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日本むかしばなし集190

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:善太の手紙善太の処へある日|樺太《からふと》へ行っているお父さんから手紙が来ました。「お父さんは近い内に東京へ帰ります。
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善太の手紙

善太の処へある日|樺太《からふと》へ行っているお父さんから手紙が来ました。
「お父さんは近い内に東京へ帰ります。それで善太に何をお土産にしようかと考えています。しかし田舎のことだから立派な玩具《おもちや》なぞはありません。田舎のもので欲しいものがあったら云って来なさい。」
善太は直ぐ返事を書きました。
「僕はもう四年生ですから、玩具などはいりません。それより狐を一匹捕って来て下さい。生きた狐を箱に入れて来て下さい。小さい狐でかまいません。僕この間本を読んでいたら狐の嫁入りというのが書いてありました。田舎では日が照っている時雨が降ると狐らが行列をつくって、森から森へ嫁入りというのをするのだそうですね。お嫁さんはカゴに乗って前には提灯《ちようちん》を持った狐が二匹人間に化けて歩くんだそうですね。後にはタンスやナガモチや沢山の荷物をかついだ狐がつづいて行くのだそうですね。僕、狐がそんな遊戯をするのを見たくてたまりません。そんな化ける狐を一匹是非捕えて来て下さい。活動写真や芝居なんかより、その方がどんなに面白いか解りません。僕、友達にも話したので、みんなでそれは楽しみにして待っております。」
間もなく、お父さんから返事が来ました。
「困ったことに、この樺太の田舎にもそういう狐はもういなくなったのです。昔は狐もノンキでそんなことをして遊んだようですけれど、今頃は鉄砲が出来たせいか、狐は村どころか、人間の目につく処へも出て来ません。それに化けるということにもずいぶん練習がいると見え、今頃のように早く鉄砲で打たれては、狐も上手になる暇がないのでしょう。お父さんもまだここで一度も狐の嫁入りを見たことがないのです。それで、狐より、生きたものなら、鯉や鳥などはどうだろう。急いで返事を下さい。」
これを見ると、善太は直ぐまた返事を書きました。
「お父さん、鯉でもかまいません。しかし鯉なら、僕が背中に乗れるようなのを持って帰って下さい。お話の本を見ると、鯉の滝上りとか云って、子供が鯉に跨《また》がって、大きな滝にのぼって行くのがあるではありませんか。僕、この頃近くのプールへ通っているので、鯉に乗って泳いだらどんなに面白いだろうと考えました。もし、そんなのが二匹いたら、二匹持って帰って下さい。僕、清水君にも貸してやって二人で競争したいと思います。」
お父さんからの返事が来ました。
「どうも困ったことです。鯉もいつ頃からか人間と仲が悪くなったと見え、人間を見ると逃げてばかりいるのです。昔のように子供と仲よくする鯉など何処《どこ》をさがしてもいないようです。これは鯉をとってはさしみにしたり吸物にしたりする人間が悪いのだから仕方がありません。お父さんは鳥ならいいと思うのだが、どうでしょう。」
それで善太は返事を書きました。
「お父さん、僕もやはり鳥がいいと思います。それでもう他に何もいりませんから、大きな鳥を捕って来て下さい。昔の狐のように化けなくても、昔の鯉のように人間と仲よしでなくともよろしい。でも首が長くて、羽根の大きい鳥にして下さい。あれはきっと鶴という鳥だと思うのですけれども、昔は仙人と云って、髯《ひげ》の長いおじいさんが、杖《つえ》をもってその背中に腰をかけ、雲の上などを飛んだらしいのです。僕、そんなに高く飛ぼうとは思いません。ついらくしたら危ないですから。しかし池の上から二三尺の低空飛行をやってみたいのです。」
お父さんはそれから間もなく帰って来ました。お土産は何だったでしょう。それは大きな犬でした。そりを引く犬で、東京でも善太のために自転車の前の綱を引いて走りました。
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