そのあくる日のことです。犬は、となりのおじいさんに、いいました。
「おじいさん、おじいさん、おれに、かますをつけなさい。」
すると、欲《よく》ばりのおじいさんですから、
「わかってるよ。おまえにかますをつけようと思って、借《か》りてきたのだ。」
すると、また、犬が、
「かますのわきに、くわをつけなさい。」
「わかってる。くわをつけようと思って、おまえを借りてきたのだ。」
おじいさんは、ことばをつづけて、
「それ、山へ行け。」
と、犬を追いたてるようにして、山へ登っていきました。犬は、山へ登ると、いいかげんのところでたちどまって、いいました。
「おじいさん、ここを掘りなさい。」
おじいさんは、大喜びして、サクサク、サックと、くわをふりあげて、土を掘りました。すると、おどろいたことに、土の中から出てきたものは、ヘビにカワズ、ムカデにゲジゲジ、ありとあらゆる、いやなものばかりです。おじいさんは、大腹《おおはら》立ち、
「こいつ、どうして、こんなところを掘らしたんだ。」
そういって、くわを、犬に、ひどくゴツンと打ちおろして、ころしてしまいました。そうして、穴《あな》を掘って、犬をうずめてしまいました。それでも、そのそばへ、ヤナギの枝《えだ》を一本さして、帰ってきました。
うちでは、欲ばりのおばあさんが、今に、かますいっぱい、大判、小判を持って帰ってくるかと、表に出て、待っていました。そこへ、おじいさんが、むっとした顔をして、犬もつれずに帰ってきました。
「おじいさん、おじいさん、いったい、どうしたのです。」
と、たずねますと、
「どうしたもあるものか。あの犬のいうところを掘ったらば、出てきたものは、ヘビにカワズに、ムカデにゲジゲジ。腹が立ったから、犬をぶちころして、うずめておいた。」