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日本むかしばなし集79

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:牛のよめ入り むかし、あるところに、美しい娘《むすめ》さんがありました。およめ入りする年ごろになりましたので、ある日、お
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牛のよめ入り

 むかし、あるところに、美しい娘《むすめ》さんがありました。およめ入りする年ごろになりましたので、ある日、お宮へ行って、神さまにおねがいしました。
「神さま、どうか、わたしをよいところへよめ入りさせてください。」
ところが、そのとき、そのお宮の奥《おく》でひるねをしていたトナリ村の若い衆《しゆう》が、その声で目をさましました。見ると美しい娘さんです。そこで、神さまのふりをして、自分のところへよめ入りさせようと考えつきました。
「これ、これ、娘。」
若い衆はつくり声でいいました。
「はい。」
「おまえはどこの娘じゃ。名はなんというか。」
「当村《とうそん》の、百姓太一《ひやくしようたいち》の三女で、すずと申《もう》します。」
「して、どこへよめ入りしたいか。」
「それは神さまにおうかがい申します。」
「それならば、トナリ村の百姓平作《へいさく》の長男金太《ちようなんきんた》のところがよいぞ。」
娘は家へ帰《かえ》ってきて、そのことを話しました。ところが、こまったことに、おとうさんもおかあさんも、その平作をきらいなら、むすこの金太もきらいなのです。そう聞くと、今まで知らずにいた娘も、また、きらいになってしまいました。しかし、神さまのお告《つ》げです。そむくわけには行きません。次の月のいい日におよめ入りすることにきまりました。
さて、その日が来ました。娘さんは美しいおよめ入りのきものを着て、殿《との》さまが乗るようなカゴに乗せられました。それを何人もでかついで、そばについている人がお祝いの歌をうたって出かけました。これが、そのころのしきたりだったのです。しかし、娘さんはカゴのなかで、涙《なみだ》を流して泣《な》いておりました。ところが、まもなく、
「下《した》に——い。下に——い。下におれい——」
という声が聞こえて来たのです。これは殿さまがむこうからやって来たのです。殿さまもカゴに乗って来ました。それにハタやヤリやカタナを持った家来《けらい》が、後や先におともをしていました。その先頭《せんとう》のおともが、声をあげて、下に下にとよんでいるのでした。下にといわれると、道ばたのみんなは土の上にすわって、殿さまのカゴにおじぎをするのでした。
むかしのことですから、そんなとき、もしなにかあると、無礼《ぶれい》ものといわれて、それはひどいめにあいました。だから、みんなこわがって、下にの声をきくと、逃《に》げて行くものが多かったそうです。実《じつ》は、そのときもそうでした。娘さんのカゴをかついでる人も、そばで歌をうたっていた人も、それ、殿さまだというので、カゴを道ばたにおいたまま、どこかへ逃げてってしまいました。
娘さんは、そんなこととは知らず、やはりカゴのなかで泣いておりました。ところが、そこへやって来た殿さまたちです。無礼なカゴだというので、家来が娘さんのカゴの窓《まど》をあけました。そして殿様とふたりで、中をのぞきました。見ると、美しい娘さんが、そこで泣いております。
「これ、娘、どうしておまえは泣いておるのか。」
殿さまがききました。そこで娘さんは、神さまのことから、これまでの話をしました。これを聞くと、殿さまは、
「そうか。それでわかった。それなら、わたしについといで。」
そういって、娘を自分のカゴに乗せました。娘のカゴには、ちょうどそこへノコノコ歩いて来た牛の子をつかまえて、乗せました。殿さま自身は家来が引いていた馬に乗って、下に下にと出発しました。殿さまが行ってしまうと、およめさんをかついで来た人たちは帰って来て、
「やれやれ、えらいめにあったぞ。早く行かんと、日がくれる。」
と、またカゴをかつぎ、歌をうたって出発しました。牛の子はなんにも知らず、カゴのなかで、ユラユラゆられながら、モウともいわず、かつがれて行きました。
さて、こんどはトナリ村のおむこさんの家です。およめさんのカゴがくると、もう大喜びで、ごちそうをいっぱいならべているお座敷《ざしき》に、そのカゴをつけました。そしてカゴの戸をあけて、
「いらっしゃいませ。」
ていねいにそういいました。すると今か今かと、外に出るのを待っていた牛の子は、そこでピョンと、座敷の上にとび出しました。そして大勢《おおぜい》の人のいるのにおどろき、あっちにかけ、こっちに走り、そのたび、ごちそうのおさらも鉢《はち》もけちらしました。お座敷はたいへんなさわぎになりました。すると、おむこさんが牛に向かっていいました。
「こらこら、わたしがきらいなら、きらいでいいじゃないか。なにも牛になって来て、らんぼうしなくもいいではないか。」
一方《いつぽう》、娘さんのほうは、殿さまにつれて行かれて、ほんとうにいいおむこさんを見つけてもらったということです。めでたし、めでたし。
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