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無花果少年と瓜売小僧29

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  29 その、ジャバ・ザ・ハットが人が好くなったみたいなおじさんに木川田くんが会ったのは、「ケント」というお店でした。そ
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 その、ジャバ・ザ・ハットが人が好くなったみたいなおじさんに木川田くんが会ったのは、「ケント」というお店でした。
そこは、後に、磯村くんも連れて行かれる、「藤娘」の人形があってその他は全部トラッドしているという不思議なお店ですが、木川田くんが初めて行った時にはまだ「藤娘」はありませんでした。
ありませんでしたと思うのですが、でも確かなことは分りません。「ごめんなさい」と言っておきます。
 別に木川田くんは、理由があってそのお店に入った訳じゃありません。そろそろ夕方になろうという三月の終り頃の�異世界《ニチヨーメ》�の道を「どこに行こうかなァ」と思って歩き出して、でも下ばっかり見てたんじゃどうしようもないから時々思いついたように顔を上げて、細いビルの脇についてる飲み屋さんの看板を見て、「あ、ここ知ってる」と思うお店の方に入ってっただけです。
ホモ雑誌に広告を出してるそのお店は狭いビルの三階にあって、その細長い階段は途方もなく遠いように木川田くんには思えました。息を切らしたのか、それともあてのない旅を延々として疲れたのか、木川田くんが真っ赤になってドアを引っ張ったら、そのお店は休みでした。休みというよりは、まだ開店前でした。自分の開け方が悪いのかと思ってドアの把《と》っ手をガチャガチャとやっていたら、階段の上の方で「どうしたの?」って声がかかりました。
見上げるとアイビーカットのお兄さんが立っていて、その頃はまだ若かった「ケント」のママさんは�すっごいハンサム�に木川田くんには見えました。
「開かない」って、木川田くんは上ずったんだか甘えたんだかよく分んない声を出しました。
「あら、そんなの無理よ。だってそこまだ開いてないもん」と、その「ケント」のママさんは女言葉で喋りました。「ケント」のママさんというのは�アヤちゃん�という名で、ホントは�綾小路健人�という名前だそうですが、これは多分嘘でしょう。
とにかく木川田くんは、自分よりズッと素敵な人が自分とおんなじような人間なので、嬉しくなりました。
「ここまだだけど、よかったらウチやってるからいらっしゃい。下よ」と、その�アヤちゃん�は言いました。
「こういうとこ初めてなの?」
その�お兄さん�は、「どうしようかなァ」と思っている木川田くんにそう言いました。
木川田くんは「はい」と、蚊の鳴くような小さな声で言いました。
「大丈夫よ、ウチ安いから。いらっしゃい」そう言われて、木川田くんはそのお兄さんの後について行きました。
 お店の中はまだ空っぽで、木川田くんより三つか四つぐらい年上に思えるスポーツ刈りの男の子が、一人でグラスを磨いていました。
「カンちゃん、お客さんよ」と言ってママさんが入って行ったので、その�カンちゃん�と言われる子は顔を上げて「いらっしゃい」と言ったのですが、後から入って来た木川田くんの顔を見て「なァんだ」という顔を露骨にしました。
「なによ、お客さんなんだからァ。失礼ねェ」と言って、そのママさんは妙な笑い方をしました。
「いらっしゃい」
�お兄さん�は木川田くんを呼んで、カウンター式の店の一番奥の席に案内しました。
「もうすぐしたら混んで来るから、ここにいらっしゃい」とその�お兄さん�は言いました。そして、「まァ、ニキビなんか作っちゃって、可愛いわねッ」と続けていいました。「なんにします?」と、またたて続けに口調を変えて言いました。
木川田くんは�ポッ�となって、「あの、水割り……」と、思わず、背伸びをしました。
