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日本むかしばなし集125

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:ヤマナシの実むかし、むかし、あるところに、三人の娘《むすめ》がありました。冬のことです。雪がふって、野も山もまっ白になっ
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ヤマナシの実

むかし、むかし、あるところに、三人の娘《むすめ》がありました。冬のことです。雪がふって、野も山もまっ白になっていました。そのとき、おかあさんは病気で、もう、あすがあぶないというようになっていました。
それで、おかあさんが、娘たちを、まくらもとによんでいいました。
「おかあさんは、この世で、もう、なにものぞみはない。ただ、ヤマナシの実が食べたい。だれか行って、とってきてくれないかね。」
苦しい息をつきつき、おかあさんは、たのみました。それを聞くと、いちばん上のねえさんが、いいました。
「おかあさん、わたしが、行って、とってきてあげます。」
おかあさんは、喜んで、姉娘に、ヤマナシの実のなってるところを教えました。
「これこれ、こう行くのですよ。すると、そこへ、りっぱな着物を着たおよめさんが出てきます。そこで、そのおよめさんに、わけを話して、それからは、その人のさしずどおりに行きなさい。いいですか。さしずにそむくんじゃありませんよ。」
「はい、はい。」
姉娘は、教えられたとおりに、雪の中を歩いていきました。山のふもとで、髪《かみ》の美しい、りっぱな着物のおよめさんに会いました。
「およめさま、およめさま。」
そういって、娘は、おかあさんの病気の話をして、ヤマナシのありかをたずねました。およめさんは、それを聞くと、
「行けや、ターンタン。」
そういいました。娘は、大喜びです。すぐ、雪の中を急いで行きました。すると、およめさんがよびました。
「もどれや、ターンタン。」
娘は、およめさんのさしずにそむいてはならぬと、おかあさんにいわれていましたから、後ろへもどってきました。
もどると、およめさんは、
「行けや、ターンタン。」
と、いいました。行くと、こんどは、もどれです。もどると、こんどは、行けやです。
娘は、何度も、行ったり、もどったり、もどったり、行ったりしました。そのすえ、腹《はら》をたてました。およめさんが、自分をからかってると思ったからです。もどれといっても、行けといっても、そんなことにかまわず、どんどん、先へ歩いていくことにしました。歩いていくと、道の四つかどへ出ました。
すると、そこへ、とつぜん、さっきのりっぱなおよめさんが出てきて、娘を、パクッとばかり、頭からひとのみにしてしまいました。
家では、ふたりの妹と、病気の重いおかあさんが、一生けんめい、いちばん上の姉の帰りを待っていました。
待っても、待っても、帰りませんので、それでは、およめさんに、食べられてしまったのだということになりました。
おかあさんのらくたんといったらありません。
「それでは、おかあさん、こんどは、わたしが行って、ヤマナシをとってきてあげます。」
つぎの娘がいいました。そして、出かけました。山のふもとで、やはり、美しい、着物のりっぱなおよめさんに会いました。そこで、ヤマナシのありかをたずねました。
「行けや、ターンタン。」
また、およめさんはいいました。
娘が行くと、
「もどれや、ターンタン。」
およめさんはいいました。これを、何回もくりかえしました。娘は、そのうち、ねえさんと同じに、腹をたてました。そして、もどれも、行きも、おかまいなく、どんどん、歩いていきました。
すると、道の四つかどへ出ました。そこへ、さっきのおよめさんが出てきて、パクッと、ひとのみに、娘をのんでしまいました。
二番目のねえさんも、帰らないので、おかあさんは、いよいよ、らくたんしました。末の娘がいいました。
「おかあさん、こんどこそ、わたしが行って、まちがいなく、ヤマナシをとってきますから、気をたしかにして、待っててください。」
末娘は、出かけました。ねえさんたちと同じに、髪の美しい、着物のりっぱなおよめさんに会いました。
娘は、そのおよめさんのいうとおり、
「行けや、ターンタン。」
で、行きました。
「もどれや、ターンタン。」
で、もどりました。何度でも何度でも、じつにしんぼうづよく、行ったりもどったりしました。およめさんのさしずに、すこしもそむきませんでした。
すると、ついに、
「行けや、ターンタン、行けや、ターンタン。」
およめさんの声が、そういうばかりになりました。
娘は、喜びいさんで、ずんずん行きました。段だんになったたんぼのところへ出ました。田の水がチョロチョロ、娘によびかけました。
「こっちよ、こっちよ。」
そういっているようなんです。そっちへ行くと、野原へ出ました。そこをのぼっていくと、カヤの中に一本のナシの木があり、ナシが、すずなりに、なっております。
娘は、
「おう、おう、ヤマナシだ。ヤマナシだ。」
と、その木のそばにはしりより、持ってきたかごに、とっては入れ、とっては入れ、見るまに、かごをいっぱいにしました。
それから、もときた道を、一息に、はしって帰りました。帰ってみると、おかあさんは、もう、はあはあ、はあと、いまにも、息がきれそうなありさまです。
「おかあさん、ヤマナシです。ヤマナシを、いっぱいとってきましたよ。さあ、いくらでも食べてください。」
そういって、娘は、ナシでいっぱいのかごを、おかあさんのまくらもとへおきました。
これを見ると、おかあさんは、にわかにげんきが出てきて、
「やれうれしや、ぶじに、ヤマナシをとってきてくれたか。まあ、こんなにたくさん——」
そういって、ヤマナシを食べました。そして、みるみるげんきづいて、まもなく、病気もなおりました。
そして、ふたりで、しあわせに暮らしました。
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