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無花果少年と瓜売小僧01

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  1 男の子と女の子は、一体どちらが大変なんでしょう? どちらも多分おんなじように大変なんでしょう。でも、こんなことは
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 男の子と女の子は、一体どちらが大変なんでしょう? どちらも多分おんなじように大変なんでしょう。でも、こんなことは言えるかもしれません。女の子は努力すればいいけれども、男の子は努力なんかしたってダメなんだって。
今の世の中、男の子はどう努力したらいいのか分らないんです。
磯村くんは多分、そんなことを考えていました。考えていたんだと思いますよ。どうしたらいいのか分らないまんま努力なんかしたって、なんの意味もないんだって。
磯村くんはそんなことを考えていたんだけれども、でも、そんなこと考えたってなんにもならないしなァ……と思っていたのでした。
という訳で、磯村くんはものを考えるのをやめてしまいました。
今の世の中、誰も他人の生き方なんかに関心を持ってはくれません。誰にも注目されないでこっそりと生きて行くことなんて、つらいことです。そんな風に思ってもいい年頃が、磯村くんの年頃でした。
誰かに分ってもらいたいことだけは確かだけれども、誰に何を分ってもらいたいのかはさっぱり分らない……。
磯村くんは何も考えないで、そんなことを分ってくれる人がやって来るのだけを待っていたのかもしれません。
だから、なんにも考えないで生きて行ってしまう時間というのは、一番哀しい時間なのかもしれません。人は、自分がそんな風にして黙って人生を生きているんだなんてことを、なかなか考えつきはしませんからね。
という訳で、木川田くんだって、なんにも考えてなんかいなかったのです。
お互い向き合って生きていながら、でも実際はお互いに向き合っている他人のことなんて少しも考えられないということだって、ホントはざらにあることなんですね。人間、やっぱり自分のことを中心にして考えてしまうし、そんなわがままはなかなか許してもらえないことぐらい知っているし、って。
だからそれを�わがまま�だって言うのは、ホントはつらいことなんですね。
ひょっとしたら木川田くんは、ズーッとものなんか考えてなかったのかもしれません。絶対にどうにもなりっこないことをいつまでも考え続けているほど、人間はバカじゃありませんから。やっぱり、誰だって、意味もなくすさんでなんか行きたくないし。それだったらいっそ、見るかいのない夢だけ見ていればいいし、って。
人間誰だって、自分が見えなくなっちゃう時ってあるんですよね。男の子だって、女の子だって。でも、男の子の場合可哀想なのは、「そんなのは一時の迷いだ」って、すぐ人から言われちゃうことなんですね。人が言わなかったら自分で言うし。
�誇り�って、なんとなく哀しいものなんですね。
自分が見えなくなっちゃってるのに、そんなこと重々知りながら「そんなことない!」「そんなこと大したことじゃない!」って自分に言い聞かせちゃう。見えないまんま人生を始めちゃって、でもそれを始めながら、「見えてない自分がそれを始めてる訳なんかないじゃないか」、そういつもどこかで思っている——。
という訳で、二人の主人公は、なんにもものを考えてはくれないのでした。
所は遠く都心を離れた川のほとりで、季節は春なんかまだ当分やって来そうもない冬の間で。だから、二人でなんにも考えないでいても、それはそれで十分にやっていけることではあったんですけれどもね。
 間柄が寒いってことになかなか気がつけない人間だっているんです。外は寒いし、自分が寒がりだってことに気がついちゃうことだってあるし。
ストーブを焚いていれば、暖かくなるのは閉め切った部屋の中だけですけれどもね。
という訳で、二人の主人公が主役《かたりて》を降りちゃったので、この小説は突然、三人称で語られることになったんです。人生を始めちゃったら、誰だって小説の主人公をやってるような余裕っていうものはなくなっちゃうのかもしれませんけどもね。
「困ったもんだ」って、この小説の作者が言ったのかどうかはよく分りません(分らないんです)。でも、それよりも確かなのは、「いいよ、俺がやってやるサ」って、この小説の作者《かみさま》が言ったんだということでしょう。
言ったんですよ。「若いんだからしょうがないや」って。
 もしも、この世の中に本当のやさしさというものがあるのなら、そしてそれを感じることが出来るなら、「絶対に僕だってまだまだ頑張ることが出来るんだ」って、そんなことを言わせたがってる人間だっているんです。そんなことが重要なことなんだって、自分の人生に忙しい主人公達が気がつくのは、まだまだ先のことなのかもしれません、けどね。
ともかく、わたくしは話を始めなくちゃならないんです。
(そうか、伏線というのもいるな——)
 大丈夫さ、多分。君が人生の主役なんだもの。
 そんな�伏線�だってあるのかもしれません。
 人生なんて色々です。だから、物語だって色々にあったっていいんです。面倒臭いから、始めちゃいましょ。ホラ——
(始まりです)
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