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無花果少年と瓜売小僧17

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  17 磯村くんがお風呂から出て来た時、木川田くんはお布団の中で煙草を吸っていました。枕許のラジオの中では所ジョージが「
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  17
 磯村くんがお風呂から出て来た時、木川田くんはお布団の中で煙草を吸っていました。枕許のラジオの中では所ジョージが「ばほばほ!」と言っています。
部屋の中にはストーブが点いていて、お風呂から出て来たばかりの磯村くんには暑いぐらいでしたが、でも、トランクスとTシャツだけの木川田くんはお布団の中にスッポリと納まっていました。友達に裸の姿を見られるのを恥かしがった木川田くんは、お風呂に入る入り際、「布団ひいとけよ、磯村」と言って、出て来てそのまま、お布団の中に入ってしまったのです。
「あー、暑い」と言って頭をタオルで拭いている磯村くんに向って、「少し開けようか?」と木川田くんは言いました。
「うん、少し開けて」
磯村くんにそう言われて、木川田くんはズリズリズリと、腹這ったまんま、庭のガラス戸を開けに行きました。
「よいしょ」と言う木川田くんの指先に、ガラスの表面のしずくが伝わって、冬なんだなァということがよく分りました。
「木川田ァ、牛乳飲むゥ?」
裸のまんま磯村くんは、冷蔵庫の戸を開けて言いました。
「うん。いい」
木川田くんは畳に顎を乗せて、外を覗《のぞ》いたまんま言いました。
「何見てんの?」
ブリーフ一つの磯村くんは、首にタオルを巻いたまんま、牛乳の入ったグラスを持って窓の方にやって来ました。
「別に」
腹這ったまんま木川田くんは、ペタンと鼻を畳にくっつけて、「やっぱ寒いや」と言いました。
「寒い?」
「うん、別に」
布団の中で木川田くんは、うつ伏せのまんま言いました。一つしかない枕は木川田くんの横で、白い枕カバーを涼しげに光らせていました。
ガラス戸を開けて、外を覗きこんで、「やっぱり寒いや」と言って、磯村くんは又元のようにガラス戸を閉めました。アルミサッシの引き戸は、ゴロッと、重くて滑らかな音を立てました。
「一応鍵かけとこ」
磯村くんはカーテンの隙間から手を突っ込んで、サッシのロックを降しました。
「あーあ、俺も一人暮しがしてェなァ」
磯村くんが牛乳をゴク、ゴクと飲む間に、木川田くんはそう言いました。
「うん。すればいいのに」
言ってから磯村くんは、「少し残酷な言い方だったかなァ」と思いました。でも、「一緒に住もうよっていう気分でもないし」とか、そう思いました。
もう一遍頭をゴシゴシと拭いて、木川田くんが使いっ放しにしてあるドライヤーのスイッチを入れて、そしてそれを止めて、磯村くんは、裸の上にTシャツだけを一枚着ました。
「ここ、三万五千円だっけ?」
木川田くんが言いました。
「うん」
ドライヤーのスイッチを又つけた磯村くんの声は、少し聞き取りにくかったのかもしれません。磯村くんは、「やっぱ、自分て、わがままで、恵まれてんのかなァ……」とか思いました。そういう風にはあんまり自分のことを思わなかった磯村くんなのですけれども。
「なんとかなるかなァ、三万五千円なら」
ドライヤーの音でよく聞き取れなかった磯村くんは、「なァにィ?」と聞き返しました。
「三万五千ならなんとかなるかなって言ったの!」
ガバッと上体を跳ね起こして、木川田くんは笑いながら言いました。
「ああ」
磯村くんの発言はそれだけです。
「でも高幡不動じゃなァ」
木川田くんはもう一遍布団の中にもぐり込んで、磯村くんの枕の下に話しかけました。
「なんか言った?」
