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無花果少年と瓜売小僧28

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  28 時間は午後の四時でした。そんな時間にもう飲み屋さんが開いてるかどうかなんてことは、まだ中学校を出たばっかりの木川
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  28
 時間は午後の四時でした。そんな時間にもう飲み屋さんが開いてるかどうかなんてことは、まだ中学校を出たばっかりの木川田くんには分りませんでしたが、「でもこないだみたいなことがあったらやだなァ」と思って、木川田くんはその日、少し早目に来たのです。
やっぱり、�こないだの人�は好きではありませんでした。なんか、�オモチャ�にされたみたいで木川田くんは、やっぱりいやだったんです。あんまり、さわらせてもくれなかったし。
 時間が来るまで、木川田くんはその飲み屋さん街の一角にある喫茶店で待っていました。どんな�時間�が来るまでなのか木川田くんにも分りませんでしたが、とにかくまだ外は明るいし、そんな時間にそんな所をなんだか分らない中学生が一人で歩いてるなんて、こわいと思いました。
「自分は勇気がないけど、それはまだ馴《な》れてないからなんだ」ってそう思って、まるで映画のオープンセットみたいに両側が飲み屋さんの看板だけをズラッと並べている通りを見て、それでそのまま、喫茶店に駆け込みました。
ボーイさんが注文を取りに来て、「この人もそうなのかなァ」と思いましたが、でもよく分らないので、木川田くんは「コーヒー」とだけ言いました——「下さい」と付け加えて。
ボーイさんはお水だけ置いて黙って行ってしまったので、木川田くんは「僕なんか、やっぱり相手にしてもらえない(のかもしれない)」と思いました。
そのボーイさんは背が高くって、髪の毛をモシャモシャに伸ばしていて、ロックやってる�蓑浦くん�となら気が合うのかもしれないっていうような、そんな人でした。
木川田くんは黙って、窓際の席でコーヒーを飲んでいて、外を通る人の脚だけを見ていました。何故脚だけかというと、脚だけしか見ることが出来なかったからです。
黙って、「誰かに声かけられたら絶対に�待ってるんです�って言おう」って、それだけを思ってました。「こないだの時みたいに�誰か待ってるの?�って言われて�いえ別に�ってだけ言ってたら、やっぱり好きでもない人とそういう風になっちゃうし」とか思って。
木川田くんは「今度はやっぱり、もっと素敵な人と≪ナントカ≫したい」と思っていたのです。
でも�素敵な人�なんていう曖昧《あいまい》な人はそう簡単にはやって来ません。どういう人が�素敵な人�なのか、木川田くんにも説明がつかないのですから。
「どうしたの? 誰か待ってるの?」って言って来た人は、�こないだの人�よりもっとズーッと粘っこい感じのする人でした。四十か、ひょっとしたら五十ぐらいで、中肉中背というヤセ型で、やっぱり色眼鏡《サングラス》をかけていました。
「誰か待ってるの?」と、ほとんど黒ずくめのように見えた中年の人から声をかけられて、木川田くんは思いつめたように「は、い……」と言いました。
一生懸命「そう言おう、そう言おう」と思っていたことを言ったのですから、喉は涸《か》れて声は干からびて、まるで来ない人を待っているみたいに�思いつめた声�になっていたのです。
「でも、さっきからずい分待ってるじゃない?」
その男の人は、笑いながら木川田くんに言いました。
木川田くんは、自分がズーッと見張られてたんだと思ってゾーッとしました。「絶対にこの人はヤだっ!」って、木川田くんはそう思いました。まるでトイレに行く時みたいに自然に立ち上ってその人はやって来たので、ホントに木川田くんには、その人の「誰か待ってるの?」が自分に向けられたのかどうかもよく分らなかった——と思っていたのにもかかわらず、です。
木川田くんは「いいんです」って言いました。「思い切って、大胆になっちゃった……」って、そう言ってから思いました。「嘘ついてるってバレたらどうしよう」って、そう言ってから思いました。
「そう、ずい分待たせるんだねェ」と、その人はまた、笑いながら言いました。
木川田くんはどう言ったらいいのか分らなくて、今度は何も言わずに黙ってました。
「そうォ……」と言って、その人は�ポンポン�と木川田くんの肩を叩いて、そのまんま行ってしまいました。
木川田くんはうつむいて、テーブルの上のグラスばかり眺めていたので、その男の人が�ポンポン�の後になんか言うもんだと思ってました。
思ってましたけど、その人の影がスッと見えなくなったみたいなので振り向くと、その人はレジの方へ伝票を持って歩いて行くところでした。
「どうしよう……」と思って、木川田くんは「悪いことをした」と思いました。「あのォ……」と、思い切って席を立とうとしましたが、腰を浮かしかけた途端、斜め前の席に坐っているローレル・ハーディーの太った方みたいな顔をしたチョビ髭のオッサンがこちらの方を見ているのに気がついて、慌てて坐り直しました。
木川田くんに声をかけた人は、後ろも見ずに出て行きます。木川田くんは、もう誰からも�やさしい声�をかけてもらえないかもしれないと思って、ホントに心細くなりました。心細くなって、目の隅で、その�ローレル・ハーディーのおじさん�がこっちに来ないようにこっちに来ないようにと思って祈りながら、見つめていました。
「そのおじさんがやって来たら自分のついてた嘘がバレてしまう」と思ったからです。
「�嘘ついてたんだろう!�ってそのおじさんに言われたらどうなっちゃうか分らない、どんなひどいことをされるか分らない」と思って、木川田くんはこわくなりました。
「こんなところにいてどうすんだろう」と思って、そして、「ホントは誰かのことを僕は待ってるんだ」って、自分のついた嘘がホントになって来たみたいな気がしました。「僕ズーッと待ってるのに来てくれない」って、悲しくなって、泣きそうになりました。
「ズーッと来てくれないし」って思って、「バカだな」って思って、それで、その太ったおじさんに近寄られない前に出て行けばいいんだってことにしました。
木川田くんはテーブルを見て、「ズーッと待ってたのに来てくれないから僕は行きます」っていうような顔《おしばい》をして、そして、そのテーブルをガタガタ言わせてそのお店を出て行きました。
でもその日、木川田くんが≪ナントカ≫なっちゃった相手というのは、�素敵な人�ではなくって、芦屋雁之助みたいな丸まっちいおじさんでした。
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