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日本むかしばなし集49

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:牛方《うしかた》と山姥《やまんば》むかし、むかし、あるところにひとりの牛方がおりました。牛方というのは、牛に荷物をつんで
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牛方《うしかた》と山姥《やまんば》

むかし、むかし、あるところにひとりの牛方がおりました。牛方というのは、牛に荷物をつんで運ぶのを仕事としている人のことであります。
その牛方が、あるときのことです。たくさんの塩サバを牛の背中《せなか》につんで、山の中の村へ売りにと出かけました。
すると、そのとちゅうのことであります。高い大きな峠《とうげ》にさしかかりました。むかしのことですから、そんな山の中の峠のような人通りのないさびしいところには、よく、こわいおそろしいものが出てきました。
だから、牛方もそんなものに出あわないようにと、さぞ道をいそいだことでありましょう。
しかし、なにぶん、つれているのが牛ですから、牛方がどんなにいそがせても、のろりのろりとしか歩いてくれません。
ちょうど、もうすこしで峠をこえるというときでありました。運のわるいことです。山姥というものに出あってしまいました。
山姥というのは、女の鬼《おに》のことなんで、お面《めん》なんかによくつくられている、あの山姥です。あれが、むこうからやってきて、牛の背中の荷物を見るといいました。
「牛方、牛方、サバを一ぴきくれい。」
牛方は、やらなかったら、どんなことをするかわからないと思って、荷物の中から一本のサバをぬくと、それを山姥の前に投げてやりました。山姥は、それを手にとると、大きな口で、見るまにガリガリ食べてしまいました。
牛方は、山姥がそのサバを食べているあいだに、一足でも遠くへ逃《に》げようと思って、後から、牛の尻《しり》をたたき、
「しいっ、しいっ。」
と、しかりつけました。しかし、牛は知ってか、知らずにか、あいかわらず、たらりたらりとよだれをたらし、のそりのそりと歩いて行きます。だから、もう、すぐ山姥が追いついてきました。
「牛方、サバを一ぴきくれ。」
牛方は、やらないとどんなことをするかわからないと思って、また、荷物の中から一本のサバをぬいて、山姥の前に投げてやりました。そして、山姥が、それを食べているあいだにと思って、牛を一生《いつしよう》けんめいにいそがせました。
しかし、牛のことですから、牛方の気持などわかろうはずはなく、あいかわらず、のそりのそりと、歩きつづけます。すると、もう山姥が追いついてきました。
「牛方、牛方、サバを一ぴきくれ。」
牛方は、どうすることもできません。しかたがないから、そのたびに一ぴき投げ、そのたびに一ぴき投げ、そしてただ、一心《いつしん》に一心に牛をいそがせて行きました。しかしまもなく、牛につけていたたくさんの塩サバは、一ぴき残《のこ》らず山姥に食べられてしまいました。
「もう、これでないようッ。」
と、最後に牛方がいいますと、山姥はすぐまたつぎに追っかけてきて、
「牛を食わせろ、牛方。牛を食わせろ、牛方。」
といいます。牛方は牛を食わせるのはおしいし、食わせないというのはおそろしいし、だまっていますと、山姥がいいました。
「牛を食わせないと、おまえを食うぞ。」
牛方は、このことばにふるえあがって、思わず、
「おう——」
と、声をあげ、牛をそこにすてたまま、どんどん走って逃げました。ところが、山姥は、もう見るまに牛を食べてしまって、
「こんどは、きさまを取って食う——」
といって、追っかけてきました。そのおそろしいことといったら、まだ、すこしはなれているのに、あのお面で見るような顔が、牛方の肩《かた》から、のぞきこむような気がしました。
ぐずぐずしていては、それこそほんとうに食べられてしまいますから、牛方は一生けんめい、地の上にはいつくようになって走りました。そうして逃げてくると、大きな池の土手《どて》にきました。見ると、その土手の上に大きな木があります。牛方も、もうだいぶん、走るのにつかれていますし、いつまでも走っているのでは、結局《けつきよく》、山姥につかまえられると考えましたので、とっさに、その木の上にのぼって、かくれようと思いつきました。それで、あわてたり、あせったりしながらも、大いそぎでその木にのぼりつきました。
