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日本むかしばなし集116

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:唐津《からつ》かんねむかし、むかし、九州の唐津というところに、かんねという男がおりました。かんねは、よくいえば、のんきな
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唐津《からつ》かんね

むかし、むかし、九州の唐津というところに、かんねという男がおりました。
かんねは、よくいえば、のんきな男、悪くいえば、なまけ者というところでした。しかし、そのおよめさんは、なかなかの働き者で、いつも、かんねに、働け働け、と、やかましくいっておりました。
ある年の暮れのことです。いよいよ、おおみそかがせまったというのに、かんねは、いっこう、新年をむかえる用意をしません。およめさんは、腹《はら》をたてて、かんねをどなりつけました。
「もうすぐお正月だというのに、毎日、のんきそうに寝ころんでばかりいて、いったい、おまえさんは、どうしてお正月をむかえるつもりかい。へいきでおるにもほどがありますよ。」
すると、かんねは、
「まあ、そうさわぐな、さわぐな。おれにはおれの考えがある。」
と、あいかわらず、のんきそうな顔なのです。
ところで、いよいよ、おおみそかの晩になりました。かんねは、なにを思ったのか、墓場《はかば》へ行って、シクシク、シクシク、泣きまねをしておりました。すると、そこへ、キツネが出てきて、かんねを化《ば》かそうとしかけました。これを見ると、かんねがいいました。
「これこれ、キツネ、おれが化かされると思っておるのか。おまえのしっぽが、ちゃんと見えておるじゃないか。」
かんねが笑いますと、キツネは、
「しっぽが見えておりますか。そうですか。わたしたち、じつは人間を化かそうと、いろいろと苦心するのですが、どうも、このしっぽというやつ、とてもむずかしいもので、見える人には、すぐ見つけられてしまいます。どうしたら、しっぽがかくせましょうかね。」
と、聞きました。
「おれの家にやってくるがいい。おれが、くわんいんという位をやろう。そうしたら、もう、しっぽの出る気づかいはない。しかし、おれは、酒ともちが大きらいでのう。酒やもちは、見たばかりで、からだがはれてくるというしょうぶんだ。お礼などに、そんなものを持ってくるではないぞ。」
そういって、かんねは、家に帰りました。そして、家の床下《ゆかした》に、白犬と黒犬をかくし、首を長くしてまっていますと、やがて、キツネが、位をもらいにやってきました。
「コンコン、かんねさんはいらっしゃいますか。先ほど、墓場でおめにかかったキツネです。位をちょうだいにあがりました。」
かんねは、戸をあけて、キツネを家の中にいれました。そして、すぐに戸をしめました。
「かんねさん、はやく位をおねがいします。」
キツネが、そう、さいそくしますと、かんねは、
「白よ、黒よ、早く出てこい。」
と、そういうと、キツネには、
「これが、くわんいんの位じゃ。」
と、いいました。
キツネは、白、黒二ひきの犬に、ワンワン、ウウウウ、せめたてられ、命からがら、やっとのことで、かんねの家から逃《に》げだしました。そして、ほうほうのていで、山に帰っていきました。
キツネは、うまくだまされたので、くやしくて、腹がたってたまりません。どうかして、かたきうちをしてやろうと、考えました。そのとき、はっと思いだしました。かんねが、酒ともちが大きらいで、見ただけでからだがはれてくる、と、いっていたのを。
——そうだ。そのもちと酒だ。かんねを、酒もちぜめにしてやろう。
キツネは、そう思いたちました。そこで、どこから、どうぬすんできたものか、酒ともちをいっぱい手に入れて、かんねの家に行き、その酒ともちを、どんどん、家の中にほうりこみはじめました。かんね夫婦は、じっと、ふとんをかぶり、寝たまねをして、酒ともちが、どんどん、投げこまれる音を聞いておりました。朝になってみると、家じゅう、酒ともちでいっぱいです。ふたりは大喜びで、大へんいいお正月をむかえたということです。
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