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無花果少年と瓜売小僧27

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  27 木川田くんがその次、そして初めて新宿の�二丁目�に行ったのは卒業式が終って�春休み�になってからです。木川田くん
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  27
 木川田くんがその次、そして初めて新宿の�二丁目�に行ったのは卒業式が終って�春休み�になってからです。
木川田くんが二週間以上、「やっぱ行きたい! やりたい!」と思っていた頃磯村くんの身の上に何が起きていたのかは皆さん既に御承知と思いますが、木川田くんは勿論、そんなことはまだなんにも知りませんでした。
ずい分軽い調子で書いていますが、よく考えたらこの話は、スゴイ話なんですねェ。
先へ行きます——
 木川田くんは自分がニキビだらけなんだということを、その頃とっても気にしていました。
中学一年の終りぐらいからポツポツと出て来たニキビは中学二年の夏には満開になって、木川田くんの心をとっても悩ませていました。背が低くってガニ股で、おまけに顔だって悪くて、そこにニキビが満開になっていたら「僕はとってもスケベです」と、公言して歩いているようなものです。少なくとも木川田くんは、自分で自分のことをそう思っていました。
「スケベ!」と言われてしまえばモトもコもありませんが、でも「スケベ!」と言われた方がまだましだと思えるようなものが木川田くんの中では生まれていました。木川田くんは、同級生の男の子のことが気になるのです。普段の時ではなく、体育の授業の終る時——
 体育の授業が終って男の子達が�ハァハァ�と息をついて教室に戻って来ると、着替えの為に女の子達を締め出した教室の中は、まるで埃《ほこり》っぽい春先のまだ花の咲かない、花園のような匂いで満たされます。誰もそんなことは気にしませんけど、木川田くんだけは気にしました。まるで磁石だらけの部屋の中に入った小さな鉄の棒のように、自分の体が倒れてグラグラしそうな気がするのです。体操の得意な�山内くん�とかロックやってる�蓑浦くん�とか、中学二年生の木川田くんから見ればもう�大人�だとしか思えない男の子がいて、木川田くんはドキドキするのです。木川田くんは、もう自分が�変態�だっていうことは十分に分っていたのです。
自分が�変態�で、�変態�という出口のない部屋に閉じこめられていて「どうしよう……!」と思うしかないのです。「どうしよう」と思ってジタバタすればするほど気持の悪い脂汗《あぶらあせ》が出て来て、それがニキビになるような気がしたのです。�醜い�と言われれば、その言葉が何を指しているのかは分らなくても、その当時の木川田くんなら、それだけで逃げ出したのかもしれません。木川田くんにとって、ニキビというものはそういうものでした。
他の男の子にはまだニキビなんてありません。まだというか、ズーッとないのかもしれません。それぐらい木川田くんの同級生達はツルツルの顔をしていました。
脚だってまだ、他の子達はツルツルしているのに、木川田くんは、色が白くてキャシャな体つきをしているのにもかかわらず、もう、大人並でした。
自分はウジウジしてるのに、でももう体だけは大人になって、木川田くんは恥かしくて恥かしくってたまりませんでした。顔はニキビで、ズボンを脱ぐとモシャモシャなのです。他の男の子達は普通に伸び伸びと服を脱いでいるのに、木川田くんだけは、コソコソと部屋の隅で小さくなって服を脱ぎました。誰かに見られたら、自分の全身がスケベの塊りになってるってことがバレそうで、たまらなかったのです。
でも、誰も木川田くんのことになんか注目してくれませんでした。悪い方も目につかなければ、いい方も注目なんかしてもらえませんでした。
木川田くんが部屋の隅でモソモソと服を脱いでいると、サッサと服を着替えた生徒会の役員の�河口くん�が着替えた服を、木川田くんの後ろの席に置きにやって来ます。�河口くん�は�カッコいい子�だったので、「どうしたの? 一緒に行かない?」って言うのかな、とか思ってドキドキするのですが、そのまんま�河口くん�は他の友達を誘って出て行ってしまいます。
後に残った�河口くん�のシャツが木川田くんの目の隅でなんか言っているような気がするのです。
なんか言ってるけど分んない、木川田くんの汗ばんだ下半身を直撃するようなヤバイことを言ってるみたいで、「ああ、自分はもう変態なんだ」って思うしかないのです。
汗まみれになったトレーナーを脱いで�山内くん�が「あー、熱ィ、熱ィ」とか言って裸の長い腕を振り回してる休み時間なんか、木川田くんは「どうして抱いてもらえないんだろう」とか、そんなことばっかり考えるのです。ロックやってて男らしい顔してるのに裸になると妙にポチャポチャした体付きになる�蓑浦くん�なんか見ると、「やっぱり蓑浦くんだってそうかもしれない……」とか、どうもいけません。
結局木川田くんだって、そういう形でみんなの中に入って行きたかっただけなのですが、そんな形で入って行く人間をそのまんま迎えてくれるほど世の中は�変態�ではありませんでした。木川田くんは、中学校の教室で一人ぼっちになるしかありません。
一人ぼっちになったまま、一人ぼっちになった自分を隠しておくことほどつらいことはありません。木川田くんは、気がつくと目まいがしそうな自分の内側を見つめながら、いつも下を向いて歩いていました。
下を向いてヨチヨチと歩いている内に�蓑浦くん�につかまってしまったこともあります。体育の時間のランニングが終った後でした。
 グラウンドを三周して�ハァハァ……�と息を切らせていた木川田くんは、やっぱり息を切らせて�ハァハァ�していた�蓑浦くん�とぶつかってしまいました。別にぶつかろうと思ってぶつかった訳ではなく、フラフラしていたらブチ当ってしまったというだけです。
後ろに生温かいものがあって、「なんだかホッとするなァ」と思って息を吸った途端、「なんだよォ!」という声が飛んで来て、「くっつくなよォ、ニキビがうつんだろォ」と言われて、やっぱり息をついている�蓑浦くん�に突き飛ばされたんです。
突き飛ばされた先に�片倉くん�ていう、別になんでもない男の子がいて、その子に抱きとめられたまんま木川田くんは�ハッ�とするような、�蓑浦くん�の洗濯してないトレーナーの�ツンとする�匂いを思い出してしまいました。
「なんだこいつ、気持悪ィなァ」と�蓑浦くん�が言いました。クラスメートの名前が続々出て来ますが、そしたらチビで猿みたいなよく喋る�青木のバカ�が「オカマじゃねェの、ケッケッケッ」と言ったのです。
「オカマ! オカマ!」と言ったのは多分、�高橋と吉沢と中村�で、後は覚えていません。
先生が笛を吹いて「早く並べ!」と言ったのでそれはそのまんまになりましたが、木川田くんは「結局いつかはバレるんだ」と思っていたのでただ真っ赤になっていただけでした。「オカマなのはしょうがないけど、このニキビだけはなんとかなんないかなァ」と思うとやっぱり悲しくはなったのですが、�オカマ�って言われて体育の時間に泣いたのかと思われると男の面子《メンツ》が立たないので、真っ赤になっているだけでした。
という訳で、中学を卒業した春休みに�向う岸�の二チョーメまで出かけて行った時、木川田くんは、「ニキビで笑われたらどうしようかなァ」とだけ思っていたのでした。
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