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日本むかしばなし集201

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:森の中の塔一 昔々、遠いロシヤの片いなかに、古い古い塔が一つ立っておりました。つたかずらのまきついたくずれかかった塔であ
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森の中の塔

 昔々、遠いロシヤの片いなかに、古い古い塔が一つ立っておりました。つたかずらのまきついたくずれかかった塔であります。それはミランの塔と呼ばれました。その塔のはなしを、これからいたしましょう。
さてあるところに、ひげの長い王さまがありました。その王さまはある日馬にのって、猟に出かけました。ところが、広い野原のまん中で、とても、のどがかわいてたまらなくなりました。
「わしは水がほしいぞ。」
そうまわりの家来を見まわしていいましたが、なにぶん広い広い野原のことです。ちょっと見わたしたところ、川も泉もありそうにありません。
「ハイ、私がくんでまいります。」
それでも、ひとりの家来がそういって、馬にのってかけて行きました。しかしその家来を見ておりますと、それはどこまで行っても水がないのか、それこそ野原のはてまでかけて行きます。そしてとうとう、野原のかなたに小さくなって見えなくなってしまいました。これを見ると王さまは、たまらなくなって、じぶんで馬にのると、ひとりで、家来のいったと反対のほうへ、矢のように馬を走らせて行きました。
「水、水、水。」
王さまは口のなかでいいました。ところが、どれくらい走ったかわかりません。とにかく、いつのまにか、馬は林の中をかけておりました。と、あたりがパッと明るくなったとおもうと、林の間のあき地の一つの|しばふ《ヽヽヽ》のところに、出ておりました。見れば、そのしばふのまん中に、水! 水! 石でたたんだ大きな泉があって、水があふれるようにもりあがっております。
馬からとびおりるが早いか、王さまはその泉の上にかがみこみました。かがみこんでみれば、そこに、水にうかんで一つの金のおわんがあります。しかも、水は水晶のようにすんでおります。王さまはすぐ、そのおわんに手をのばしました。
ところがこれはどうしたことでしょう。おわんはヒョイとむこうへすべって行くのです。で、こんどは、左の手をのばしました。と、またヒョイと一方へ浮いて行くのです。泉には波も立っておりません。それがまるで、生きものででもあるように、おわんは王さまの手につかまれないのです。
王さまはいらいらしました。なにぶん、もう口につばきもないほど、のどがかわいておるのです。
「ええッ。」
と、ひとりごとをいいながら、こんどは両手でそのおわんをおいかけました。が、やはりおわんは右や左に浮き沈みするのです。
「ええッ。」
と、また王さまはひとりごとをいうと、もうおわんなどすてておいて、あふれでるほど一ぱいになっている泉の上に口をつけました。そしてゴクリゴクリと、もう腹いっぱいになるほど水をのみました。そのうまさ、ちょっと息がつけないくらいでした。が、さて、たらふくのんで起きあがろうとすると、これは?
こまったことになりました。王さまの長いひげが水の中にしずんで、底の何かにからまったのでしょうか。かおをあげようとしても、どうしても、あがらないのです。じっさい、ひげが引っかかっているのです。
「チェッ。」
と、王さまは舌打ちをしました。と、その時です。水の底からおそろしい声が聞えてきました。
「ハッハハハハ、水だって、ただじゃあげられませんぞ。」
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