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日本むかしばなし集187

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:善太と三平それは田圃《たんぼ》の片隅である。太い松の木が空高く聳《そび》えていた。ガッシリしたその枝には烏が来てとまった
(单词翻译:双击或拖选)
善太と三平

それは田圃《たんぼ》の片隅である。太い松の木が空高く聳《そび》えていた。ガッシリしたその枝には烏が来てとまったり、鳶《とび》が休んでいたりした。頂が高いので、その辺は空気も澄んでいて、きっと温度も低く、息もらくのように思われた。その土地は善太の家のものであったので彼はよく来て、樹の下から高い頂上の方を見上げたのである。
ある日、そこに、高い枝の上に白い鳥がとまっていた。白い鳥は行者か何かを思わせて神秘的な気もするものである。鳩くらいもある白い鳥である、善太は恐ろしい気がした。
しかし善太は言ったのである。
「あんなの恐くないやい。」
すると、声が聞えた。
「恐くない?」
「恐くないとも。」
善太は即座に答え、そして耳をすました。
いざとあれば、喧嘩《けんか》しなければならないし、また場合によっては逃げもしなければならない。しかしそれきり声が聞えない。それでもう一度言ってみた。
「ああ、恐くないとも! ちょっとも恐くないや。」
そしてまた耳をすましていた。やっぱり声は聞えなかった。すると、相手はどうしたのだろう、もう逃げたか。強くて、もう身辺に迫っているのか。
「ええい、石、ぶっつけてやれい。」
木から三四間離れて、善太は石を拾った。これをもって身構えると、樹の上を見上げて、それから周囲に気を配った。が、やはり何の答えもなかった。そこで善太は樹に二三歩駈け寄り、その勢いで上に石を投げた。石が枝にあたって、落ちて来る音を聞きながら、彼は後をも見ずに逃げ出した。白い鳥は身じろぎもしないで、じっとその様子を眺めていた。
善太は勝ったような気もすれば負けたような気もしたのである。しかし家に帰って来ると、三平に言って聞かせた。
「三平チャン、今日、とても大変だったんだぜ。あそこの田圃の松の樹のとこね。あそこに大きい白い鳥がいてね。クワア、クワア、クワアって鳴いているんだ。とっても大きな鳥なんだぜ、タカくらい。ウウン、ワシくらい。白い大ワシだ。おれ、石をぶっつけてやった。」
「フーン。」
三平は感心したのである。そして暫《しばら》くして言ったのである。
「それでどうした? 死んだ?」
「死なないや。」
「どうして殺さなかったの?」
「殺さないように石ぶっつけたんじゃないか。あんな白い鳥なんか神様の手下なんだぞ、殺したら、それこそ大変だあ、たたられてしまうから。」
「フーン。」
 松の樹の下には、根本に小さい祠《ほこら》があった。瓦《かわら》で出来た玩具《おもちや》のような形をしていた、片手でもさげられるくらいのものである。何が祭ってあるのか、永年そこに立っていて、雨にうたれ、風に吹かれ、そして草の中に埋まっていた。それでも、一年の内の何かの日には善太達のお母さんがそこにお詣《まい》りして、その前で何かブツブツ言いながら、火のついた線香をお供えしたのである。
けむりがモウモウと立って、松の樹の幹に沿うて上に昇った。中途で幹の裏へ廻りかけると、そこでスッスッと風に吹き散らされた。しかしそれを見ていると、善太にも三平にも、何かもの凄《すご》いことが思い出された。いつかあった村の火事のことが思い出されたり、またいつか村を騒がした気狂《きちが》い女の髪を振乱した姿が思い出されたりした。煙というものは気味悪いものである。それが一層この田圃の片隅を神秘的なものとした。
