むかし、むかし、あるところに、おばあさんがひとり、住んでいました。
おばあさんは、かんしゃく持ちで、おこってばかりおりました。
ある日、のきばに、スズメが来て、チュウチュク、チュウチュク、鳴きました。おばあさんは、腹《はら》を立てて、
「やかましい。」
と、竹ざおで、スズメをたたきました。スズメは、ぶたれて、羽《はね》をいため、となりのおばあさんのところへ、逃《に》げていきました。
となりのおばあさんは、それはやさしいおばあさんでした。
それで、スズメをかわいそうに思い、
「まあ、こんなにけがをして——」
といって、ふところに入れて、かいほうしました。
ごはんつぶを食べさせてやったり、水を飲ませてやったりしたのです。
まもなく、スズメは、げんきになり、空を飛べるようになりました。
すると、おばあさんは、
「さあ、友だちのところへ帰りなさい。気をつけて、二どと、となりのおばあさんに、ぶたれるでないよ。」
と、そういって、逃がしてやりました。
何日かのちのことでした。やさしいそのおばあさんの家ののきばに、そのスズメが来て、チュウチュク、チュウチュク、鳴きました。そして、小さなヒョウタンを一つ、落としていきました。
おばあさんが、それを拾って、なにがはいっているかと、ふってみましたら、中から、お米が出てきました。ふればふるほど、いくらでも出てきました。
スズメが、助けられたお礼に、持ってきたのです。それで、おばあさんは、一生《いつしよう》、お米に不自由しませんでした。