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日本むかしばなし集185

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:    二 翌朝のことであります。おじいさんは座敷の縁側にすわって、煙草をすいすい庭をながめていました。庭には池があり、
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    二
 
 翌朝のことであります。
おじいさんは座敷の縁側にすわって、煙草をすいすい庭をながめていました。庭には池があり、池の向うには築山があって、その築山の上には大きな岩の側に楓《かえで》が真紅に紅葉していました。
池の手前には一本の松の木が枝を縁側の方へさし出しています。その側には燈籠《とうろう》が一つ立っていました。その燈籠へ向って出ばった松の枝に、一羽の大きな鷹がとまっております。
これは「たまふさ」という有名な鷹で、おじいさんはこの鷹を使って、鴨《かも》や雁《がん》や、兎までもとるのでした。とても猛しい鷹でしたが、おじいさんにはとてもよくなれていて、おじいさんの指図なら、どんなことでもすぐのみこみ、どんなことでもしました。
鷹は今|籠《かご》から出されて、朝日のさしている枝の上で翼をひろげたり、くちばしで身体《からだ》の方々をつついたりしているところでした。
そこへ金十という下男が庭の柴折戸《しおりど》から入って来ました。それを見ると、|たまふさ《ヽヽヽヽ》は大きな翼をひろげて、バサバサと羽ばたきをして、今にも飛び立ちそうな様子を見せました。
「待て待て待て。」
金十が言うのでした。金十はザルに入れた四五羽の雀を持っていました。雀はカスミ網でとったもので、みな生きていて、ザルの中でバタバタあばれています。でも、もうみんな羽根が折ってあるので、あばれても飛び立つことは出来ません。
「金十。」とおじいさんがよびました。
「今朝はもしかしたら狐狩りにいくかも知れんぞ。雀は三羽だけにしておこう。」
すると、金十が言いました。
「へい、では、犬の方も。」
「うん、犬も朝めしをへらしとけ。」
それで金十はザルの中から雀を一羽つかみ出し、これを松の下へ投げてやりました。それを見ると|たまふさ《ヽヽヽヽ》は、ひょいと枝から地べたへ下りて、土の上にころんでもがいている雀を、しばらくいかめしい目付をして見下ろしていました。やがて片足の爪で、それをグイとつかみ、鋭く曲った嘴《くちばし》でくわッと喰わえて、頭を振って食べはじめました。そこら中へ雀の毛が散りました。金十はその側へあとの二羽の雀を置いて、また柴折戸から出ていきました。
こんどは納屋の方で犬のなき声が聞えました。声はこっちへ近づいて来ました。と、二ひきの犬が勢いよく庭へ飛びこんで来ました。これは四郎に九郎という犬たちでありました。四郎は白、九郎は黒犬でした。
二ひきは尾っぽをピンピン振りながら、築山の方から池のぐるりへかけて、土の上に鼻をつけて嗅《か》ぎ嗅ぎ、いそがしく駆け廻りました。築山の岩の上にのぼって、そこから首をのぞけて、鷹の方やおじいさんの方を見たりしました。
そのうちに、二ひきは松の下の鷹のところへやって来て、一間ばかり離れたところから、ものほしそうに鼻を突き出しながら、少しずつ鷹の方へ寄っていきました。すると、鷹はとても恐い目付をして犬をにらみつけ、クワックワッと、叱るように鳴きました。
これで犬たちは鼻を近よせるのはよして、そのままそこへ、しりをすえてすわりこみ、尾っぽを振り振り鷹の御馳走を見入っていました。鷹はこんな無遠慮な見物人に困ってか、それからは見る間に雀を食べてしまい、大きな翼をひろげると、築山から池の上の方をずうッと低くまいくぐり、二三度舞うと、また松の枝にもどって、そこへじっととまりました。
二ひきの犬は鷹が飛び立つと、後の土の上に残った雀の羽根のかたまりの中へ、頭をまっさかさにして鼻を突ッこみ、ふんふんふんふんかぎ廻しました。鷹は枝へかえると、何か残していたかしら、というように頭をかしげながら、犬の様子を見下ろしました。しかしもう何一つ残ってなどはいません。犬がふんふん言う度に、羽根がパッパッ飛び立つばかりでありました。
ところが、そのときであります。柴折戸からまた犬が一ぴきかけこんで来ました。これは白黒まだらの二郎という犬でした。その後から、権という下男が入って来ました。それを見ると、おじいさんがすぐ言いました。
「うん、権や、もどったか。どうじゃった。」
権が言いました。
「へい、重箱はやっぱり橋の近くにありました。御馳走はもうさんざんに食べ荒し、風呂敷などは幾つにも引きさいてありました。それでも重箱だけは、そのままありましたので、今お|さん《ヽヽ》どんに渡しておきました。いまに洗ってもらってお目にかけます。」
「ふーん。それで、穴は見つけたか。」
おじいさんが言いました。
「へい、橋のところで御馳走のあとをよく二郎にかがせまして、それから、そこいら中をさがさせましたところ、やっぱりあの櫟林《くぬぎばやし》の塚の下の穴らしゅうございますわい。」
「うん、そうかあ。」
おじいさんは思わず前へのり出すようにしました。
「あそこに一つ、昔から穴があるのを知っていましたから、今日は犬を近づけては悪いと思いまして、側まで行って、引きかえしてまいりました。」
それを聞くと、おじいさんは二三度、大きくうなずきました。
「ウン、ウン、御苦労御苦労。」
それから三十分たつか、たたないうちに、おじいさんは、腰には一本長い刀をさし、肩に大鷹をとまらせて、大門を出ていきました。足には脚絆《きやはん》にわらじ、手には手甲をつけていました。後には金十と権が、やはり、手甲、わらじがけで、供につきました。二郎、四郎、九郎の三びきは、後になり先になり、急しく駆け廻ったりして、ついていきます。村の子供たちがたくさん、一ところにかたまって、それを見送っていました。金十が言いました。
「旦那、だれに聞きましたか、今日は櫟林の狐狩りだというので、村のものが後のたたりを恐れておりますが。」
「ハハハ、何を言うか。後のたたりのないように、今日は退治てやるんじゃないか。」
おじいさんが笑って言いました。
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