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日本むかしばなし集66

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:トラとキツネむかし、むかし、中国《ちゆうごく》に大きなトラがおりました。そのトラが、日本にはキツネという、かしこい動物の
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トラとキツネ

むかし、むかし、中国《ちゆうごく》に大きなトラがおりました。そのトラが、日本にはキツネという、かしこい動物のいるということをききました。それで、あるとき、
「いくら、かしこくても、このおれさまにはかなわんだろう。ひとつこれから行って、そのキツネを負かしてこよう。」
そういって、はるばる海をわたってやって来ました。そしてキツネに会うと、さっそくいいました。
「こらキツネ、おれは中国の大トラだ。日本のキツネを負かしにやって来た。競走《きようそう》ならなんでもこい。」
これを聞くと、かしこいキツネのことですから、ていねいにおじぎをしていいました。
「これは中国の大トラさん、よくいらっしゃいました。それではどうでしょうか、ヤブの中の徒歩《とほ》競走は——」
トラは千里を走るといわれ、徒歩競走は大とくいです。しかもヤブは永年《ながねん》住みなれたところですから、それこそ、大さんせいで、
「よかろう、よかろう。」
と喜びました。もうこっちの勝ちだと思ったのです。しかしキツネのことですから、これにはさくりゃくがありました。
「ようい、ドンッ。」
で、トラとキツネはヤブの中をかけだしました。負けては中国の恥《はじ》になると、トラはもうはじめからたいへんな元気です。ポーン、ポーンと一足《いつそく》とびにとびました。キツネなんか、すぐ後の方に見えなくなってしまいました。
「まず、これで、このおれさまの大勝利。」
と、トラが決勝点のテープのところに近づいてみると、あれ、あれ、ふしぎなことに、もうキツネが先に来ていて、テープを切ってとびこみました。しかも、後からつづくトラを見ながら、
「勝ったあ——。トラさん、おそいね。」
そんなことをいうのです。トラはくやしくてなりません。
「では、もう一度こい。」
そういって、来た方へ引きかえすことになりました。すぐ、
「ようい、ドンッ。」
で、出発しました。またキツネをはるか後にかけぬけて、トラは一足とびで、もとの出発点近くにやって来ました。見ると、また、キツネが先に走っているのです。そして後を見ながら、
「勝ったあ。トラさん、おそいね。」
そんなことをいうのです。トラはもうくやしくて、くやしくて、
「もう一度こい。」
と、すぐまた後に引きかえしました。しかしこれも同じで、またもキツネの勝ちでした。トラはまたくやしくて、
「もう一度。」
と、また引きかえしました。こうして七度も八度も引きかえしましたが、みんなキツネの勝ちでした。これは一ぴきずつのキツネが両方にいて、「勝った、勝った。」といっていたのですが、トラはそれを知らず、とうとう、おそれ入って、中国へ帰って行きました。
しかし、どうしても、そのくやしさが忘《わす》れられず、自分によく似《に》た動物に、トラヒゲ三本をやって、トラの代わりに日本へわたらせたそうであります。これが日本ではネコということになりました。ネコはキツネとネズミをまちがえて、キツネと思ってネズミを見ると、とって食べるようになりました。
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