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無花果少年と瓜売小僧11

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  11 磯村くんが自分の人生の第一幕が終ったなと思ったのは、お兄さんの運転する車に乗って、お母さんと高幡不動の不動産屋さ
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 磯村くんが自分の人生の第一幕が終ったなと思ったのは、お兄さんの運転する車に乗って、お母さんと高幡不動の不動産屋さんに改めて行った時です。
 甲州街道を通って多摩川を渡った時、車の中の三人は「ホントに遠いんだ」ということを実感しました。
折角の日曜日をつぶされて運転手をさせられているお兄さんは初めっから「遠いなァ」と思っていましたが、お母さんは、甲州街道が本当に�街道�という正体を現わして来て、ホントに武蔵野で、�東京じゃないとこ�にある多摩川なんてものを見てしまった時、「よくもまァこんなとこに毎日通って来てたもんだ」とそう思って、そう口に出してしまいました。
「よくもまァあなた、こんなとこに毎日通って来られてたわねェ」
「まだ先だよ」
お母さんの声にお兄さんはうんざりしたような表現を付け加えました。
「だから言ったじゃない」
そう言う磯村くんの口調には、最早《もはや》勝誇ったようなトーンはありませんでした。
「そうねェ……」と言って、「なんだって自分の息子をこんなウラ寂しいところにある大学に入れちゃったんだろ」と、自分の至らなさを反省しているお母さんの表情とおんなじような表情を浮べて、磯村くんは、ホントにもうウラ寂しいだけの冬枯れの多摩川の川原を眺めていました。
「もう引き返せないしなァ……」そのことだけは確実になっていたのです。
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