もりのなかのくさのしたに、カシのみがひとつおちていました。カシのみははやくめをだして、はやく大きなカシの木になって、たくさんのカシのみをならしたいと、かんがえていました。
すると、そこへ一ぴきのリスがとおりかかりました。リスはおなかがすいていました。それで、「おなかがすいたおなかがすいた。」といいながらはしっていました。だからカシのみをみつけるとすぐいいました。
「おやこれはごちそうだ。」
そして大きな口をあけました。
これをみるとカシのみがいいました。
「リスさんかんにんしてください。」
リスがいいました。
「かんにんできない。おれはおなかがすいているんだ。」
でもカシのみはたのみました。
「まってくださいリスさん、このつぎもりに花がさき、そしてみのなるころになったらわたくしは大きな木になって、あなたにたくさんみをあげます。」
もりに花がさきました。それから花がちってみがなりました。
リスはカシのみのやくそくをおもいだしました。またおなかがすいていたのです。おおいそぎでカシのみのところへやってきました。
あれ、大きなカシの木なんてどこにもありません。
「カシのみくん、どこでカシの木になっているんだい。」リスはよびました。
「リスさんここです。」
みればなんと小さい小さいカシの木が、くさのあいだにのぞいております。
「どうしたんだい。」リスがききました。
「リスさん、すみません。わたしいっしょうけんめい大きくなろうとしたのですが、どうしてもこれだけにしかなれなかったのです。もういちど、花がさきみがなるころまで、まっててください。」
「こんどはきっとだよ。」
リスはまたやくそくして、かえっていきました。
もりに花がさきました。
花がちってみがなりました。リスはカシの木のやくそくをおもいだしました。また、おなかがすいていたのです。カシの木のところへかけていきました。ところが、おやおやだいぶん大きなカシの木がたっておりました。
「カシの木くん大きくなったね。」
リスがいいました。
「リスさんすみません、もう一どまってください。こんどはきっとです。カシのみをたくさんあげます。」
「よしよし。」
リスはかえっていきました。
それからなんねんたったでしょうか。
もりに大きなカシの木がたっていました。それにはたくさんのカシのみがなっていました。リスがなんびきとなく、えだにのぼって、そのカシのみをたべていました。たべてもたべてもたべきれません。そのリスの一ぴきが、おおいばりでこういっていました。
「このカシの木ぼくのカシの木なんだよ。」
「そうです。そうです。」
カシの木もそういっていました。