上のほうの枝《えだ》のあるところへのぼりついたとき、牛方ははじめて気がつきました。その木には、下のほうに葉がありません。だから、下から見れば、自分はまる見えです。こまったと思いましたが、今さらしかたもありません。それに、山姥の足音がしだいに近づいてきました。
と、そのとき、牛方は枝の上からそっと下の枝をのぞいて見て、びっくりしました。だって、そこにひとりの男がいて、やはり大きな木の枝にまたがって、自分のほうをのぞいております。思わず、牛方は、ちょっとからだをちぢめました。いや、そうは考えたのですが、じっさいはちぢんだのは首だけでした。木の上はあぶなくて、どうにもならなかったからです。だが、そのとき見ると、下の男もやはりすこし首をちぢめたようです。おやっと思って、牛方が首をのばすと、その男も同じように首をのばしました。
「なあーんだ。」
こんな場合でも、つい牛方はそういわないではおれませんでした。それは、自分が水にうつったすがただったのです。しかし、これを知ると、牛方ははっとしました。これでは山姥にひとめで見つけられてしまう、と思いました。それで、その木の幹《みき》のうらのほうへからだをまわしてみたり、枝の上に半身をふせるようにしてみたり、いろいろしてみましたが、なんのかいもありません。いつでも、水の上にはっきり自分のすがたがうつっておりました。しかたがないので、牛方はもうあきらめて、水の上をじっと見入っておりました。
そこへ、山姥が息を切ってとんできました。そして、思ったとおり、ひと目で牛方を見つけました。見つけると、池のふちに立って牛方を指さし、大口をあけて、へへへへと笑いました。もうひと口に食べられると思ったからなのでしょう。いくら逃げても、逃げおおせなかったろう、という意味もあるのです。
それに、山姥はけんめいに追いかけてきたので、ここでちょっと、そんなにして息をついたわけでもあります。しかし、じつは山姥が見つけているのは、水にうつっているほうの牛方でありました。山姥も追いかけるのにむちゅうで、つい目がくらんでいたのでしょう。それが、水にうつったすがたとは気がつかず、じっさいそこに牛方がいるとばかり思ったようであります。で、牛方を指さして笑ったとたん、両手を前にだして、さながら子どもがおぶさるような形をして、水中の牛方に、ザブッとばかりつかみかかりました。つかみかかりましたが、もとよりつかめるはずはありません。しぶきがあがり、波がたち、山姥は胸《むね》のほうまで水にしずみました。
さすがの山姥もおどろいたらしく、そのへんをきょろきょろ見まわし、それから、水音をたてて、水中をあちらこちらと歩きまわりました。手で水をはねてみたり、足で底のほうをさぐってみたりしました。波がたち、水がにごりました。と、ついには山姥は水中にくぐったりするようになりました。牛方が消えうせたのが、山姥にはなんとしても、納得《なつとく》がいかないのでありましょう。
ところが、牛方はそのあいだに、そっと木からおりました。そして、どんどんかけて逃げました。逃げて行くと、むこうの山の下に一軒《けん》、カヤぶきの家のあるのが目につきました。やれうれしやと、その家にかけつけ、とびこむように、戸口からはいって行きました。
ところが、中にはひとりの人もおりません。人の住居ではないらしいのです。もしかしたら、今の山姥の住んでいる家かもしれません。そう思うと、家の中がしだいに山姥のすみかのようにみえてきました。いや、まったく、そこは山姥の家だったのです。
そこで、牛方は、
(いよいよ、おれは不運な者だ。木の上に逃げれば、それが下の葉のない木で、水に自分のすがたがうつってしまうし、やれうれしやと、家を見つけてはいれば、なんと、そこが、あろうことか追っかけている山姥の家だ。これでは、まるで、山姥のふところの中に逃げこんだようなものだ。)
そんなことを、ひとりで考えました。
考えましたが、今さらしかたがありません。それで、あたりを見まわして、かくれ場所をさがしました。かくれるところが一つもありません。また、気持があせってきて、じだんだでもふまなければ、じっとしておれないようになりました。と、外に足音が聞こえました。山姥が帰ってきたのです。もう、ちょっともぐずぐずしてはおれません。思いきって、天井《てんじよう》にのぼって行き、そこの梁《はり》のあいだに、また、からだをちぢめるようにしてかくれました。
そして、上から下をそうっと見ておりました。と、早くも、山姥が戸口からはいってきました。
「きょうは、牛方にかまっていて、えらくくたびれた。」