「別に」
磯村くんと木川田くんは、まだ行くところまで行っているという、関係ではなかったのです。
「やっぱ、テレビがないと、退屈だねェ」
枕をはずして、腰から下だけを掛布団の下に突っこんだ磯村くんは、両手を後に突いたまんまそう言いました。
「うん」
押入れからパジャマを出して来たけど、「やっぱメンドくさいや」と言って着なかった磯村くんは、さすがに、Tシャツとブリーフだけじゃ心細くなって来た自分に気がついたのです。
「さっきの話さァ」
磯村くんが言いました。
「なァにィ?」
木川田くんが、甘えたような声を出しました。
「うん? テレビ」
磯村くんが上ずったような声で言いました。
「ああ、アレ。痛テ」
寝返りを打つ拍子に、磯村くんの膝頭に頭をぶつけた木川田くんは言いました。
「もう少しそっち行って」
「うん」
磯村くんが三センチぐらい離れると、木川田くんは肘枕で横向きになって磯村くんに言いました。
「高い?」
「何が?」
「値段」
「ああ」
「高いっていうんならカッパラって来てもいいよ」
「またァ」
「あいつ金持だからいいんだよ、そんくらい」
「知ってるヤツなの?」
「うん。医学部だもん」
「医学部かァ。だったらかっぱらって来ても平気だよね」
「お前もすごいこと言うなァ」
「どうしてェ?」
「別にィ」
「ねェ、木川田サァ、そいつと、どういう関係?」
「�どういう�ってェ?」
磯村くんの声がちょっと干からびてるのと反対に、木川田くんの声はちょっと、甘ったれたみたいな感じでした。
「だからサァ——」
磯村くんは、訳の分らないことを言いました。
「別に、そんな関係じゃねェよォ」
でも木川田くんには訳が分っているようでした。
「だったらいいんだけど」
「うん」
「でも、あんまり、なんか、�そういう人�と、付き合わない方がいいんじゃないの」
磯村くんは、体にかかった掛布団の、襟の、ちょっと先の方を見ていました。
「うん」——木川田くんは、ほとんど、�分ってるよ�とおんなじ意味のことを言いました。
「だったらいいんだけど」
磯村くんは、自分の言ってることがあんまりお説教じみない方がいいなと思いましたけどでもそれと同時に、やっぱり自分の言ってることがお説教程度に取られてる方がいいなァとも思いました。
「俺、別にそんな風になんかしてないよ、あんまり」
磯村くんの方を向いていた木川田くんは、頭を支えていた腕をはずすと、クルッと振り返って、磯村くんのいない方の壁に向き直りました。
向き直って、「あんまり」と言う時、宙に迷っていた頭を、磯村くんの腰のところに落ち着けました。
磯村くんが黙っているもんだから、木川田くんは、「枕!」と言いました。
言われて磯村くんは、木川田くんの方にすり寄って、自分の太腿の上にかかっている掛布団を木川田くんの枕がわりにあてがいました。
そのまんま木川田くんは黙っていて、磯村くんの右の太腿が少しだけ、掛布団からはみ出していました。
「さっき言ったことだけどサァ」
木川田くんが黙っているものだから、磯村くんが口を開きました。
「なァにィ?」
何もなかったように木川田くんが答えました。
「うん? さっきサァ、�どうして一人で住もうと思ったの?�って、きみが言ったじゃない?」
「俺がいるからだろォ」
咄嗟《とつさ》に、磯村くんの言ったことに木川田くんが答えました。
「まァ、それもあるのかもしれないけどォ」
磯村くんは、何かに口ごもったのかもしれないけど、でも自分ではわりと正直に答えられたなと思うように言いました。
「冗談だよ」
別に、冷やかすようでもなく、木川田くんは言いました。
「冗談なの?」
磯村くんは訊きました。
「俺、別に、お前のことそんな風に好きじゃないもん」
 掛布団越しに磯村くんの脚に触れていた木川田くんの頭は、その言葉につれてズズッとずれて、木川田くんは、一人で布団の隅にうずくまってしまいました。