兄の善太は白い鳥を見たという処だし、お母さんは線香を立てておがむ処だし、三平も何か不思議なものを見るに違いない。そう思って、恐い処だけれども、ある日三平はそこにやって来た。
「ちょっとも恐くないや。」
家を出るから、彼はそう口に出して言ったのである。
「走ってやれい。」
その証拠には、彼はこう言って走りさえしたのである。そうして樹の下に駆けつけると、樹の周囲をグルリと廻って、上から下まで見上げ見下ろししたのである。それから、祠の前に立って、その瓦の小さいお宮をじっと眺めた。何にもない。鳥もいなければ、声も聞えない。でも、もっとよく聞いてみなければ、また、もっとよく見てみなければ、何かがあるかも知れないぞ。それで、三平は立ったまま、じっと耳をすましていた。
と、そうだ。チリ、チリ、チリ、虫の声が聞えて来た。コオロギの声である。声を尋ねて見廻すと、これは祠の中から聞えている。そこでしゃがんで、身体《からだ》をすくめて覗《のぞ》き込むと、小暗い瓦のお宮の中の片隅に、コオロギはまぶたのない二つの目を開き、長いヒゲを前にさし出し、鳴くのをやめて、三平の方をじっと見ている。祠の中は瓦も土も白く乾いている。
さて、この時三平は思ったのである。
「これが神様かも知れない。」
そこで三平はそのコオロギの前に頭を下げた。自然に目がつぶられ、自然に手が合わされた。次に目をあけて見たが、コオロギはやはり前の通り、まぶたのない二つの目で、三平の方を眺め、長いヒゲを前につき出していた。三平は満足して立上り、ゆっくり家の方に歩いて来た。
「お母さん。」
家に戻ると、彼は言ったのである。
「僕、今日神様見ちゃった。」
「へえ、どんなだった。」
「松の樹んとこでね。」
「松の樹?」
「ウウン、あの田圃の松の樹のとこでよ。」
「ああ、あそこ。」
「ウン、あの松の樹の下にお宮があるでしょう。」
「ああ、ある、ある。」
「あのお宮を覗いたら、いるのさ。」
「何が。」
「神さまさ。」
「フーン。」
「チリチリ、チリチリって鳴いていた。」
「へえ、面白い神様ね。」
「ウン、とても面白いの。僕を見て、ヒゲを動かしたり、ピンピン飛んで見せたりするのさ。」
「へえ、全く面白い神さまね。」
「ウン、そりゃ面白いんだ。ヒゲが長いのさ。足だって、とても長いんだよ。だから跳ねたら、二メートルくらい一飛びさ。」
「へえ——。」
母さんは全く驚いてしまった。
 夏のある日、雨が降って雷が鳴った。大きな雷で、空の上で何か大変なものが引き裂かれたりしたような音であった。その一つが松の樹の上に落ちた——と、そう思われた。何しろ金のキラキラする線が松の樹の上の空から、そこの岩のような雲の塊から、下へ向けて地図の国境のような線を引いたのである。
「松の樹だ。きっと松の樹だ。」
みんなが口々に言った。
善太と三平は雷のやむのを待っていた。やんだら直ぐ松の樹の処へ行ってみよう。雷はどんなにして落ちているだろう。というより落ちてどんなになっているだろう。土に穴を開けて、中にもぐり込んでしまっているか。それとも! といってみたところでも解らない。雷の正体を知っているものはないのだから。みんなは雷獣ってものがいるというのだし、学校の先生は、雷とは電気の作用であるというのだし、だから、一時も早く雷の落ちたところを見たいものである。そう考えて、善太と三平は二階の窓から松の樹の方を眺め、トントン足踏みをして待っていたのである。
ト、雷がやんで、雨があがった。そして松の樹の上あたりにうっすらと虹《にじ》が立った。それを見ると、そら行けと、二人は競争で門を駆け出した。道のたまり水を跳ね飛ばして駆けつけてみると、何のことだろう。虹は遠くの空へ行って、見えるか見えないくらいに、はかなげに消えかかり、松の樹の何処《どこ》にも雷の跡はない。
道に立ち、樹を見上げて、二人はちょっとぼんやりした。と、その時、三平が善太を肘《ひじ》で小さくこづいた。
