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日本むかしばなし集63

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:サルとネコとネズミむかし、むかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんが住んでおりました。おばあさんは、毎日せいをだし
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サルとネコとネズミ

むかし、むかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんが住んでおりました。おばあさんは、毎日せいをだして、木綿《もめん》を織っておりました。織りあがると、それをおじいさんが背中《せなか》に負《お》って、ほうぼうの町へ売りに行きました。そうして、ふたりはくらしていたのです。
ところが、年の暮《く》れのある日のことです。その日も、おじいさんは木綿を売りに行って、ひとりで家をさして帰《かえ》ってきました。ちょうど、山道にかかったときです。むこうを見ると、高い木の一本の枝《えだ》の上に、大きな一ぴきのサルがおります。それを、こちらからひとりの猟師《りようし》が、鉄砲《てつぽう》を持ってねらっております。すると、木の上のサルが猟師のほうを向いて、両手をあわせました。そして、何度も、何度も頭をさげました。
「猟師さん、こらえてください。鉄砲でうつのをゆるしてください。」
きっと、そういって、おがんでいるのです。おじいさんは、これを見ると、サルがほんとうにかわいそうになりました。なんて猟師は無慈悲《むじひ》なことをするのだろうと思いました。だって、サルがそんなにおがんでいるのに、猟師は鉄砲をうつのをやめようともせず、まだ、じっと、ねらいをさだめていたからです。
それで、おじいさんは、思わず、
「おうい。猟師さん——」
と、大声をだしました。そして、猟師のほうに走りながらよびました。
「猟師さん、かわいそうじゃないか。サルがおがんでいるんだよ、ゆるしておやりなさい。こらえておやりなさい。」
しかし、猟師は聞こえないのでしょうか、やはり、じっとねらいをさだめ、おじいさんのほうをふり向きもいたしません。おじいさんは、気が気でなく、むちゅうで走りつづけ、やっと鉄砲の音のしないまに、猟師のところへ走りつきました。そして、もうむちゅうでしたから、鉄砲があぶないということも忘《わす》れ、いきなり、そのつつさきに手をかけ、自分のほうへ引っぱったものですから、弾《たま》が、気のどくなことにおじいさんの肩《かた》さきをかすってとびました。そこから血が出てきました。
「いたいっ。」
といって、おじいさんはそこをおさえました。それを見ると、猟師はびっくりしました。びっくりすると、おじいさんにおわびのしようもないと考えたのでしょう。鉄砲をかついで、どんどん逃《に》げだしてしまいました。どうも悪い猟師です。
けれども、猟師が逃げてしまいますと、どこからか、サルが集まってきました。さっきの木の上のサルは、うたれなかったのです。おじいさんのおかげで、命が助かったのです。
ですから、そのお礼心からでしょう。小ザルがつぎからつぎと集まってきて、肩に傷《きず》したおじいさんを一生《いつしよう》けんめいにかいほうしました。きっと、木の上にいたサルは、この小ザルたちのおかあさんか、おばあさんなのかもしれません。そこで、その何十という小ザルが、おじいさんがすこし元気になったのを見ますと、たがいに手と手をくみあわせて、その上におじいさんを乗せました。そして、奥山《おくやま》のサルの家へ運んで行きました。
サルの家では、あの木の上の大ザルも出てきて、おじいさんに、いろいろたくさんのごちそうをいたしました。しかし、いつまでもおるわけにはいきません。それで、おじいさんがいいました。
「たいへん、ごちそうになりました。それでは、ばあさんが、心配していますから、わたしは、もうこれで帰ります。」
これを聞きますと、サルたちは、たがいに顔を見あわせておりましたが、やがて、一ぴきのサルがやってきて、おじいさんの前に、一枚《まい》の一文銭《いちもんせん》をさしだしました。
この一文銭というのは、十枚で一銭になる、穴のあいた銅貨《どうか》なのですが、このときの、サルの持ってきた一文銭は、同じ一文銭でも、一文銭がちがいます。というのは、それは、『サルの一文銭』という宝物《たからもの》だったのです。これを神だなに祭っておくと、たいへんなお金持になれる宝物だったのです。しかも、これを命の親さまにさしあげますと、サルがいうのです。おじいさんは大喜びで、
「ありがとう。ありがとう。」
と、お礼をいって、これをもらって帰ってきました。
ところが、一方、おじいさんの家のほうです。おばあさんは、今か、今かと待っていました。ちょうど、年の暮れです。そこへ、おじいさんは木綿も売らずに帰ってきました。おばあさんは、腹《はら》をたてて、おじいさんにおこりつけました。しかし、おじいさんは、『サルの一文銭』をもらって帰ってきたのです。みるみるうちに、おじいさん、おばあさんのうちは、ふしぎなようにお金ができました。
ところが、近所によくない人が住んでいました。その人は、しきりに、おじいさん、おばあさんが金持になったわけを知りたがっていましたが、それが、あの一文銭のおかげだということを知りますと、そうっと、やってきて、いつのまにか、そのお宝をぬすんでしまいました。おじいさんおばあさんは、それがわかると、まったくびっくりぎょうてん、ほうぼうたずねました。ここかしこをさがしましたけれども、どうしても、そのありかが知れないのです。
「どうしたらよいだろう。」
ふたりは相談《そうだん》しましたが、よい方法も見つかりません。すると、おばあさんが、チチチチチと舌うちをして、家に飼《か》ってあるネコをよびました。そして、そのネコにいいました。
「玉《たま》や、うちでは『サルの一文銭』がなくなったんだよ。おまえにわかるかどうか知らないが、とてもたいへんなことなんだよ。それを、おまえさがしてきてくれないか。」
すると、ネコが、
「ニャーオ、ニャーオ。」
と、鳴《な》きました。
「そうか、そうか。さがしてくれるかい。それでは、三日のうちにさがしておくれ。見つかったら、ごほうびをたくさんあげます。だけども、見つからなかったら、罰《ばつ》はこれです。わかりましたか。」
そういって、きらきら光る刀をぬいて、見せてやりました。ネコはすぐとびだしました。そして、すぐ一ぴきのネズミをつかまえ、
「ニャー、ニャー、ネズミ——」
といいきかせました。三日のあいだに見つけなかったら、しっぽを食べてしまうというのです。ネズミはびっくり。三日のあいだに、近所近所の家をまわって、とうとう、一文銭を見つけました。それは、悪い人の家のたんすの中から、かじりだしてきたのでした。ネコは、それをおじいさんにくわえてきて、わたしました。
それで、おじいさんもおばあさんも、ネコもネズミも大喜びで、いつまでもいつまでも、大繁昌《だいはんじよう》をしたそうです。
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