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日本むかしばなし集204

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:四 王さまと王妃とは御殿の高い塔の上にのぼって、王子のすがたが、かなたの野原のはてに見えなくなるまで、涙をふきふき見おく
(单词翻译:双击或拖选)


 王さまと王妃とは御殿の高い塔の上にのぼって、王子のすがたが、かなたの野原のはてに見えなくなるまで、涙をふきふき見おくりました。いいえ、王子のすがたが見えなくなっても、まだ塔のうえの窓のそばから、はなれませんでした。
やがて、日がかたむき、西の空がまっかになり、その野原のはてに日は沈みました。それでも王さまと王妃は、そこをはなれませんでした。星が出て、それから月が出ました。そうしてその月さえも、その野原のはてに、沈みました。それでも二人は、王子のかえりをまって、そこから一時もはなれようとしませんでした。
なにぶん昔の昔の、森にはまだ怪物などがおった遠い時代のことであります。ロシヤの草ふかいいなかに、そんな古い塔が、立っておりました。王子は帰ってきましたろうか。本には、まだつぎからつぎへと、いろいろのことが、書いてあります。しかし私は、そんな古い古い塔の上で、年をとった王さまと王妃が、いつまでも、王子のかえりをまっていたとしか思われません。遠くから、とんでくる雲を見ても、遠くから羽打ってくる鳥を見ても、
「もう王子はかえってくるだろう。あれから何年になるだろう。」
王さまは、そんなことを考えたにそういありません。
そのうち、塔の下にからみついてのぼっていた|つた《ヽヽ》やかずらが、だんだん上のほうにはって行き、やがて塔をスッカリおおいかくしてしまいました。
それからまた、何年か後には、塔はしだいに壁がくずれて、やがて礎《いしずえ》の石をのこして、みんな風やあらしに、たおれ落ちてしまいました。そしてまた、何年か後には、そのいたましい王と王子の話だけがのこりました。塔のあとには、野いばらの白い花が、春ごとにさいていたということであります。ついに、たれしも、王子がかえってきたかどうかを、しるものはありませんでした。
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