そんなひとりごとをいっております。それからすぐ、いろりのところへ行って、火をたきだしました。池にはいって、からだがぬれたからでありましょう。でも、まもなくからだもかわいたか、こんどはもちをだしてきて、たいた火のおきの上で焼き始めました。そのうち、山姥はからだがあたたまって、つかれが出たとみえ、こくりこくりといねむりを始めました。もちがよく焼けて、いいにおいがして、プウーとふくれて、湯気《ゆげ》をふいたりしているのに、また山姥は、こくりこくりとやっていました。
牛方は、はじめはおそろしいばかりだったのですが、山姥のそのありさまを見、もちのよいにおいをかいでいるあいだに、急におなかがすいてきました。もちがほしくてならなくなったのです。それで、ちょうど、自分のそばにある屋根うらのカヤの棒《ぼう》を一本、そっとぬき取りました。その棒で、山姥の前のもちを上からつきさし、そっと、またそのもちを引きあげました。もちは、とてもいいころあいに焼けていました。ほんとうにおいしく、牛方は梁のかげで、それを食べました。一つ食べてしまうと、また、下をのぞきました。だって、まえよりかもっとおなかがすき、まえよりかもっともちが食べたくなったのです。山姥が、やはり、こくりこくりとやっているのを見ると、また、カヤの棒をそっと下におろしました。そして、山姥の前のもちをつきさし、そろそろとそれを上に引きあげました。
梁のかげで、また、そのもちを音をたてないように、ほんとうにおいしく食べました。それを食べてしまうと、牛方は、また下をのぞきました。だって、まえよりかよけいにおなかがすいて、よけいにおもちが食べたいように思えてきたからです。で、山姥のいねむりを見すまし、また、もちをとって食べました。そんなにして、山姥の前のもちは、一つもなくなり、ただひときれ、わたし金《がね》から落ちて、火の中でまっ黒にこげたのだけになりました。
そのときになって、山姥はふと目をさまし、ふしぎそうにして、前のいろりの火の上をながめました。もちのなくなっているのに気がついたのです。それで、大声でどなりました。
「だれがとった。」
そして、そのへんを見まわしました。梁の上の牛方は、このとき小さな声で、
「火の神、火の神。」
といいました。すると山姥は、
「火の神なら、しかたがない。」
そういって、火の中に落ちてまっ黒にこげているひときれのもちを拾って、むしゃむしゃと食べました。
もちもなくなったので、山姥は、こんどはなべをだしてきて、あま酒をわかし始めました。そして、そのあま酒のあたたまるのを待ちながら、また、いねむりを始めました。こくり、こくり、こくり。しかし、あま酒のなべの下でもえている火の、なんとあたたかいことでしょう。天井の牛方まで、その火で、あたたまりました。それに、夜になったので、そのいろりの火が赤く美しく、山姥のうちの中を照らしました。
まもなく、あま酒のおいしそうなにおいが、牛方のところへにおってきました。牛方は、もちを食べたあとで、それはのどがかわいていました。で、また、長いカヤの棒をぬきました。それを梁の上からあま酒の中につきこみ、チュウチュウチュウとすいました。ゴクリゴクリとのどを鳴らして飲みました。ほんとうは、音のせぬように飲んだのです。しかし、いくら飲んでも、のどのかわきはとまりません。とうとう、一てきもないように、すってしまいました。と、山姥は、そのとき目をさまし、なべの中をじっと見ました。それから、やっと気がついたらしく、大声でどなりました。
「だれが飲んだ。」
牛方は、また小さな声で、
「火の神、火の神。」
といいました。
「火の神なら、しかたがない。」
山姥は、そういってから、
「こんな晩は、もう寝たほうがよい。」
と、立ちあがりました。それから、
「石の唐櫃《からと》に寝《ね》ようか。木の唐櫃に寝ようか。」
と、ちょっと頭をかしげて考えましたが、
「石はつめたい、木の唐櫃がよかろう。」
と、大きな木の唐櫃のあるところへ行って、そのふたをあけて中へはいりました。すぐ、その唐櫃の中から、ぐうぐうと大いびきの声が聞こえだしました。山姥は、寝てしまったのです。
天井の上で、このようすを見ていた牛方は、このとき、そっと梁からおりてきました。そして、いろりに火をどんどんもやしました。
まず、大なべいっぱいお湯をぐらぐらわかしたのです。それから、きりを持ってきて、木の唐櫃のふたに穴《あな》をあけはじめました。
唐櫃の中の山姥は、ついねむいままに、きりの音とは気がつかず、
「あすは天気とみえて、キリキリ虫が鳴かあや。」
といっていました。
すると、そこへ、そのきりの穴から、熱い湯をどくどくとそそぎこまれ、もうどうすることもできなくなってしまいました。
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