ごちそうをしておりました。そこへ、ひとりのばくろうがやってきました。ばくろうというのは、馬や牛を売る人です。で、七ひきからのとてもりっぱな馬を引いてやってきたのです。このばくろうがおじいさんのふしぎなヒョウタンを見ると、どうにもほしくてたまらなくなりました。それで、おじいさんにいいました。
「おじいさん、おじいさん、どうじゃな、おれの、この、今引いている七ひきの馬と、そのヒョウタンととっかえてくれないかね。」
これを聞いて、おじいさんはその七ひきの馬をながめました。いや、いかにも美しい馬なのです。どれもこれも、毛はつやつやと光っているし、背は見あげるように高いし、ヒヒヒヒーン、ヒヒヒンといななく声は勇ましいし。しかし考えました。そんなにたくさんの馬をもらっても、どうすることもできません。それより、このヒョウタン一つあれば、くだものでも、おかしでも、ごはんでも——。それで、おじいさんはかぶりをふりました。
「せっかくだが、ばくろうさん、まず、おことわりいたしましょう。」
しかし、ばくろうはどうしてもほしく、どうしてもあきらめきれません。それで、またいいました。
「おじいさん、どうだろう。それでは、おれが今ふところに持っている、三百両のお金をつけてやるが、それでも承知《しようち》してはくれまいか。」
すると、金七孫七のふたりの子どもが、おじいさんのきもののそでを引っぱって、
「おじいさん、とっかえなさい。とっかえっこなさい。」
そういうのでした。で、おじいさんは、しかたなく、
「では、ばくろうさん、この子どもたちもとっかえろというし、おまえさんのたってののぞみだから、では、ひとつ馬ととりかえてあげましょう。しかし世にもふしぎなヒョウタンだ。だいじにしてくださいよ。」
こういって、ヒョウタンをばくろうにやりました。ばくろうは、ヒョウタンをもらうと、お金と馬をあとに残《のこ》して、まるで逃《に》げるように、往来をかけて行ってしまいました。これというのも、ばくろうには考えがあったのです。殿《との》さまに献上《けんじよう》して、国でも一つもらおうと思っていたのです。ですから、あるとき、殿さまのお城《しろ》へやって行きました。そして、役人を通して殿さまにいいました。
「この世にまたとないような、宝《たから》ヒョウタンを献上にまいりました。」
殿さまも、そのヒョウタンの話は聞いて知っていたものですから、大喜びをして、
「それはいい、かねてほしいと思っていたヒョウタンだ。すぐ、その者をつれてまいれ。」
ということになりました。で、殿さまはたくさんの家来《けらい》をつれて、お城の大広間《おおひろま》へ出てきました。ばくろうは、その前で、宝ヒョウタンからごちそうをだすことになったのです。で、
「さあ、ばくろう、そのヒョウタンからごちそうをだしてみい。」
殿さまがいいました。
「はいはい、では、出してお目にかけますよ。」
ばくろうは、いうのでした。ところが、どうしたことでしょう。ヒョウタンからは、水一しずくも出てきません。もとより、おだんごおだんごといっても、おすしおすしといっても、せんべいでもいい、あめ玉《だま》でもいいといっても、ほんとに何も出てきませんでした。いや、殿さまのおこったことといったら、それはもう雷《かみなり》さまのようにおそろしいことでした。ばくろうは、すっかりうろたえ、すっかりこまりはてましたが、出ないものはどうすることもできません。で、とうとう殿さまの家来たちに、うそつき者として罰《ばつ》せられ、ひどいめにあわされて、お城の外へ追いだされました。そのまま、どこへ行ったかわからなくなってしまいました。
一方、おじいさんは金七孫七をつれて、馬を引いて、お金を持って、家に帰りました。そして、これまでにもたいへんなお金持になっていたのですが、馬とお金でいっそうお金持となり、ふたりの子どもといっしょに、いよいよしあわせな月日を送りました。めでたし、めでたし。
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