「あらいいの? あんた未成年なんでしょ」
�お兄さん�は言いました。
「はい」
木川田くんは答えました。
「ボク、いくつなの?」
その�お兄さん�はまた言いました。
「えっと、あの、コ、コーコーセイ」と、まだ正確には高校生になっていない木川田くんは、ちょっとばかり嘘をつきました。
「そう。だったら無理しなくたっていいのよ。コークあげようか?」
その�お兄さん�はそう言いました。
「いえ、いいです」
木川田くんは少しばかり無理をしました。
「いいの? 水割りで」
「はい」
木川田くんは言いました。
「近頃のコーコーセエは水割り呑むかねェ」とその�お兄さん�は言いました。「嘘ついてんでしょ」って、一人言を言ってるようなもんでした。
「あの、高校生じゃなくって、まだ」
「なに、まだ中学なの?」
「卒業したばっかり」
木川田くんは、その�お兄さん�が「可愛い」と言ってくれたので、ホントのことをつい言う気になってしまったのです。木川田くんはそれまで、人から�可愛い�と言われたことなんてなかったからです。
そして、そのジャバ・ザ・ハットのおじさんも、やっぱり木川田くんのことを「可愛い」って言ってくれました。
 そのジャバ・ザ・ハットのおじさんも、やっぱり名前は分りません。郡山の方の人で、別れ際に木川田くんに名刺までくれたのですが、でも木川田くんはなんとなくそれを持ってると怒られるような気がしたので、家に着くちょっと前に下水溝に捨ててしまったから、名前は分らないのです。
そのおじさんは、時々田舎から出て来て、そういうお店に寄るのだそうです。
ママさんに木川田くんを紹介されると「お、可愛いなァ」といきなり寄って来て、木川田くんを恥かしくさせました。だって、そのおじさんの声があんまり大きかったから、店中の人が木川田くんの方を振り向いたからです。�クスクス�いう笑い声が聞こえて来ましたけど、それはそのおじさんの声が大きいからだと、木川田くんは思いました。
木川田くんは、馴《な》れないお酒を飲んで、それで気持が悪くなって、おじさんに介抱をされたのです。
そのおじさんは、ズーッと木川田くんのことを「可愛いなァ」と言っていました。
気持悪くなって「頭が痛い」と言っても「可愛いなァ」だし、「お水が飲みたい」って言っても「可愛いなァ」だし、木川田くんがおじさんの愛撫に顔を歪めても「可愛いなァ、可愛いなァ」でした。そのおじさんは、ホントに木川田くんのことを可愛いと思ってるようでした。だから「又会いたいなァ」と言って、「なんかあったら電話してな」と言って名刺をくれたのですけれども。勿論、お小遣いもくれましたけども。
名刺は捨てても、木川田くんはお小遣いは捨てませんでした。「もうけた」と思うより、「あのおじさん、それくらい僕のこと愛してくれてるんだ」と思って、ジーンとなりました。別に、そのおじさんのことを�男性�としては好きになんかなりませんでしたけれども、でも、木川田くんはそのおじさんのことを「好きだ」と思いました。だから、そのおじさんとはキスもしちゃったんです。
ニキビだらけの木川田くんの顔を撫で回して、そしてほとんど舐《な》め回して、そのおじさんは「可愛いなァ、可愛いなァ」って言ってくれました。木川田くんは、涙が出るほど嬉しくって、「ニキビがうつらないかなァ、ニキビがうつらないかなァ」と思いながらも、おじさんに向って、口を開いてしまいました。
おじさんの部厚い唇となんだか分らない舌が入って来て、木川田くんはむせそうになりましたが、でも�好き�っていうのはそういうことなんだと思って、別に教えられもしないのに、ホントだったら絶対にキスしたいなんて思う筈もない、ナメクジみたいなおじさんのナメクジみたいな舌を、一生懸命吸いました。
「儂《わし》が好きか? 儂が好きか?」とおじさんが言うので、木川田くんは「うん、うん」と言いました。
という訳で、木川田くんの男性関係には�おじさん�という人達が結構登場するのです。
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