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日本むかしばなし集45

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:大きなカニむかし、むかし、隠岐《おき》の島のモトヤという村に、年とったきこりがおりました。毎日、山へ入って、木を切ってく
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大きなカニ

むかし、むかし、隠岐《おき》の島のモトヤという村に、年とったきこりがおりました。毎日、山へ入って、木を切ってくらしておりました。その日も、ヤスナガ川という川の、奥《おく》の奥の山のなかに入って、大きな滝《たき》のうしろで木を切っておりました。すると、つい手がすべって、持っていた斧《おの》が、滝のなかへとんでいきました。
滝の水が落ちている下のところ、そこを滝つぼというのですが、その滝つぼの淵《ふち》のなかへ、斧はまっさかさまに、ジャボーンと落ちていったのですよ。
と、どうでしょう。見るまに、その淵に、大波がおこりました。そこで、なにかたいへんなものがあばれだしたようなのです。しぶきがあがり、水けむりが立つのです。あたりが、まっ暗にさえなってきたのです。きこりのおじいさんは、こわくなりました。それで、どうなることかと心配していると、水のなかから、へんなものが浮いてきました。大きな大きなカニのはさみのようなものなのです。ねもとのほうに、黒いトゲが生えていました。おじいさんは、
「斧を落としたので、滝に住むヌシがおこりだしたのにちがいない。」
そう思って、ふもとをさして逃《に》げだしました。すると、うしろから、よぶ声が聞こえました。
「おじいさん、待ってください。」
ふり向いて見ると、絵のように美しいおひめさまが、滝のそばに立っております。手には、さっき落としたおじいさんの斧を下げております。そこで、おじいさんは、
「さっきはすみません。」
そういって、おじぎをしました。
「どういたまして。」
そのおひめさまは、そういってから、つぎのようなお話をしました。
「じつは、わたしは、むかしから、この淵に住んでいるヤスナガヒメという神なのです。長い間、ここで安楽にくらしていたのです。ところが、近ごろ、ここに大きなカニが来て、住むようになりました。カニは、夜となく、昼となく、そのツメを頭の上にさしあげて、わたしをおどし、わたしをいじめ、ここからわたしを追いだそうとしているのです。そこへ、さっき、おじいさんの斧が、すごい勢いで落ちてきて、カニのツメをスポーンと、一本切りとりました。ありがとうぞんじました。さっき、水に浮いて流れていったのが、そのツメです。しかし、カニにはもう一本のツメがあり、それをふり立てて、いばっております。そこで、おねがいです。この斧をもう一度、上から投げ落としてください。」
これを聞くと、きこりのおじいさんは、このおひめさまが気のどくになり、
「はい、承知《しようち》しました。」
そういって、斧をもらって、滝の上の高い高いところにのぼって行きました。そこから、滝つぼめがけて、
「エーイ、ヤッ。」
と、力をこめて、その斧を投げこみました。すると、おひめさまが滝の下から出てきて、
「ありがとう。ありがとう。これで、わたしも安心して、ここでくらせますよ。それでは、おじいさんにも、ねがいごと、なんでもかなうようにしてあげます。」
そういって、また滝のなかに消えていきました。それから、何日かのち、ツメのない大きな大きなカニが、その川を海の方へ流れていったそうであります。きこりのおじいさんは、それから長生きをして、しあわせにくらしたということであります。
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