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「まさか」の人に起こる異常心理52

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:茂吉を結婚不履行で訴えた女性 父、茂吉の晩年にこんな受難劇があったから書き留めておきたい。ある料亭の仲居さんをやっていた
(单词翻译:双击或拖选)
茂吉を結婚不履行で訴えた女性

 父、茂吉の晩年にこんな受難劇があったから書き留めておきたい。
ある料亭の仲居さんをやっていたKさんは短歌もやっていて、父が結婚してくれるという妄想をいだいたが、父がなかなか実行に移さないので、とうとう裁判所へ契約不履行の訴えを起こした。それで父は何回も裁判所へ呼び出され、大いに迷惑したそうである。
Kさんからはその後、しばしば手紙が舞い込んだが、父はそれを私に「精神医学の参考にしろ」と言って、回してくれたので、私はそれらの手紙を読むことができた。戦争がはげしくなったころのことである。手紙は葉書、封書と色とりどりだが、たいていは鉛筆の走り書きで、なかなかの達筆ではあったが、どことなく病的なニュアンスが感じられた。
「責任をどうしてくれるのですか、いつまでほうっておくのですか。早く迎えに来てください。体が疲れてたまりません。お金もなくなるし、なぜ助けにも来ないでいつまでも働かせるのですか」といった抽象的なものから、「裏木戸をあけておきますから、一時から三時までの間に来てください。もう夏になったのに何をぐずぐずしているのですか。単衣とたびを届けてください」などという具体的な要求に至るまで、入れかわり立ちかわり届けられた。
一九四四年ごろ、彼女はとうとう南青山の自宅にやってきて顔を見せた。玄関の前にひっそりと立っていて、ちょうど客を送って玄関に出てきた父とばったり出会ったのであった。興奮した父は「何しに来た、帰れ帰れ」とかなり大きな声で言い、さっさと奥へ引っ込んだそうである。彼女は案外すなおに「はい」と答え、そのまま帰っていったそうである。
父とともに玄関に出ていた家内の記憶によれば、彼女は髪をキリリと引っつめ、黒っぽい着物を着て、モンペばかりの時勢には不似合いなほど、たびの白さが目立ったということだ。水商売の風情であったという。私は応召していて家にいなかった。
四五年の春まだき、父は空襲を避け、山形へ疎開した。その直後に彼女はまた姿を見せた。このときは母が応対に出て、父が東京をあとにしたことを告げると、「ああ、そうですか」とあっさり帰っていったという。母は黒の光る生地のドレスを着ていた。
ところが、たちどころに彼女の手紙が舞い込んだ。それには「先生、居留守を使うとはなんですか。黒い魔法使いのオバアさんに応対させるなんてあんまりひどいではありませんか」と詰問風の文章が書かれていた。
五月の空襲でわが家が焼け、戦争が終わり、私が復員し、西荻窪、世田谷の代田と居を移し、新宿の大京町に落ち着くころになっても、彼女の手紙はしばしばわれわれのあとを追ってきた。
そうして長い間、何年も続いたKさんの手紙も五三年一月二十日付のもので、ついにピリオドを打つことになった。それから間もなく父が死んだからである。
その最後の手紙は「昨年四月に上野まで出てこいというお電話をいただきましたのに、失礼申し上げました」という書き出しで始まっている。昨年というと五二年のことで、そのころ、父はひどく弱っていて、みずから電話をかけるなどということはできなかったはずである。
そうして手紙は、どこそこの家を売って、ここのアパートに部屋を借りたなどと自分の近況に及び、「目下肺炎が悪く、せきがひどくて夜も寝られず、寝汗をかき、食欲もなく、昼間は休日以外は私一人だけです。建物に沿って裏へ回ると、裏梯子のついた窓が二つある二室がそうです。物干しのある日当たりのいい室をあけておきます」と道順をくわしく書き、暗にその時間の来訪を待つ口ぶりである。
最後に「いよいよSOSまでまいりました」と結んであった。
父が死んで初七日の晩、きちんと喪服を着て、白い花束を持った婦人があらわれた。そうして静かに焼香をして逃げるように帰っていった。そのあまりの静かさが見る人に異様な感じを与えた。お手伝いが名前を聞いたら、「申し上げるほどの者ではございません」と言ったそうである。その後ろ姿を見た家内は、「Kさんに違いない」と言った。
それから長い年月がたったが、彼女のその後の消息は杳《よう》としてわからない。
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