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「まさか」の人に起こる異常心理35

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:ある放送作家の疾病逃避 五十歳の放送作家の、こんなケースもある。彼は流行作家といってよく、次々と注文が殺到する。本人はお
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ある放送作家の疾病逃避

 五十歳の放送作家の、こんなケースもある。
彼は流行作家といってよく、次々と注文が殺到する。本人はおとなしい人柄で、注文を断りきれない。必死になって仕事をこなす。徹夜が続き、休日もなく、プライベートな時間も全くない。飛行機や列車でも原稿を書かねば間に合わない。まさにワーカホリックそのものである。
雑誌の仕事なら、まだやりようがある。理由をつけて休載も可能だからだ。「サザエさん」の長谷川町子さんは健康上の理由で、しばしば休載した。
だが放送となれば、そう簡単にはいかない。他の番組との兼ね合いもある。あらかじめ発表されることもある。ドラマの場合、多くの配役の人々の手配もある。多忙なタレントや役者の時間の調整も気の遠くなるような仕事だ。
その中心になる脚本家は、個人的な作家とはそのプレッシャーだけでも質が違う。適当に避けることができるほど単純ではない。しかも仕事が次々と押し寄せる。本人は「ノー」と言えるほど気が強くない。
ある時点で、彼はなんとなく文字がスムーズに書けないことに気づいた。終日、ほとんど休むことなしにペンを握っているのだから、当然、筋力、握力、筋肉弱化が考えられる。休養をとりたいが、例によってワーカホリックから逃れることができない。
そのうち、ペンを握る手に痛みを感じるようになった。それでも彼はペンを握る日が続いた。さらにペンを握ると、ケイレン性の硬直と耐えられないほどの疼痛が襲ってくるのだった。当然のことながら、彼は原稿用紙に文字を書くことが不可能となった。
彼がそういうせっぱ詰まった症状を持って私のところにやってきたのはその時点だった。くわしく話を聞き、性格調査、整形外科的検査をしたあげく、私の診断は「疾病への逃避」だった。むろん無意識下ではあるが、これ以上仕事を強制的に続ければ、彼は心的、肉体的に破断点に到達し、生命さえ危険にさらされるという危機を予想させる状況を、彼のレーダーが感じとっていたかもしれない。
彼の話の中に、私は入院願望を感じとった。彼の入院が間もなく放送界に知れ渡り、やがて彼の休筆宣言となった。病気ではしかたがない、遠慮しようということになり、プッツリと原稿の注文がなくなって、彼の休筆が本格化した。
入院一カ月余り、彼のケイレン性硬直はしだいに軽快していき、やがて、へたながらも、文字を書けるまでに回復し、それに伴って疼痛もしだいに軽くなっていった。
この人もやはり、きちょうめん、完全主義、一〇〇パーセントを望みやすい性格特徴を持っていた。典型的な疾病逃避だった。
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