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日本むかしばなし集175

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:二 善太が学校から帰って、背嚢《はいのう》を机の上に置こうとすると、台所の方でピリピリと笛の音が聞えて来た。あれっと、背
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 善太が学校から帰って、背嚢《はいのう》を机の上に置こうとすると、台所の方でピリピリと笛の音が聞えて来た。あれっと、背嚢を置く手をとめ、聞耳を立てると、
「中野、中野——。」
三平の声である。直ぐ台所に駆けてってみると、三平が台所の戸を電車の戸に見立てて、電車ゴッコをやっている。
まず右手を上げて、笛を吹く。ピリピリ。それから中に入って、戸をしめる。
「ガタン、シューッ、カタカタカタ。」
これで電車は発車したことになる。
「この電車は急行であります。東中野大久保は止りません。」
三平はもう車掌である。と、舞台は新宿乗場になっている。
「三番線に東京行きが参りまあす。」
拡声機が呼んでいる。
「シューッ、ガタン。」
電車は止った。台所の戸はゴロゴロ開く。
「新宿新宿。」
三平は呼ぶ。
「お早く願いまあす。」
そこで右手を上げて発車の合図。
「ピリピリ。」
中に入って、戸をしめる。
「ガタン、シュー。」
もう発車である。
「三平チャン。」
暫《しばら》く立って見ていてから善太が呼ぶ。しかし三平は忙しい。何しろ車掌なんだから電車が発車したら直ぐ呼ばなければならない。
「次は代々木であります。千駄ヶ谷信濃町は止りません。」
「三平チャン。」
「カタカタ、ゴー、カタカタ。」
「三平チャン。」
「ゴーゴー、カタカタ。」
三平は得意なのだ。仕方なく善太は戸の側に飛び下り、車掌の笛に手をかける。
「一寸《ちよつと》これ見せろい。」
「いやだい。」
三平は馬鹿に大きい声を立てる。
「見せたっていいじゃあないか。」
善太は喧嘩《けんか》腰である。自然笛にかけた手に力がはいる。
「お母さん——。」
三平が呼ぶ。
「見せろったら、見せろ。」
善太の声が高くなる。二人が争うので、台所の戸がガタガタ大きい音を立てる。
「まあ、何してるの。もう喧嘩?」
お母さんがやって来る。
「だって、だってさ。」
少しドモリの善太はこうなると、言葉がせき込んで来る。しかしお母さんには聞く迄もなく、事情はよく解っている。
「兄チャンもそんなにしなくたっていいじゃあないか。」
「ウン。」
それで善太がおとなしく手をはなす。
「三平チャンもおとなしく兄チャンに見せたげなさい。」
「だって、ボク、見せようと思ってる内、兄チャンとろうとするんだもん。」
三平が口をとがらす。
「いいから、さ、見せたげなさい。」
「ホラ。」
三平が笛持つ手を善太の前に突き出す。
「いいやい。そんな笛なんかいいや。」
今更見られないいきさつだ。そこで善太は勇ましく机の処に帰って来る。すると、三平はまた笛を吹いて始めた。聞いてると、何と面白く電車の進行することだろう。まるで自分も電車の中に居るようだ。見る間に中野から東京駅に来てしまう。自由自在だ。
「ここで一休みでありまあす。」
そんなこと迄三平は云っている。これで善太はどうも落付けない。机の抽出しを掻《か》き廻した末、秘蔵の飛行機の絵葉書を五枚持って出かけて行く。
「三平チャン、これ、いらない。」
三平が顔をあげる。
「飛行機だぞ。五枚もあらあ。ブウブウっていってるんだ。愛国号だ。ウン、白鳩号だ。ブルブルっていってるんだ。」
これには興味を引かれ、三平は側に寄って来る。
「ね、こいつ爆弾機だぞ。バクダンを五つも積んでるんだ。いいだろう。ドカン、ドカンって落すんだ。この家なんか、木ッ葉|微塵《みじん》だ。」
これに三平はまいった。
「くれる?」
とおとなしく善太の顔をのぞき込む。
「ウン、あげらあ。五枚だぞ。」
善太はあっさり、その五枚の絵葉書を三平の前にさし出す。そうしておいて、三平に聞き始めた。
「その笛どうしたの? 買ったの、貰ったの。」
「ウン、今朝三河屋の小僧がくれたんだ。」
「フーン、一寸貸して。」
借りると、直ぐ口にあて、むさぼるように吹き始める。とても大きな音が出て、家中が笛の音で一杯になる。
「ああああやかましい。」
お母さんが堪え切れない。そこで善太は三平に提議する。
「三平チャン、ビワの木のところへ行こう。」
小さい声で云って、笛を喰わえたまま、ビワの木のところへ行き、そこでもう思いのままに吹き鳴らす。
「ピリピリ——。ピリピリ、ピリピリ——。」
いくら吹いても吹き足りない。吹く度に心が躍る。それなのに、三平は直ぐ側で今にも手を出しそうに待っている。それを見ると、いつ迄たってもやめられない。そこで三平に云う。
「三平チャン、明治のおカネいらない? あれ上げようか。」
明治のおカネというのは古い一銭銅貨である。
「ウン。」
と、云ったものの、三平は気のすすまない顔をしている。善太の真意が解らないのだ。
「大きいおカネだぞ。あれ三つ、いや、四つあげら。」
「ウン。」
「そしたら、この笛くれる?」
「いやだあ。」
「ウウン、五つ、五つあげら。」
「いや。」
「いやいやって、あれ五つありゃ、こんな笛なんか幾つだって買えるんだぞ。」
「ほんとう?」
「ほんとうとも。」
「じゃあいいや。」
善太は机の処へ駆けもどり、抽出しからありったけの五つの銅貨を握って、ビワの木の下へ駆けつける。何とその嬉しそうな顔。それに比べて、三平のつまらなそうな顔。しかし善太は兄さんだ。三平が返して欲しいという前に先手を打つ。
「三平ちゃん、この笛貸したげら、電車ゴッコして遊びなさい。」
これで三平はまた楽しそうに台所の戸をあけたりしめたりし始めた。こん度は善太もそれを聞いて心が楽しい。
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