ラジオの中の西山浩司と見栄晴だけが喋っている部屋の中でした。
「電気、消そうか?」
「うん」
電気の方を消さずにラジオの方のスイッチを消した磯村くんは、そのまんま布団の中にもぐりこもうとして、「もう寝る?」と、木川田くんに訊きました。
 木川田くんが「うん」と言ったので、磯村くんは起き上って、電気のスイッチに手を伸ばそうとして、「ああ、そうだ」と思って、ガスのストーブを消しに立って行きました。
ドアの鍵をかけてストーブの火を消して、電灯のスイッチに手をかけようとすると、目の下の布団の中で木川田くんがうずくまっているので、磯村くんは、「なんか自分がおじさんになったみたいでいやだな」と思いました。
思いましたけど、「しょうがないな」と思って、すぐ灯りを消しました。
寒くならないようにそっと布団をめくって、横になった磯村くんは、「おいでよ」と言いました。
「うん」
 磯村くんの腕を枕がわりにして、木川田くんは磯村くんの肩に顔を寄せました。
「枕、いらないね……」
一遍あてかけた枕をはずして、磯村くんは木川田くんの頭に顔を寄せました。木川田くんの頭からは、自分が使ったのと同じシャンプーが、ちょっとだけ違う風な感じで、匂いました。
「ごめんね」
木川田くんが言いました。
「別に俺、お前にそんな風にしてもらわなくてもいい」
「うん。でもいいよ」
木川田くんの言葉に磯村くんは答えました。
「うん、でも俺、磯村のこと、そんな風に好きじゃないもん」
「うん。いいってサ」
「うん。でも、俺ン中で、磯村って、別なんだ」
木川田くんは体を動かして、布団の中で二人は、一緒になって、天井を向きました。
「やっぱり、枕、いるかな……」
磯村くんが言いました。
「いる?」
木川田くんに、磯村くんは訊きました。
「うん? いい」
木川田くんは言いました。
暗い中で磯村くんは、「やっぱり枕がないと寝にくいなァ」と思いました。
「木川田、寒くなァい?」
磯村くんは言いました。
「ううん」
そう言って、木川田くんは黙っていました。
磯村くんも、どうしたらいいのかわからなくて、やっぱり黙っていました。
「俺サァ、磯村といると落着くんだ」
木川田くんが言いました。
「うん」
磯村くんも言いました。
「俺、磯村のこと、好きだよ」
「うん」
男の子二人は、おんなじようなことばかり言っていました。
「もういい。なんか枕になるもんなァい?」
起き上って、木川田くんが言いました。
「ごめん、なんにもない。今度買っとく」
「うん、いい。俺のシャツ取って」
「ちょっと待って、電気つけるから」
磯村くんが起き上って、部屋の中はパッと明るくなりました。
急に明るくなったその明るさに馴《な》れなくて、二人は目をそらしましたが、永遠にその明るさなんかに馴れたくないと、少なくとも磯村くんは、思いました。
「電気消して」
枕がわりに、着て来たシャツとセーターを畳んだ木川田くんは、磯村くんに言いました。
「うん」
磯村くんが起き上って、部屋の中は又真っ暗になりました。隣りの部屋から話し声が少しだけ聞こえたような気がしました。
一瞬部屋の中は静かになって、磯村くんには隣りにいる筈の木川田くんが、どんな恰好で寝ているのかさっぱり分りませんでした。
「あー、チクチクする」
闇の中で木川田くんが言いました。
「ごめんね。今度枕買っとくよ」
「うん」
シーンとなって、「ひょっとしたらもう木川田くんは泊りに来てくれないかもしれないな」と、磯村くんは思いました。
「磯村、お前、男好き?」
木川田くんが言いました。木川田くんのザラザラした脚が、磯村くんの太腿に当ったみたいです。
「分んない」
磯村くんは言いました。
「俺も、分んない」
木川田くんが言いました。
「分んないの?」
磯村くんが訊きました。
「うん」
木川田くんが言いました。
「分んないけどな」
