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日本むかしばなし集154

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:サルとキジサルとキジとが、もあい田《だ》を作りました。いっしょに、たんぼを作るのです。田のあぜぬりをするときになりました
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サルとキジ

サルとキジとが、もあい田《だ》を作りました。いっしょに、たんぼを作るのです。田のあぜぬりをするときになりましたので、キジが、サルに、いいました。
「サルどん、サルどん、よそでは、みんな、あぜぬりをしているから、おれたちも、あぜをぬらなくちゃ。」
すると、サルが、いいました。
「ところが、キジどん、おれは、とても足がいたくて、ここんところ、あぜぬりどころではないのだ。」
キジは、おひとよしなので、
「いいとも、いいとも。せっかくだいじにしていなされ。あぜは、おれが、ぬってやるから。」
そういって、ひとりで、あぜをぬりました。
日にちがたって、こんどは、田打ちをするころになりました。
「サルどん、サルどん、よそでは、田打ちをはじめているのだが、おれたちのたんぼは、どうしたものだろう。」
すると、サルが、いいました。
「おれは、きょう、とても頭がいたくてね。」
キジは、おひとよしですから、また、
「頭痛《ずつう》がするんなら、やすむがいい。田打ちは、おれが、やってやる。」
そういって、ひとりで、田打ちをすませました。しばらくすると、こんどは、田植《たうえ》がやってきました。
「サルどん、サルどん、田植は、どうしようか。」
サルが、いいました。
「そりゃ困《こま》った。じつは、二、三日前から、ひどいせんきがおきて、とても、田植どころではない。」
キジが、いいました。
「それでは、サルどん、やすむがいい。田植は、おれが、やっておこう。」
そうして、こんども、キジひとりで、田植をやりました。
水をひき、田の草をとり、土用《どよう》もすぎて、秋になりました。稲《いね》の穂《ほ》も、ザングリ、ザングリ、出そろって、刈《か》りいれどきが近くなりました。
「サルどん、サルどん、よそでは、稲刈《いねか》りがはじまっているが、おれたちのたんぼは、どうしよう。」
「どうにもこうにも、背中《せなか》が病《や》めて、手足がいたくて、頭痛がして、とても、稲刈りどころではないんだ。」
キジは、
「ああ、ええとも、ええとも。」
そういって、また、ひとりで、せっせと、稲刈りをしたり、稲をほしたり、それから、もみにしたり、お米にしたり、そんなことを、いっさい、やってしまいました。
すると、こんどは、めずらしいことに、サルが、キジのところへやってきて、いいました。
「キジどん、キジどん、いままでは、すっかり、おまえのおせわになったが、きょうは、ひとつ、もちをついて、おまえに食べさしてやろう。」
「それは、けっこう。」
そこで、ふたりは、もちつきをはじめました。米をとぐやら、うすを出すやらして、ベッタラ、ベッタラと、つきました。
もちをつきあげると、サルは、
「キジどん、キジどん、おまえ、はんぎりを出してくれないか。」
「ええとも、ええとも。」
と、キジが、ながしもとに行っているあいだに、サルは、うすの中のもちを、きねの先にひっかけて、エッサラ、エッサラ、山の中へ、逃げていってしまいました。キジは、これを見て、
「ひでえサルだ、ひでえサルだ。」
と、さけびながら、あとを追いかけました。
ところが、サルは、あんまりあわてて逃げたもので、もちを、とちゅうのやぶの中に、落としてしまいました。それを知らずに、サルは、遠くまで来てから、
「いまごろ、キジは、泣きづらをしているだろうな。」
そういいながら、きねを肩《かた》からおろして、もちを食べようとしました。ところが、おろしたきねには、もちのかけらもついておりません。サルは、しまった、と、すぐに、もとの方へかけもどり、あっちの草のなか、こっちの木の枝《えだ》、それから、道の上など、ちまなこになってさがしました。そうして、だんだん、だんだん、もときた道をもどっていくうちに、ふと見ると、キジが、やぶの中で、ほこりにまみれたもちを、フウフウふいて、ほこりをとっていました。そうして、はしっこのほうから、かじりはじめました。サルは、もう、気が気でなく、キジのそばまでいって、いいました。