「え?」
善太が三平の方に顔を傾けた。三平がそっと指でさし示した。祠の彼方《むこう》の草の中である。
「お?」
善太は驚いたような表情をする、まだ解らないでいるのである。
「草の中で、魚がはねてるだろう。」
三平が小さい声で知らせてやる。
「ウン? ああ、あれか。何だい。おれア雷かと思ったあ。」
が、雷でないにしても、これは不思議なことである。雨のあとで水かさが増した田圃のすぐ側であるとは言え、何にしても陸の草の中である。そこで大きな魚がピンピン上に、一尺も二尺も跳ね上っているのである。しかも、雷さまの落ちた後である。
「兄チャン、どうする?」
「とるさあ。」
「とってもいい?」
「いいさあ。」
「雷が怒るよ。」
「馬鹿ッ。」
善太は一人でいる時より、弟といる時の方が大人らしくて、大胆で常識家である。
「じゃ、何でとる?」
三平はまた善太といる時の方が子供らしく小胆である。
「手でとるさ。」
「じゃ、とって御覧。」
「わけないや。」
善太は露にぬれた草を分けて進み入った。
「やあ、大きいぞう。鯉だ。鯉だ。」
わけなく彼は鯉を両手で押さえ付けた。バタバタするのを前に抱えて、道の方へ出て来たのである。一尺もある鯉である。何だか、目を白黒させているようである。口をパクパクさせていることは確かだ。尻《し》ッぽもパタリパタリするのである。
「ねえ。」
大得意で、善太は三平にそれを示した。それから、
「行こう。」
と善太が帰りを促して行きかかった時、また三平が言ったのである。
「兄チャン。」
振返ると、おや、また三平は松の下の祠の近くに立ち、何かそこにいるような様子を示しているのである。
近よってみると、何と、これは一匹の蟹《かに》である。しかも、大きな川蟹である。身体に毛の生えているような奴である。それが祠の上にのっかり、爪を高くさし上げて、じりじりと動こうとしているのである。
「なあんだ。」
善太は言いました。
「どうする?」
また三平は聞くのである。
「ウン。」
と言ったものの、こん度は善太も一寸《ちよつと》恐ろしい。毛の生えた蟹である。しかも爪を立てている。その上、神さまの祠の上にかまえているのだ。
「どうする?」
三平はまた聞くのである。
「いいや、あんなの、捨てとこう。」
こうなれば、帰りが急《せ》かれる二人は道をまた水を跳ね散らかして駆け駆けした。
大分駆けてから、二人が歩き始めた時、三平が言った。
「僕にも持たせてよ。」
「ウン、落すなよ。」
鯉を持つと、三平は俄かにおしゃべりになった。
「ねえ、さっきの蟹ね、あれ、きっと雷の家来だよ。」
「馬鹿ッ。」
「どうして?」
「どうしてって、そんなことあるかい。」
「ありますよッ。」
「じゃ、その訳を言ってみろ。その訳を。」
「だって、雷が落ちたろう。そこへ行ってみたら、その落ちた処にいたんだろう。それがその訳さ。」
「そんな訳って、あるかい。」
「ありますよッ。」
「じゃア、お母さんに聞いてみよう。」
「ああ、聞いてみよう。もし、雷の家来だったらどうする。」
「どうもしないよ。だってさ、雷の家来なんてありっこないもん。」
「あるさ。あるとも、きっとある。」
「じゃ、もし、なかったら、拳骨《げんこつ》だぞ。」
「ああ、あったら、僕の方も拳骨だよ。」
「あああ。」
「あああ。」
二人は大急行で、お母さんのいる家の方へ駆け出した。そして二人は門の前から、
「お母さん——。」
「お母さん——。」
と大声で呼びながら駆け込んで行った。
「拳骨だから——。」
「拳骨だから——。」
二人とも、相手に勝つことばかり考えて、こんなことを言い合いながら、台所の方でお母さんをさがした。
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