そう続けました。
重いものがあって、木川田くんの体を、磯村くんは感じました。
どこに何があるのか分らなくて、磯村くんは、木川田くんの体を、抱きしめようがありませんでした。
磯村くんの顔中に柔らかいものが押しつけられて、木川田くんだってやっぱり、磯村くんの唇がどこにあるのか、分らなかったのです。
「好きだよ、磯村。ごめん」と言って、磯村くんの鼻と木川田くんの鼻がぶつかり合った時、やっと磯村くんの唇は木川田くんの唇を探り当てました。
探り当てたけど、磯村くんにはその温かくて柔らかいものが木川田くんの唇なのかどうなのか、あんまり自信が持てませんでした。
いつものように木川田くんの小さい舌が磯村くんの唇の中に入って来て、「ああ、ちゃんとキス出来た」と、磯村くんは思いました。
とがった木川田くんの舌先が離れて、磯村くんの唇が木川田くんの唇に触れた時、磯村くんは、「木川田の唇って女の子みたいだ」と思いました。でも、堅く抱き合って唇を重ねている男の子達の唇はどちらもまだ柔らかくて、唇というよりは桃の花びらでした。
「もう少しだけ、こうしててもいい?」
磯村くんの耳許で木川田くんが囁《ささや》きました。
「うん、いいよ」
天井に向って、やっぱり磯村くんも囁きました。
「ごめんね」
木川田くんは、又何回目かの�ごめんね�を言いました。
「いいんだよ、そんなの」
磯村くんはまた、何回目かの似たようなことを言いました。
「ホント言うとサ、僕——」
磯村くんが話し始めました。
「一人で住んだら木川田と一緒にだってこうしてられるしって、そういうのもあったんだよ」
「うん」
木川田くんは答えました。
「それだけじゃないんだけど、なんていうのかなァ、なんか、子供みたいなことしてるのって、もういやんなったんだよね」
「うん」
「別に、今の自分が大人だなんて思わないけどサ」
「うん」
「なんか、一人でいるのもつまんないけど、でも、子供みたいに家にいてゴチャゴチャしてるのってすごくいやでサ」
「分るよ、なんとなく」
「分る?」
「うん」
磯村くんは、もっと言いたいことがあって、そのもっと言いたいことをもっとうまく言える自信だってあったのですが、その温かい関係の中でそんなことを言ったってしようがないなと思って、もう考えることをやめてしまいました。
「俺だってサ——」
だから、木川田くんがその後を続けるようになったのかもしれません。
「磯村と一緒にいたいって思うよ」
木川田くんが言いました。
「ホント?」
磯村くんも応《こた》えました。
「うん。でもサ、俺、やっぱしオカマじゃァん」
「そんなことないよ」
「なくてもサ、思うの」
「そうなの?」
「うん。だからってどうってことないんだけど」
「だったらいいじゃん」
「いいけどサ。お前、�いいじゃん�つっても似合わねェよ」
「そうかな」
「うん。いいけど」
「似合わないかなァ?」
「似合うよ」
「そう?」
「うん。どうでもいいけど」
「うん」
「でもサ、俺サ、そんなに悪いことしてないぜ」
「そうなの?」
「そうだよ。信じないかもしれないけど、俺、ホント言ったら、あんまり外泊なんてしてないもん」
「またァ」
「ホント」
「そうなの?」
「いい子だよ、俺。そりゃ、寂しいけど、でもサ、あんまり一緒にいたいってヤツ、そんなにいねェもん」
「そうなの?」
「うん。なんかやっぱ、俺ってそういうの、ダメみたい」
「�そういうの�って?」
「そういうのってねェ、なんて言うのかねェ……、ンとねェ、なんか、寝るだけって、ダメなの」
「寝てるじゃない、今」
「だからお前は知らないの」
「何を?」
「もういいッ。寝る」
「ずるいよそんなの、自分一人で分っちゃってサ」
「お兄ちゃん好き! なァんつってな」
そう言って、木川田くんは急に磯村くんに抱きつきました。
