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「まさか」の人に起こる異常心理51

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:妄想型「結婚願望」の女性たち 今は亡き遠藤周作氏から電話がかかってきたことがある。「女の子がうちの庭にすわり込んで、どう
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妄想型「結婚願望」の女性たち

 今は亡き遠藤周作氏から電話がかかってきたことがある。
「女の子がうちの庭にすわり込んで、どうしても動かない。もう二十四時間もすわり込んで、いくら説得しても言うことを聞かない。なんとかしてくれませんか」
あるとき、弟の北杜夫からも同じように電話がかかった。
「庭に女性がすわり込んでどうしても動かない。のどが渇いたろうと、家内がお茶など運んでいる。助けてくれえー」
精神科医のうちのせがれの家に大きな荷物が送り届けられた。あけてみると、真新しい布団が出てきた。そんなものをもらういわれはないから送り返した。間もなくまた布団が届いた。また送り返す。また届く。もはやお手上げである。
いずれも「結婚願望」である。相手は、遠藤さんにも北にもれっきとした配偶者がいることは知っているに違いない。しかし、自分の世界だけに閉じこもって、客観的に物事を考えられない、いずれも精神分裂病の妄想型である。
私は一九四三年(昭和十八年)、結婚前夜に大量のラブレターを焼いた。相手は躁状態の女性だった。
戦後、私は三十代の女性に追いかけられた。こまかい経緯は省略するが、「新宿のE喫茶店でお待ちしています。奥から二番目のテーブルに来てください」という手紙が来る。むろん何回来ても、私がのこのこそこへ出かけるわけにはいかない。ついに最後通牒的な手紙がきた。「私が嫌いなのですか。よくも私をだましたわね。あなたの家に火をつけてやる。子どもも殺してやる」
また、ある日、一人の女性が私の病院の外来に来た。年齢は四十がらみでやせぎすの、顔色の悪い、皮膚につやのない、女を感じさせない、女史といったタイプの女性である。
「私は今、周囲の者から精神病者扱いされている。精神病ではないという証明をいただきたい」と言った。
「私は小説の道で一生を貫きたい。小説を書くために、夫と離婚しなければならない。離婚するためには、私が精神病であってはならない」とも言う。そのへんの理屈がわからなくて、「もう少しくわしく事情を聞きたい」と言うと、彼女は突然、涙を流し、かん高い声を発し始めた。私は妄想の存在を感じた。
何日かののち、彼女は前回と全く同じ要求と、今度は自分の短編ののっている同人雑誌を持参した。少なくとも文章のうえでは「異常」は認められないようだった。
それからしばらくたって、彼女から電話がかかり、「おりいってご相談したいことがあります。でも、そちらへお伺いする電車賃がないから、なんとかしていただきたい」ということだった。看護婦が取り次いだが、あたかも私が迎えに行くことを期待しているような口ぶりであったそうである。
丹羽文雄氏の小説『女は恐い』は、妄想を持つ小説家志願の女性にとりつかれ追い回されるという筋書きである。『女は恐い』の主人公の場合、彼女のいだく夢が、しだいに現実と錯綜して、ついに系統的な妄想が完成したのだ。私の彼女の場合も被害妄想が中心だが、最後のころは恋愛感情の芽生えを感じとった。私の経験が、『女は恐い』の筋書きとあまりにも酷似しているので、ひょっとしたら同じモデルかもしれないと思い、忘れられないケースとなった。
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