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無花果少年と瓜売小僧12

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  12 磯村くんは、木川田くんに電話をしました。それは、おばさんの家から帰って来て、お父さんやお母さんが「いいよ」という
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 磯村くんは、木川田くんに電話をしました。それは、おばさんの家から帰って来て、お父さんやお母さんが「いいよ」というのを確認してからのことでした。
「いいよ」とは言ったものの、しかし今イチ「ホントに大丈夫かなァ」という訳の分らない危惧《きぐ》のあったお父さんやお母さんは「やったね!」と言って、まるでおもちゃを買ってもらった子供のようにはしゃいでいる磯村くんを見て、「あ、こりゃ色事《いろごと》にはまだ早い」と思って、ヘンな安心をしました。結局、独立騒ぎの真相は�訳の分らない子の気まぐれ�というところに落着けたからです。磯村くんは、どう見たってガールフレンドに電話しているようではなかったからです。
「あのサァ、僕今度、一人暮しすることになったんだよね」
電話口の向うの木川田くんに、磯村くんは言いました。
「カッコイイ!」
木川田くんは言いました。
「うん、まァね。だからサ——」
そう言いかけて照れた磯村くんに、木川田くんは言いました。
「どこだよ?」
「え?」
磯村くんは言いました。
「どこに住むの?」
木川田くんは、少しやさしく言い直しました。
「高幡不動」
磯村くんはそのやさしさにつられて、素直にそう言ってしまいました。
「えーッ!!」
木川田くんは、受話器の向うで素《す》ッ頓狂《とんきよう》な声を上げました。
「うん。まだ決まった訳じゃないんだけどね、大学に一番近いでしょ」
磯村くんは、なんだか知らないけど、木川田くんのトーンにオタオタして、なんか間違いをしでかしたんだと思ってイジイジ説明をしました。
判定はこうです。
「だっせェーッ!!」
 木川田くんは言いました。
磯村くんは、確か木川田くんにもう少しなんか別のことを言いたかった筈なのに、でも、そのことを全部忘れてしまいました。
「なんでそんなとこに住むの?」
�住むの�と�すんの�の中間みたいな言い方で、木川田くんは言いました。明らかにそれは、�いたわってる�とか�心配してる�とか、そういうトーンでした。
「だってサァ、学校、京王線だしサァ」
「だったら下北沢《シモキタ》とか、もっとそういうとこがあるじゃん」
「あるけどサァ」
「お前って、ホント、そういう趣味な」
磯村くんは、自分がどういう�趣味�なのかは全く分りませんでしたが、でも、自分がとんでもない内出血を起こすような殴られ方をしたのだということだけは分りました。
「�そういう趣味�ってどういう趣味なんだろ?」「僕が高幡不動に住むっていうことが�そういう趣味�の一つになるらしいってことは分るんだけど、でも、そのことと他の何が結びついて�そういう趣味�っていうような烙印《らくいん》を押されるんだろ?」「押されたんだろう?」
磯村くんはそう考えて、なんだか分らない不安に襲われました。
自分が木川田くんのことを「こうこうこういう人間なんだ」って考えてる一方で、木川田くんの方でも、磯村くんに対する�独自の調査�というようなものを進めていて、今日その結果が「ダサイ」というハンコ付きで送られて来たような、そんな衝撃でした。
「木川田にとって、僕ってそんな程度の人間だったのか……」って、足許の床が砂地獄みたいに落ちこんで行く、そんな衝撃でした。
それは、一生懸命若々しく装って行ったのに、でもなんかの拍子に話が�年齢�の方に行っちゃう時の、おばさんが七つ歳下の男性とのデートの時に味わうような、そんな衝撃に似ていました。
おばさんと磯村くんの話が合うのも道理と言ったら、きっと怒られるでしょう。
磯村くんはもう、決定的に正気に戻っていました。戻りすぎて、索漠《さくばく》たる孤独の中にいたと言っても間違いはないのですけれども、磯村くんはまだ、そういう状態を�孤独�と呼ぶのだとは知らなかったのです。
「だからサ、よかったら、遊びに来て……」
磯村くんは言いました。
「うん、分った」
木川田くんの�うん�は、まるで何かを食べながら言っているような、�あん�に近い�うん�でした。
「まだどこにするか決まってないんだけどサ……」
そう言いながら磯村くんは、「絶対自分は�ねェ、一緒に住まない?�って言いたくて、それで木川田に電話した訳じゃないんだ」って、繰り返し繰り返し、胸の中で強調していました。
「絶対に一人で、僕は強く生きなくっちゃいけないんだ」って、磯村くんが最初に思ったのはその時でした。
 まるで地面の上に書いてある白いコースラインを目で追いながらトコトコと歩いて行く養老院の障害物競走のおじいさんのように、口ごもりながら正確に自分の言葉を拾い集めて話していた磯村くんは、「だからサ、よかったら、遊びに来て……」そしてその|……《テンテンテン》の先に「僕、寂しいから」という言葉があるのを見つけて、ブルブルブルッと、首を振ったのでした。
 オアシスの蜃気楼を見る砂漠の旅人は、勿論、喉が乾いているのです。
�寂しい�という言葉が忍び寄って来る時、人は初めて大人になるのです。
そして、そんなことを教えてくれる�大人�というものはいないものだから、�寂しさ�に近づかれた子供は、それとは違う方向に足を踏み出して行くのです。
人の距離というものは、こうやって拡がって行くのでした。
 木川田くんは、まだ具体的に部屋を見つけにかかっていない磯村くんに、「カッコいい部屋探せよ」と言って励ましてくれました。磯村くんは、それを聞いて、「ああ、木川田だって、やっぱり�遊びになんか行きたくない……�って言ってる訳じゃないんだ」と思ったので素直に「うん」という返事をしましたが、しかしこの時磯村くんは、「僕が一人で部屋を借りたからって、木川田くんが真っ先に来てくれるっていう訳じゃないんだよね」という、そういう確認だけはしていたのです(胸の中で、こっそりと)。
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