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「まさか」の人に起こる異常心理22

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:作為や幻聴は分裂病の症状 少年Aの場合、面接状況でも「無表情」「感情の表出なし」などの記載がある。Aの調書を見ると、彼に
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作為や幻聴は分裂病の症状

 少年Aの場合、面接状況でも「無表情」「感情の表出なし」などの記載がある。Aの調書を見ると、彼には作為現象、作為経験があるのがわかる。これは、何者かに「操られる」「させられる」という考え方だ。
また、殺人や首切断に際して「幻聴」(実際にはない声や物音が聴こえる)らしきものが存在した。この「作為」や「幻聴」は、精神分裂病に見られる重要な症状である。しかも、分裂病は思春期から発生しやすい疾患である。
精神科の専門医なら、少年Aを診て、真っ先に頭に浮かぶのは精神分裂病であろう。しかし、これを病気と断定すれば精神科病院行きという措置がとられるはずで、これでは被害者の家族や一般大衆は納得しないであろう。
ここまで書いてくると、私の頭に浮かぶのは芥川龍之介である。芥川が精神分裂病圏の人であったのは周知の事実である。彼はまさに秀才であった。
Aの国語の成績は小学校も中学校も1か2であった。だがニーチェやダンテを引用し、反抗に突き進んでいく心境をつづった文章力は、かなり高度のものだった。
Aは書く。「あたかも熟練された人形師が、音楽に合わせて人形に踊りをさせているようにおれを操る」と。作為体験を持っていたことはこの文章でも想像がつく。彼は昔から絵や工作がうまく、美術に興味を持っていた。音楽はチェコのスメタナの交響詩を好み、絵画ではダリの絵が好きだった。愛読書はヒトラーの『わが闘争』。
彼は別の道を歩めば、天才になったかもしれなかった。分裂病は知能の高い人に好発するといわれる。「天才と分裂病」は、専門家たちの間でかねてから大きなテーマであった。
話を芥川に戻すが、前に書いたように彼の思考の底辺に流れるものは分裂病的であり、分裂病によく見られる関係妄想もあった。芥川の作品中の「どこに行っても黄色いレインコートの男が立っている」「自分を見張っている」「飛行機が自宅の上でわざと大きな爆音を立てる」などの記述は、関係妄想のあらわれであろう。茅ケ崎に転地しているとき書かれた作品の中には、「犬がニヤリと笑った」などという文章も見られる。
芥川は分裂病の負因(母上が分裂病であった)を持っていたが、発病の前段階であったか、すでに発病していたかの論争は今も続いている。
少年Aも、芥川と同じような状況、つまりすでに病気だったのか、発病に至るプロセスの中にあったかどうかは、私にもわからない。しかし、鑑定書でもふれているように、精神科的処遇を施すことが必要であることは言うまでもない。
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