正直言って磯村くんは、ホントにドキッとしました。木川田くんが女の子だったらどうしようって、唐突にそう思ったんです。
「やっぱ、こういう状況じゃ話せねェってこともあんだよ」
磯村くんの耳をいじくりながら木川田くんは言いました。
「何を?」
「こういうこと」
そう言って木川田くんは、磯村くんの耳をくすぐりました。
「くすぐったいよォ」
「だから——」
「だから何?」
「いいよ。もう寝ようって。お前もう、明日ガッコないの?」
「あるよ、十時半からだけど」
「だったら早く起きなくちゃ」
「別に早くないじゃん」
「こっから大学までどんくらいかかる?」
「歩くのあるけど、二十分かかんないよ」
「ふーん、俺も来年中大受けようかなァ」
「受ける?」
「あんま受けたかないけど」
「どして?」
「なんとなく——。なんとなくだけど、でも、磯村がいるからいいや」
「僕がいるといい?」
「いいよ。ねェサ」
「なァに?」
「あのサ」
「うん」
「年賀状書く時、俺の、一番最初に書いた?」
「ああ、木川田の?」
「うん」
「あ、ちょっと待って——。うん。一番最初。やっぱり、もう知ってるから最初に書くのって恥かしいかと思ったんだけど、でもやっぱり最初に木川田に知らせたいとか思って」
「俺の他にまだここの電話番号知ってるヤツいる?」
「まだいない」
「ヒッヒッヒ」
「なァに?」
「別に。なァ、テレビ、ホントにいる?」
「だからいくらすんの?」
「七千円にしろって言う」
「それで大丈夫?」
「大丈夫だよ。それよかサァ」
「うん」
「なんでベッドじゃねェの?」
「うん。家置いて来ちゃったもん」
「家帰って寝んの?」
「寝るよ、そりゃア。帰ったら自分の家だもん」
「ゼエタクなヤツ」
「そうかなァ」
「そうだよォ」
「でも僕って、そんなに贅沢《ぜいたく》じゃないよ」
「分ってるよ。お前ってホント、ビンボ臭ェもん」
「そうかなァ」
「そうだよォ。もういいよ、寝ようぜ」
「眠い?」
「眠い」
「じゃ寝よう」
「お前もう、あんまり喋んなよ」
「喋ってないじゃないか」
「そうかよ?」
「そうだよ」
「ねェ、ラジオ点けようか?」
「なんだよォ、もう寝ようって言ったの自分だろォ!」
「だって眠くねェもん」
「もうッ!」
「からかっただけ」
「チェッ」
「磯村って可愛いな」
「僕、可愛いもん」
「違うよ」
そう言って木川田くんに抱きつかれた時——抱きつかれたというより押さえつけられた時、磯村くんは、やっぱりホントにゾクッとしました。
「そういう可能性だってあるんだ。そういう可能性だってあるんだ。そういう可能性だって——」——心臓のドキドキいう音は、そういう音を立てていました。
 朝目を覚すとトン・トン・トンという音がして、磯村くんは自分がどこで寝ているのかよく分らない気がしました。
隣りに寝ていた木川田くんはいなくて、赤いホーロー引きのポット《やかん》がカタカタカタと蓋を鳴らしていました。
ハッと起き上がると、包丁を持った木川田くんが振り向いて、「なんでお前、冷蔵庫ん中にキャベツと豚肉しかねェの?」と、訳の分らないことを言いました。
「せっかく朝飯作ってやろうと思ってんのによォ」
「ああそうか? 木川田が御飯作ってくれてるんだァ」
そう思って、磯村くんはボーッとしていました。トン・トン・トンというのは、木川田くんが�キッチン�でキャベツを刻んでいる音だったのです。
木川田くんは、磯村くんが起きたのを確認すると、又トン、トン、トンと、キャベツを刻み始めました。それはとっても�トトトトントントン……�というような器用な動きではありませんでしたが、磯村くんは木川田くんがとっても好きなんだと思って、「そうだ、僕ってこういうことしたかったんだな」って、そう思いました。
 磯村くんは、�青春�がしたかったんです。
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