「キジどん、キジどん、やぶの中のもちは、どんな味がするかい。」
「やぶの中のもちでも、ほこりをとって食べれば、やっぱり、おいしゅうござりもうす。」
「そんなら、おれにも、すこしくれないか。」
「サルどんは、きねのもちを食べなされ。やぶのもちは、おれが食べる。」
「そういわないで、すこしでいいから、おくんなさい。」
「すこしでも、やれません。」
「よし、わかった。そんなら、今晩、夜うちに行くから、おぼえていろ。」
サルは、プリプリおこって、山へ行きました。
キジは、サルをおこらせてしまったので、すこし、心配になってきました。家に帰ると、つい、オイオイと、泣きだしました。そこへ、コロコロ、卵《たまご》がころがってきて、
「キジさん、キジさん、なんで、泣いとるんだ。」
「サルが、夜うちに来るというので、それがこわくて、泣いている。」
「そんなことなら、なにも、泣くことはない。おれが助けてやるから、もう、泣かなくっていい。」
それでも、キジは、やっぱり、オイオイ、泣きつづけました。すると、ビクタク、ビクタクと、しんばり棒《ぼう》がやってきました。
「キジどん、キジどん、なにを、泣いているんです。」
「サルが、夜うちをかけてくるので、それがこわくて、泣いている。」
「おれがたすけてあげるから、もう、泣きなさんな。」
キジは、それでも、まだ、オイオイ、泣きつづけました。
そこへ、ハサミムシが来ました。ニガムシが来ました。畳針《たたみばり》が来ました。うすが来ました。そして、牛ぐそも来ました。
「キジどん、キジどん、泣くことはない。おれたちみんなで、助けてやる。」
そう、みんなでいったので、やっと、キジは、安心して、泣きやめました。
日ぐれ近くになりました。しんばり棒は戸口に、卵はいろりの中に、畳針は炉《ろ》ぶちに、ハサミムシは水がめに、ニガムシはみそおけのなかに、牛ぐそは玄関《げんかん》のふみ石に、うすは天井裏《てんじよううら》の屋根げたに、それぞれ、持場を作って、サルの来るのを待っていました。
やがて、夜になりました。
サルは、遠くから、大きな声で、
「キジ、キジ、夜うちだぞ、夜うちだぞ。サルが、夜うちにやってきたぞ。」
そう、よびながら、やってきました。来てみると、キジの家は、しいーんとしています。
「キジ、キジ、戸をあけろ。サルどのの夜うちだぞ。」
いっそう大きな声で、サルは、よびたてました。けれども、やっぱり、家のなかは、しいーんとしています。
「あけろというのに、なぜあけぬ。あけねば、かってにあけて、はいるぞ。」
そういって、サルは、ガラッと、表の戸をあけました。そのひょうしに、しんばり棒が、サルのひたいに、コツンと、ぶつかりました。
「だれだ、ひとのひたいを、棒でぶつのは。」
そう、どなりながらも、サルは、
「ああ、寒い、寒い。」
と、炉ばたに近よって、火を、フウフウふきました。すると、卵が、パチンと、はねかえりました。
「あちち、あちち。」
と、サルは、顔をおさえて、尻《しり》もちをつきました。そのはずみに、畳針が、プキッと、お尻《しり》につきささりました。
「あつい、あつい、いたい、いたい。そうだ、みそは、やけどの妙薬《みようやく》じゃ。」
そういって、サルは、いきなり、みそおけのところへはしっていって、みそを、やけどにつけようとしました。それを、なんとしたことか、みそを、ひとすくい、口へ持っていってしまいました。サルは、よっぽど、くいしんぼうなのです。すると、そのひょうしに、ニガムシを、プツリと、かみくだいてしまいました。
「やあ、にがい。おう、にがい。」
ニガムシが、口のなかでくだけたので、とてもにがい味が、口の中いっぱいになりました。そこで、大急ぎで、水がめのところに行き、ふたをとって、首をつっこみました。すると、ハサミムシが、うきあがってきて、一つしかない舌《した》を、チョキンと、ちょんぎりました。
「やあ、これは、キジどころではない。こっちが、夜うちにかけられた。」
サルは、もう、びっくりぎょうてんして、逃げだそうとしました。すると、玄関のふみ石で、牛ぐそをふんづけて、ひどくころんでしまいました。
「そうれ、欲《よく》ばりザルを退治《たいじ》するのは、今だ。」
と、うすが、天井裏《うら》から落ちてきて、サルを、どっかと、おさえつけました。
「ごめんなさい、ごめんなさい。もう、欲ばりはいたしません。」
サルは、そういって、何度も何度も、あやまるのでした。
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