日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

無花果少年と瓜売小僧16

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  16「ねェ、お風呂入る?」磯村くんがそう言ったのは、二人で駅前まで晩御飯を食べに行って帰って来た後でした。「うん」木川
(单词翻译:双击或拖选)
 
  16
「ねェ、お風呂入る?」
磯村くんがそう言ったのは、二人で駅前まで晩御飯を食べに行って帰って来た後でした。
「うん」
木川田くんは言いました。
「じゃァ水入れるね」
「うん」
磯村くんはお風呂場に入って行きました。
「あのサァ、磯村さァ」
「うん?」
磯村くんはお風呂場の中から答えました。
「なんでお前、一人で住もうと思ったの?」
そういう木川田くんの�お前�は、心なしかいつもよりも少し柔らかいトーンでした。
「なんでって——」
お風呂場の中で、ポリエチレンの洗面器とポリバスがぶつかる音がして、�ザーッ�という水の音が始まりました。
「なんでって、メンドくさくなっちゃってサ」
お風呂場から出て来た磯村くんは、手をタオルで拭きながらそう言いました。
「なにが?」
木川田くんはそう言いました。
「なにがって言うかサァ……、なんていうのかなァ……。あ、ちょっと待ってね」
何か言いかけた磯村くんは、そのまんまトイレの中に入りました。
小さな水音は大きな水音に消されて聞こえません。
木川田くんのいる前で、黒い受話器が�リーン�と鳴りました。
「磯村ァ!」
「うーん」
トイレの中で磯村くんが答えました。
「磯村、電話」
「分ってる」
「うん」
そう言って木川田くんは流しの方に歩いて行きました。
電話は鳴り続けて、磯村くんがあわてて出て来ました。
流しに置いてある小さなお皿を取って、木川田くんは「これ灰皿に使っていい?」と言いました。
「うん?」と振り返った磯村くんは、「いいよ」と言って電話に取り付きました。
「もしもし。はい。あ、僕。うん。うん。あ、そう。うん。さっき友達と飯食ってた。うん。うん。あ、そう」
木川田くんは灰皿を手に持ったまま煙草に火を点《つ》けて、磯村くんがトイレの戸を�バン!�と閉めた拍子に開いてしまった、お風呂場のドアの中を覗《のぞ》いていました。
お風呂の水はまだ入ったばかりで、なかなか一杯にはなりそうにもありませんでした。
「まだなかなかだな」と思った木川田くんは、でもそれでもしばらくは、お風呂の水の見張りをしていました。
「うん、うん」
磯村くんは木川田くんの方を見てうなずいてばかりいます。
「まだなかなかだな」と思った木川田くんは、灰皿を持ったままお風呂場のドアを閉めました。
「うん、分ったけど、お母さん心配しすぎだよ」
磯村くんは、木川田くんに電話の相手が誰だか分らせる為に、態々《わざわざ》相手の�名前�を呼びました。
木川田くんは笑ってうなずいて、磯村くんは左手で受話器の方を指して「うん」と、木川田くんの方にうなずきました。
「大丈夫だって。うん。足りてる。だ・い・じょお・ぶ。うん。そうだって、うるさいなァ。平気だよ、平気。うん。あ、今友達来てんだ。うん、男。ホラ、木川田って、知ってるでしょ。何言ってんだよ、そんなことしてないって。あ、そうだ」
磯村くんは言いました、勿論受話器に向ってです。
「あのサ、ほら、台所にあったテレビサ、あれもらっていい? うん、やっぱりなんか、テレビってあった方がいいみたいだけど、使う? うん。だからァ、分ったけどォ——」
磯村くんは、お母さんが「寂しかったらアレだから、テレビでも持ってったら」というのを無視して——ともかく何を持って行ったらいいのか分らないでいるところにこれ以上家具が増えたらゴタゴタの混乱が増すだけだと思っていたからですが——引っ越して来たけれども、でも友達が来た時なんかテレビがあった方が手持無沙汰じゃないなと思ってそう言ったのです。
「磯村ァ、テレビいるの?」
木川田くんが立ったまま言いました。
「うん? ——あ、ちょっと待って」
受話器を手でふさいで磯村くんが言いました。
「なァに?」
「うん? テレビほしいんなら俺が持って来てやるよ」
「ホント?」
「ウン。中古だけど二万で買わねェかっていうの、俺の友達が。まだ見てないんだけど、二万じゃなくて一万だったら買ってもいいとかって言ったんだけど、まだ新品だっていうんだよな」
「どうしてそんなの売んの?」
「知らねェ。金がいんだって」
「フーン」
「どうする?」
「�どうする�って?」
「お前がいるっていうんだったら持って来てやってもいいけど」
「うん」
「あ、別に、あるんだったらいいけどサ」
「うん。あ、ちょっと待って」
そうして磯村くんは、受話器に向って話かけました。
「もしもしィ。うん。今さァ、友達が。うん。木川田が来ててサァ、テレビいるんだったら安く手に入るって。うん。うん? うん。だから。うん。うん。でもいいよ。あればいいんでしょ? うん。どうせ家帰った時また見るから。うん。うん。いいんだってェ! うん。ほしいの! いいの! 自分で買うってェ。そんくらいあるよォ。ある! 分ったよ、うるさいなァ。大丈夫だってばァ。うん。日曜日帰るからァ。うん。土曜日帰るよ。分った! 帰るから! ああ、じゃァね。お父さんや兄さんによろしくね。うん。元気だってェ。はい!」
「ホントにまいっちゃうね」
受話器を置いた磯村くんはそう言いました。
「ふん」
木川田くんもそううなずきました。
うなずいてこう言いました。「でもサ、心配なんじゃないの、やっぱり」
「そうなのかなァ」
磯村くんは言いました。
「そうなんだよ、きっと」
「そうなんだろうね」
「うん」
「お風呂の方、どうなってるかな?」
磯村くんは言いました。
「まだ大丈夫じゃないの」
木川田くんは言いました。
「ちょっと見て来るね」
「うん」
磯村くんは立って行きました。
「俺のことどう思ってるのかなァ、家の人」
お風呂場のドアを開けかけた磯村くんに、木川田くんは言いました。
「�どう�って?」
ドアを開けかけて、磯村くんは振り返りました。
「別に……。どうってこともないんだけど」
木川田くんは、小さいお皿に煙草を押しつけて火を消しました。
「僕、木川田のこと好きだよ」
「うん」
磯村くんに言われて、木川田くんはそれだけ言いました。
「あ、もう大丈夫だ」
お風呂場の中から磯村くんが声をかけました。
「もう火ィ点《つ》けちゃうね。足りなかったら後で足せばいいでしょ、水」
顔だけを出して、磯村くんはそう言いました。
「うん」
そう答えて、木川田くんは電話機に手をかけました。
「ちょっと電話借りるね」
「うん」
黙って相手が出るのを待っている木川田くんに、お風呂場から出て来た磯村くんは「ゼロサン回した?」と訊きました。
「うん。あ、お母さん。俺。今日友達家《ち》泊まるから。うん。普通の友達。なんでもないから。うん。じゃァ」
木川田くんは、目だけで磯村くんに答えて、お母さんに電話をしました。
磯村くんが「そうかな?」と思っていた�テレビの友達�は、その次の電話でした。
「悪いけど磯村、もう一回電話貸して?」
「うん」
 木川田くんにそう答えた時、磯村くんは、とってもとっても木川田くんのことが好きな自分に気がついたのです。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%