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「まさか」の人に起こる異常心理37

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:うつに苦しんだ桂枝雀さんの自殺 一九九九年(平成十一年)三月に自殺をはかり、意識不明が続いて、同年四月に亡くなった桂枝雀
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うつに苦しんだ桂枝雀さんの自殺

 一九九九年(平成十一年)三月に自殺をはかり、意識不明が続いて、同年四月に亡くなった桂枝雀さんは、長い間、うつに苦しんだ人である。「あの明るく見える人がなぜ?」と人々はいぶかるだろうが、実は彼はヨーロッパ的な人間といっていいのだ。
六四年に亡くなったドイツ・チュービンゲン大学のクレッチマー教授は、体型と性格を疾病と関連させて体系づけたことで有名である。彼は、肥満型体型と外向性同調性を躁うつ病と結びつけた。枝雀さんはこの学説に一致するのだ。
ちなみに、私がクレッチマー教授にチュービンゲンの自宅でお目にかかったのは六三年夏のことで、その翌年に先生は亡くなった。父、茂吉が同じチュービンゲンに先生を訪問したのは二二年(大正十一年)だから、先生の声望はずいぶん早くから日本にも知られていたのである。
枝雀さんは桂米朝師匠の門下で、しゃべり方に独特の味を加味した爆笑型の、明るくて楽しい落語家として人気者となり、趣味を生かして英語落語を「開発」した。八七年から約十年、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど、海外でも公演している。しかし、九七年ごろから躁うつ状態に陥り、入退院を繰り返していた、という。
私は枝雀さんの病気を診たことはないから、はっきりしたことは言えないが、新聞報道が正しければ、氏の病気はたぶん躁うつ病であろう。
ご存じのように、躁うつ病とは感情の高揚による躁状態と、それとは反対の抑うつ状態が交互に来る感情の病気である。英語による落語などというとてつもない発想は、おそらく躁状態のなせるわざであろう。その過度の活動が反動的に抑うつ状況に転換したときにうつが来て、そのうつがやや軽くなったときに、絶望感による自殺企図をはかることがままあるのである。
躁うつ状態が枝雀さんのような有名人にも発生しうる、つまり、こういう病気はだれにでも起こりうるのである。けっして人ごとではなく、どんな人でもかかりうる病気であることを強調したいがために、ここに枝雀さんに登場してもらったというわけだ。
何年か前に京都の高僧が自殺した。悟りを開き、物事を達観したであろうかただが、希死欲求には勝てなかったのであろう。この大僧侶も私が直接問診したことはないからなんとも言えないが、たぶんうつ状態であったと想像される。
アメリカで開かれた「二〇〇〇年世界医療会議」の席上で、「うつ病が世界のかかえる病気による重荷の上位の座にある」という研究が報告されている。これは世界的な傾向であろう。
この病気はいまや、日本で三五〇万人に達しているという。アメリカは八〇〇万人といわれる。かぜひきや糖尿病のごとく、だれでもかかりうる病気になったのだ。
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